スズキ 新型スイフト(フルハイブリッド)燃費レポート|名前は似ているけど全然違う!“フル”と“マイルド”の差を徹底比較!

新型スイフト(フルハイブリッド)燃費レポート|結果まとめ

今回の燃費テストでは2016年12月に3代目モデル(海外では「イグニス」の名で売られていた国内専用のモデル時代を含めると4代目)にフルモデルチェンジされたスズキのコンパクトカーであるスイフトに、今年7月に追加された“フルハイブリッド”をテスト。

グレードは“HYBRID SL”(車両本体価格194万9400円、JC08モード燃費32.0km/L)を起用した。

※カタログなどにはスイフトハイブリッドと書かれているが、ここではマイルドハイブリッドと明確に差別するためフルハイブリッドと記載する。

スイフト フルハイブリッドの燃費テストの結果は以下の通り。

スズキ 新型スイフトハイブリッド 実燃費まとめ
フルハイブリッドマイルドハイブリッド

グレード

HYBRID SL

HYBRID RS

駆動方式

2WD

2WD

カタログ燃費(JC08モード)

32.0km/L

27.4km/L

高速道路実燃費

23.8km/L

22.6km/L

市街地(街乗り)実燃費

19.0km/L

17.7km/L

郊外路実燃費

21.9km/L

20.3km/L

総合実燃費

21.6km/L

20.2km/L

スズキとしてはソリオに続く2車種目のフルハイブリッドながら、走行性能の面では予想以上に完成度が高かった。

ハイブリッドカーとして肝心な実燃費は、スイフトとしては悪くない数値だった。しかし、夏場のエアコンによる負担を考慮しても、ライバルとなるハイブリッド車はもちろん、スイフトのマイルドハイブリッドモデルに対しても、価格差を埋めるほどのアドバンテージを感じられなかったのは少し残念であった。

※詳しい数値は割愛したが、4年ほど前に、同じような気候の中トヨタ アクアの初期モデルをテストしたことがある。その際の結果が、今回のスイフト フルハイブリッドに近い数値だったことを考えると、健闘したとも言えるのかもしれない。

ここからはスイフト マイルドハイブリッド、スイフト1リッターターボ、ライバルとなるハイブリッドやディーゼルエンジンを搭載するコンパクトカーとの燃費の比較も含め、高速道路編、市街地編、郊外路編という走行パターンにおける走りの質についても詳細な評価を行っていく。

スイフト フルハイブリッドを含めたハイブリッドコンパクトカーの購入を考えている方にはぜひ参考にしてほしい。

燃費テスト概要

テストは2017年8月29日(火)の朝7時前に開始し、午後2時頃帰京するというスケジュールで実施。テスト中の天候は曇り時々晴れ、最高気温33度という残暑を感じさせる気候で、交通状況はかなりスムースであった。

なお走行モードは標準モードを使い、標準、燃費優先、快適優先から選べるアイドリングストップの時間は標準を選択した。

スズキ 新型スイフト(3代目)とは

2004年に初代モデルが登場したスズキ スイフトは、軽自動車とは関連のないスイフト専用のプラットホームを新規開発し、心機一転してコンパクトカー業界に参入した。そういう意味で、スズキにとって大きなターニングポイントとなったモデルであった。

2016年12月にフルモデルチェンジされたスイフトの概要に関しては、自立自動ブレーキなどの安全装備の性能なども含め、こちらの燃費レポートを参照していただきたい。

>>新型スイフト実燃費レポート/1Lターボとハイブリッド、燃費がいいのはどっち!?

