スズキ 新型ワゴンR燃費レポート!軽ハイトワゴンの代表格を、高速から街乗りまで徹底検証!

スズキ 新型ワゴンR燃費レポート!軽ハイトワゴンの代表格を、高速から街乗りまで徹底検証!
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新型ワゴンRの実燃費は24.3km/L!|燃費レポート結果まとめ

スズキ新型ワゴンRにおける実燃費テスト結果は、以下の通り。

高速道路、郊外路、市街地(街乗り)と、どのシチュエーションにおいても驚くほど良い結果となり、特に使用頻度の高い市街地(街乗り)では23.7km/Lとなった。総合結果もライバルモデルより実燃費が高い24.7km/Lを記録。ワゴンRの優秀さが伺える。

今回の燃費テストでは、標準系の上級グレードでマイルドハイブリッドを搭載するハイブリッドFZのセーフティパッケージ装着車(車両本体価格140万9400円、JC08モード燃費33.4km/L、車重790kg)を起用。

テストは少々旧聞となるが、2月26日(日)の15時頃開始し、21時頃帰京するというスケジュールで実施。天候は終日晴天、最高気温は2月下旬としては平均的な11度で、交通状況は平均的な平日の交通量と同等であった。なお標準、燃費優先、快適優先の3つから選べるアイドリングストップのモードは標準を選択した。

以下では高速道路編、市街地編、郊外路編、各走行シチュエーションに合わせた詳細な評価を行っているので、ワゴンRの購入を考えている方にはぜひ参考にしてほしい。

走行シチュエーション

実燃費

カタログ燃費

(JC08モード)

高速道路

23.8km/L

33.4km/L

郊外路

25.0km/L

市街地(街乗り)

23.7km/L

総合

24.3km/L

スズキ 新型ワゴンRとは?

2017年2月のフルモデルチェンジで新型(6代目)となったスズキ ワゴンR。ワゴンRといえば、93年に登場した初代モデルが軽自動車業界、日本の自動車業界におけるエポックメイキングとなった1台である。

というのも初代ワゴンRが登場するまで軽乗用車は、軽自動車業界でセダンと呼ばれる現在のスズキ アルトやダイハツ ミライースのようなハッチバック型がほとんどで、室内が広い軽乗用車は全高を約1700mmから1800mmに高めた三菱 ミニカトッポがあっただけだった。ミニカトッポは好評を集めたものの、全高が高過ぎたのも事実であった。

そこでスズキは当時のアルトをベースに全高を1600mm台に高め、「適度な全高で広くて使いやすい」という軽ハイトワゴンの先駆車として初代ワゴンRを開発した。登場当時はニッチ(隙間)商品的にそれほど大きな販売台数は期待されない半ば軽い気持ちで開発された初代ワゴンRであったが、コンセプトの新鮮さや使い勝手の良さ、着座位置が高く見晴らしがいい点などで爆発的なヒット車となり、軽ハイトワゴンというジャンルを開拓した。

初代ワゴンRの登場以降、ダイハツはムーヴ、ホンダは現代のNワゴンに通じるライフ、三菱はトッポBJ、スバルはプレオというフォロワー(後追い)を次々とリリースし、ハイトワゴンは軽自動車の大きな柱といえるジャンルに成長した。

さらに白いナンバープレートが着く登録車においても、日産 キューブやホンダ キャパといったワゴンRの影響を受けたモデルが登場したことでも、初代ワゴンRが日本の自動車業界に与えたインパクトの大きさが分かる。

数年ほど前までは軽自動車の販売トップに立つことが当たり前だったワゴンRだが、最近は状況が変化している。例えば、ダイハツ タントが先駆車となった(スズキにもスペーシアというライバル車がある)全高をワゴンRよりさらに高めスライドドアを持つ軽スーパーハイトワゴンの台頭や、スズキからワゴンRをベースにし悪路走破性に代表される高い機動力を持つ軽クロスオーバーのハスラーの登場など、軽の中でもまた新たなジャンルが生まれたからだ。そして対照的にワゴンRの販売台数は落ちつつあった。

そんな「時代の変化」といってしまえばそれまでの状況下で登場した新型ワゴンRも、初代モデルから続く「適度な全高で広くて使いやすい」というコンセプトは不変である(変えようがないという方が正しいかもしれないが)。