したがって、ここでは主に2017年7月に追加されたスイフトのフルハイブリッドモデルについて解説しよう。

“マイルドハイブリッド”とは、2017年現在のスズキで主力となっているハイブリッドの方式のこと。

新型スイフトに搭載されるマイルドハイブリッドには、最高出力91馬力&最大トルク12.0kgmの1.2リッター4気筒エンジンと、ISGと呼ばれるモーター機能付き発電機が搭載されている。このモーターは、発電機とエンジンスターターの役割も兼ね、減速エネルギーを12Vのリチウムイオンバッテリーへ充電し、加速時に僅かなアシストを行う。最高出力は3.1馬力で、最大トルクは5.1kgmだ。この2つの動力の組み合わせで燃費を向上させているが、エンジンを停止させてモーターだけで走ることは不可能。

そして“フルハイブリッド”とは、マイルドハイブリッドの機構に小型MGU(駆動用モーター)と高電圧リチウムイオン電池が加わったもの。MGUはエンジンの駆動系とは別に配置され、トランスミッションを介さずに直接ホイールを駆動する仕組みだ。減速時の発電もMGUが担当する。

加えて、トランスミッションがスズキが5速AGS(オートギアシフト)に変更されている。これは簡易型ATである。

フルハイブリッドで搭載されるバッテリーが増えたことで、もともと広くなかったラゲッジスペースの容量(265リットル)がさらに狭くなり、178リットルとなったのは、スイフトハイブリッドの大きな弱点と言える。

◆なぜスズキが2種類のハイブリッドを売るのか、理由が知りたい方はこちら

>>スズキ 新型スイフト ”フル”ハイブリッド試乗レポート|2種類のハイブリッドが併売される理由

ハイブリッドの主な作動パターンは

(1)発進時

標準モードではアイドリングストップからモーター(ISG)でエンジンが掛かり発進。エコモードを選ぶと、クリープ現象のスピード域ではエンジンを掛けずモーターで走るEV走行が可能。

(2)加速時

バッテリー残量に応じてモーター(MGU)によるアシストが加わる。

(3)中低速での一定速走行時

バッテリー残量に応じて、おおよそ60km/h以下のスピードでEV走行することもある。

(4)巡航時

モーター(MGU)による発電でバッテリーに電力を貯めるケースもある

(5)減速時

減速エネルギーを使ったモーター(MGU)による発電でバッテリーに電力を貯める

スイフト フルハイブリッドのメリットとしては、機構がシンプルであるため、ハイブリッドカーの弱点である重量増が少なく、価格も比較的安いことが挙げられる。

結果、スイフトハイブリッドのカタログ燃費は32.0km/Lと、マイルドハイブリッドの27.4km/Lに対し17%向上。エコカー減税でもマイルドハイブリッドの所得税40%、重量税25%軽減に対し、フルハイブリッドは取得税、重量税ともに免税(100%)に昇格となる。

フルハイブリッドのグレード展開はハイブリッドSG(166万8600円)とハイブリッドSL(194万9400円)の2つであるが、ハイブリッドSGには「これから新車を買うなら必需品」となりつつある自立自動ブレーキ(デュアルセンサーブレーキサポート)のオプション設定すらない。

その点を考慮すると、スイフトのハイブリッドモデルを購入する際には、フルハイブリッド搭載モデルである“ハイブリッドSL”を選ぶべきだろう。

新型スイフト(フルハイブリッド)燃費レポート|高速道路編

スズキ スイフトハイブリッド 高速道路での実燃費:23.8km/L

スズキ 新型スイフトハイブリッド 高速道路実燃費
高速道路実燃費JC08モード燃費

スイフト フルハイブリッド

23.8km/L

32.0km/L

スイフト マイルドハイブリッド

22.6km/L

27.4km/L

スイフト 1リッターターボ

22.5km/L

20.0km/L

トヨタ アクア(2017年MCモデル)

27.7km/L

34.4km/L

日産 ノートeパワー

23.8km/L

34.0km/L

肝心な高速道路での燃費は23.8km/Lと、ライバルとなるハイブリッドやディーゼルエンジンを搭載するコンパクトカーに若干見劣りする以上に、スイフト マイルドハイブリッドの22.6km/Lに対し大きな差を感じられない、ちょっと残念な結果となった。

 

フルハイブリッドの動力性能を高速道路でチェック!

高速道路編では5速AGSのフィーリングやフルハイブリッドの動力性能を中心に報告しよう。

スズキのフルハイブリッドシステムは、最初の登場となるソリオハイブリッド以来、まだ1年も経っていないが、5速AGSを含め全体の完成度には驚かされた。

まず5速AGSに関してだが、一般的にAMTと呼ばれるMTのクラッチ操作とシフト操作を自動化したトランスミッションは、ATやCVTといった2ペダルトランスミッションに対し低コストという大きなメリットを持つ。

しかしその反面で、発進時や渋滞時、駐車等、MT車では半クラッチにする場面での失速感や、シフトアップ&ダウンといった変速のタイミングがドライバーの感覚に合わないことがあるなど、フィーリングに違和感が伴う車種がまれにある。そのため、「AMT=取扱注意」という面があるのも否めないのが現状だ。

もちろんこういった弱点も、パドルやMTモードを使って自分で操作したり、アクセルを僅かに抜いたりしてシフトアップを車に促すという“マニュアルでの操作”をすることで改善される。

筆者にとってはそういった動作が苦ではなく、案外楽しんでいたりもするのだが、あまり一般的な感覚ではない。それゆえに「何のための2ペダルなんだ?」という意見が出るのも当然であり、筆者も自分でやっていてそう思う時もある。

しかし、スイフト フルハイブリッドの5速AGSは、発進時や駐車時の半クラッチも上手で、全開加速時こそシフトアップに若干のタイムラグがあり自分でシフト操作やちょっとしたアクセルオフを加えたくなるものの、ほとんどの走行シーンではシフトアップは素早くスムース。また、前述したトルク抜けもないなど、違和感を覚えることは皆無で、「世界一のAMTではないか」と完成度の高さに大変感心した。

これは5速AGS自体の完成度に加え、モーターを持つハイブリッドであるため、トルク抜けが起きるシフトアップ中にモーターによるアシストでトルク抜けを防いでいるためとのこと。

AMTは低コストで、MT同様にエンジンの力の伝達効率が高いことも考えると、「1モーターハイブリッド用のトランスミッションとしてAMTも大いにアリなのではないか」と感じたほどであった。

動力性能に関しても、「スイフト1.4」と言えなくもないほどの向上を体感できた。

ハイブリッドSLの車重は960kgと軽いため、最高出力13.6馬力&最大トルク3.1kgmというハイブリッドカーとしては小さなモーターでありながら、通常の加速、全開加速時ともに十分な出力を感じる。また、上り坂等での緩い加速時にも、MGUモーターによるアシストで、シフトダウンなしで加速できることも評価が高い。

エンジンフィールはマイルドハイブリッドと同様であるが、低回転域から高回転域まで全域でトルクフルかつ、高回転域まで不快な騒音を出すことなく硬質なエンジン音を伴いながらシッカリ回るというタイプで好感が持てた。

スイフト ハイブリッドSLには、自動ブレーキを含むデュアルセンサーブレーキサポートや誤発信抑制機能、車線逸脱警報機能など、通常ではセーフティパッケージをオプション追加しなければ付いてこない安全装備が、標準で装備されている。

マイルドハイブリッドを搭載するスイフトのアダプティブクルーズコントロールは、以前燃費レポートで書いた通り、今1つの完成度だった。

しかし、フルハイブリッドのアダプティブクルーズコントロールは、加減速が不満のない程度にスムースになり、テスト中は隣の車線の車に反応するようなこともなく、大幅な改善を感じた。

加えて、最近はコンパクトカーでも珍しくなくなってきたが、運転席にアームレストが着く点も長距離ドライブでの安楽さにつながるため、高く評価できる。

高速道路での燃費がスイフトにしては良好なものの、相対的に振るわない要因としては下記の2つが考えられる。

(1)高速道路では減速の機会が少ないため、回生ブレーキによる充電が十分にできない。エンジンの排気量が小さいため、高速域だとエンジンによる発電も十分にできない。60km/h以上の高速域だと、EV走行ができない。以上の理由からハイブリッドの特性がすべてふさがれてしまい、それ自体が“重量増”という裏目の結果を招いた。

(2)トランスミッションが5速AGSに変わったことも、燃費向上の足をひっぱる原因と考えられる。というのも、マイルドハイブリッドやガソリンターボで採用されているCVTや6速ATは、100km/h走行時のエンジン回転数がそれぞれ2000回転前後に抑えられているのに対し、フルハイブリッドが採用する5速AGSは2600回転まで上昇してしまうからだ。

今後このフルハイブリッドシステムが進化するなら、コンパクトカーに使う際にはAGSの6速化などを望みたいところだ。

新型スイフト(フルハイブリッド)燃費レポート|市街地編

スズキ スイフトハイブリッド 街乗りでの実燃費:19.0km/L

スズキ 新型スイフトハイブリッド 市街地(街乗り)実燃費
市街地(街乗り)実燃費JC08モード燃費燃費

スイフト フルハイブリッド

19.0km/L

32.0km/L

スイフト マイルドハイブリッド

17.7km/L

27.4km/L

スイフト 1リッターターボ

17.0km/L

20.0km/L

トヨタ アクア(2017年MCモデル)

27.0km/L

34.4km/L

日産 ノートeパワー

25.0km/L

34.0km/L

市街地での燃費は暑さという要因を加味するのにしても、ハイブリッドのコンパクトカーでは大台となるリッター20km超えが当たり前となっている中ではちょっと振るわない19.0km/Lだった。テストした時期もあるにせよ、マイルドハイブリッドや1リッターターボというスイフト同士、ライバルとの比較に関しては高速道路編と同じなので書かないが、それほど暑くなかったテスト前日に夜の市街地を走った印象では、気候のいい時期であればスイフト フルハイブリッドは市街地の燃費でも20km/Lは確実に超えるように感じた。

 

街乗りで露見したスイフトハイブリッドの“大きな弱点”とは!?

スイフト フルハイブリッドは市街地でもドライバビリティ良好であったが、その反面夏場の暑さという不利もあって「市街地編だと特に」という大きな弱点を露出してしまった。

まずドライバビリティに関しては、 AGSながら発進時のクラッチミートや変速もスムース、かつ加速の際にモーターによるアシストも明確に感じられた。さらに、ペースの遅い市街地だとEV走行に切り替わる機会もかなり多く、ハイブリッドカーらしさも十分に感じられる。

また、50km/hほどで走行中に追い越しが発生し、アクセルを全開にするようなシーンでも、加速が始まるまでのタイムラグもレスポンスも申し分ない。

ちなみに、5速AGSのシフトアップのタイミングは通常の加速だと2500回転程度、トップギアの5速にはDレンジ、パドルシフトとMTモードともにおおよそ60km/hだった。

そして冒頭で述べた“大きな弱点”というのはアイドリングストップする時間の短さである。

というのも、ハイブリッドカーのエアコンは現在ほとんどがバッテリーの電力を使う電動タイプ。猛暑の中でも長い時間アイドリングストップしたままエアコンが効くので燃費の低下は少ないのだが、スイフト フルハイブリッドのエアコンは、最近のハイブリッドカーでは珍しく、エンジンの力を使うエンジン駆動タイプを使っている。

そのためアイドリングストップ中はエアコンが効かず、アイドリングストップしてもすぐに車内の温度は上昇し、快適性維持のため停止中にエンジンが再始動してしまうことがほとんどだった。

つまりアイドリングストップに関してはアイドリングストップ付きのエンジン車と同等という訳で、燃費にも悪影響を与えた(もっと言えば電動エアコンでないのでEV走行中もエアコンは効かない)。

スイフト フルハイブリッドにも、エアコンの冷気をエバポレーター(エアコンの構成部品の1つ)に貯め、アイドリングストップ時間の延長に寄与するエコクールは装備されている。しかし、ほどほどの暑さなら効果は大きいと思うが、テスト日の暑さでは文字通り「焼け石に水」であまり効果は感じられなかった。

この点はソリオも含めたスズキのフルハイブリッドがまだ販売台数が少なく、量産効果を含めたコストの問題も大きいのだろうが、電動エアコンの採用は早急に望みたいところだ。

なおテスト前後にエコモードも試してみた。

エコモードをオンにするとクリープ現象を含め10km/hあたりまでモーターでの発進ができるようになる。アクセル操作に対するレスポンスは、不便や問題のない範囲ではあるものの、かなり鈍くなる。エアコンによるエンジン再始動を乗員が不快感を覚えるギリギリまで行わないことも含めたアイドリングストップ時間の延長といった燃費重視のセッティングになる。エアコンの件はともかくとして、モーターでの発進は渋滞中など小さくない効果がありそうで、燃費も5%からうまくすれば10%程度向上しそうに感じたので、基本的にはオンで走るのを勧める。

新型スイフト(フルハイブリッド)燃費レポート|郊外路編

スズキ スイフトハイブリッド 郊外路での実燃費:21.9km/L

スズキ 新型スイフトハイブリッド 郊外路実燃費
郊外路実燃費JC08モード燃費燃費

スイフト フルハイブリッド

21.9km/L

32.0km/L

スイフト マイルドハイブリッド

20.3km/L

27.4km/L

スイフト 1リッターターボ

19.1km/L

20.0km/L

トヨタ アクア(2017年MCモデル)

28.1km/L

34.4km/L

日産 ノートeパワー

26.7km/L

34.0km/L

郊外路での燃費も21.9km/Lと、高速道路や市街地と同じように悪くないものの、相対的には「伸び悩んだ」と言わざるを得ない結果だった。猛暑によるエアコンの負担はあるにせよ、フルハイブリッドであるだけにもう少し燃費が伸びて欲しいと強く思う。

 

郊外路においては回生制動によって貯まる電力量が多い

郊外路編では主にスイフト フルハイブリッドのハンドリングや乗り心地を報告しよう。

運動性能に関しては、スイフトという車名(英語で軽快、快速といった意味)に相応しく、ガソリン車を含めた同クラスでは圧倒的に軽い車重を生かした軽快さと、ライントレース性の正確さを備えている。

それなりにロールはするものの、ロールの起き方はジワジワと腰のある不安感のない様子なので、ワインディングロードなどでは、スポーツモデルではないにもかかわらずドライビングに没頭することができた。

その反面で、改善を願いたいのが乗り心地だ。「特別悪い」と言うわけではないものの、多少荒れた程度の路面でもザラザラを感じやすい。「走りの質が高いコンパクトカー」というイメージの強いスイフトに対する期待値の高さもあり、ちょっと残念であった。現行スイフトは、RSグレードの方がハンドリングと乗り心地のバランスが高いことを考えると、フルハイブリッドの主力となるハイブリッドSLにもRSグレードを追加して欲しいところだ。

なお、郊外路においては60km/h以下のスピードで走るケースがほとんどなので、回生制動によって貯まる電力量が多い。また、頻繁にEV走行に切り替わるため、燃費向上に対する貢献度は高いと感じた。

新型スイフト(フルハイブリッド)燃費レポート|総評

スズキスイフト フルハイブリッドの総合実燃費:21.6km/L

スズキ 新型スイフトハイブリッド 総合実燃費
総合実燃費JC08モード燃費燃費

スイフト フルハイブリッド

21.6km/L

32.0km/L

スイフト マイルドハイブリッド

20.2km/L

27.4km/L

スイフト 1リッターターボ

19.6km/L

20.0km/L

トヨタ アクア(2017年MCモデル)

27.6km/L

34.4km/L

日産 ノートeパワー

25.0km/L

34.0km/L

スイフト フルハイブリッドに対する印象は「スズキとしてはまだ新しい技術であるフルハイブリッドシステムの完成度の高さ(技術力、車という機械としての完成度)は大いに評価したいが、実燃費やマイルドハイブリッドに対する費用対効果を含めた商品力は今一つ疑問が残る」というのが率直なところだ。

高速道路編で書いたように、フルハイブリッドを「スイフト1.4」的な上級グレードのような位置付けと考える見方もあるのだろうが、「ならば1.2リッターマイルドハイブリッドの排気量を1.4リッターに拡大すれば、コストも安く済んで総合的にリーズナブルじゃないか」と思えてしまうのが、スイフト フルハイブリッドの微妙なポジションを象徴しているように感じてしまう。

マイルドハイブリッドと比較しながら検証

ここでスイフト フルハイブリッドの費用対効果を、マイルドハイブリッドと比較しながら検証してみよう。

ハイブリッドSL(車両本体価格194万9400円)と同等の装備を持つマイルドハイブリッド搭載車は、ハイブリッドMLのセーフティパッケージ装着車(172万1520円)だ。

ハイブリッドSLとハイブリッドMLの価格差は約23万円であるが、翌年の自動車税まで含んだエコカー減税の差が約5万円あるため、2台の実質的な価格差は約18万円となる。

今回の実燃費データを基に、2台の走行距離1万kmあたりのガソリン代を計算する(レギュラーガソリンの価格を130円/Lとする)と、フルハイブリッドが約6万円、マイルドハイブリッドが約6万4000円となる。この計算では差額18万円をペイするには45万kmの走行が必要になり、仮に処分する際にフルハイブリッドが10万円高く売れたとしても8万円の差額を取り戻すには20万km走行しなくてはならず、非常に難しい。

また、フルハイブリッドの実燃費を23km/Lと仮定してもマイルドハイブリッドとのガソリン代の差額1万kmあたり7000円。前述したようにフルハイブリッドが10万円高く処分できたとしても、8万円の差額は11万km走行してようやく取り戻せるという厳しい計算になる(もっとも11万km走ったスイフトの査定がどんなものかという疑問も大きいが)。

といったことを踏まえてスイフト フルハイブリッドを総括すると「買いたいなら反対もしないけど、積極的にも勧めない」と消極的なコメントにならざるを得ない。

しかし、ソリオも含め完成度の高いフルハイブリッドを出してきたことは、それなりに評価すべきだと思う。さらにAGSの多段化や電動エアコンの採用による燃費の向上、今後販売が増え量産効果による低価格化が進めば、スズキの軽自動車のSエネチャージ(現行スイフトのマイルドハイブリッドと同じもの)と同様に、費用対効果の大きいハイブリッドとなる可能性もあるだけに、今後の進化や改良を大いに期待したい。

スズキ 新型スイフト 主要スペック

新型スイフト 燃費テスト車両主要スペック
グレード HYBRID SL

価格

1,949,400円

駆動方式

2WD

トランスミッション

5AGS

全長

3,840mm

全幅(車幅)

1,695mm

全高(車高)

1,500mm

ホイールベース

2,450mm

最低地上高

120mm

乗車定員

5名

車両重量(車重)

960kg

エンジン種類

水冷4サイクル直列4気筒

排気量

1,242cc

エンジン最大出力

67kW(91PS)/6,000rpm

エンジン最大トルク

118N・m(12.0kg・m)/4,400rpm

モーター最大出力

10kW(13.6PS)/3,185~8,000rpm

モーター最大トルク

30N・m(3.1kg・m)/1,000~3,185rpm

燃料

無鉛レギュラーガソリン

燃料タンク容量

37L

タイヤサイズ

185/55R16 83V

スズキ/スイフト
スズキ スイフトカタログを見る
新車価格:
172.7万円233.2万円
中古価格:
16.2万円392.8万円

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永田 恵一
筆者永田 恵一

1979年生まれ。26歳の時に本サイトでも活躍する国沢光宏氏に弟子入り。3年間の修業期間後フリーランスのライターとして独立した。豊富なクルマの知識を武器に、自動車メディア業界には貴重な若手世代として活躍してきたが、気付けば中堅と呼ばれる年齢に突入中。愛車はGRヤリスと86、過去には日本自動車史上最初で最後と思われるV12エンジンを搭載した先代センチュリーを所有していたことも。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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