新型ワゴンRの技術的な特徴として挙げられるのは、現行アルトでデビューしたスズキの軽自動車用新プラットホームの採用による軽量化だ。先代モデルに対し最大20kg軽量に仕上がっており、ライバルとなる軽ハイトワゴンに比べると車重はおおよそ50kg軽い。

また室内空間も先代モデルに対し室内長で285mm、室内幅も60mm拡大されている点も大きな特徴だ。

エンジン、トランスミッションといったパワートレーンはベーシックな660㏄の3気筒NA(最高出力52馬力&最大トルク6.1kgm)、3気筒NAエンジンにオルタネータ(発電機)の機能も兼ねる小型のモーター(最高出力3.1馬力、最大トルク5.1kgm)を加えたマイルドハイブリッド、マイルドハイブリッド+ターボ(最高出力64馬力、最大トルク10.0kgm)の3つが設定され、トランスミッションは全グレードにCVTが組み合わされる。

特にマイルドハイブリッドは先代モデルでSエネチャージと呼ばれていた小型モーターでアシストを行う簡易なハイブリッドである点自体は変わりない。しかし新型ワゴンRでは小型モーターの出力向上、組み合わされるリチウムイオンバッテリー容量を増やしたことにより、発進を含めたクリープ現象での走行中でのEV走行が可能となっており、発進時やノロノロと車が動く渋滞中の燃費向上に寄与している。

またマイルドハイブリッドはアイドリングストップと、エアコンの構成部品の1つであるエバポレーターに蓄冷材を加え、冷房を使いながらのアイドリングストップ時間の延長に貢献するエコクールも装備し、実用燃費の向上に努めている。

結果、カタログに載るJC08モード燃費はFF車でアイドリングストップもないベーシックなNAエンジンで26.8km/L、マイルドハイブリッドが軽ハイトワゴントップとなる33.4km/L、ターボも28.4km/Lを達成。2017年度から基準が厳しくなったエコカー減税においても、代表的なところでハイブリッドは取得税60%、重量税75%減税が適合となる。

グレード体系は大きく分けて2つ。ライバルモデルのカスタムなどに相当するスポーティなエクステリアなどを持つスティングレーと標準系に分かれる。エンジンはスティングレーにはターボ、マイルドハイブリッド、NA、標準系にはマイルドハイブリッドとNAが設定される。また標準系にはベーシックグレードと標準グレード、上級グレードそれぞれに違ったフロントマスクとなっており、スティングレーも含めると新型ワゴンRには3つのフロントマスクがあることも特徴となっている。

安全装備も単眼カメラと短距離を監視するレーザーセンサーからの情報を基盤にした自立自動ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート」や、軽自動車では初採用となる視線を動かさずにスピードなどの情報を認識できるヘッドアップディスプレイなどから構成されるセーフティパッケージが、内容を考えれば安価な5万9400円でオプションを含め幅広く設定される。

新型ワゴンRの「デュアルセンサーブレーキサポート」は国が行うJNCAPの試験で、対車両では50km/hからの停止、日中の歩行者の認識、停止をクリアしており、軽自動車の自立自動ブレーキの性能としてはトップクラスの性能を備えているので、新型ワゴンRを購入するなら装着しないという選択肢はないだろう。

実燃費の検証方法

・実燃費の測定は、車両に純正搭載されている車載燃費計を使用

・スピードは流れに乗ったごく一般的なペースで走行

・車両の状態もエアコンは快適に過ごせる温度(オートエアコンなら25度)に設定

・走行モードが選択できる場合にはノーマルモードを選んで走行

新型ワゴンR 実燃費レポート|高速道路編

新型ワゴンRの高速道路での実燃費:23.8km/L

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新型に乗って最初に驚かされるのが室内幅の広さだ。冒頭に書いた60mm拡大という絶対値はともかくとして、現状ほぼ横並びとなっている軽乗用車の室内幅に慣れているところで新型ワゴンRに乗ると「オッ」と感じる広さが感じられる。この点はライバル車に対する新型ワゴンRの大きなアドバンテージになるだろう。

新型ワゴンRは走りも全体的にかなり完成度の高いものに仕上がっていた。

動力性能に関しては、マイルドハイブリッドであればアクセルを深く踏むと高速道路の上り坂でもそれなりに加速していくほどの余力を備えており、今回テストしたワゴンRがノンターボ軽乗用車であるのを頭に入れて乗ると「結構速い」と感じられる。2名乗車以内であれば、高速道路でも動力性能に不満を覚えるケースは少ないだろう。

高回転域まで回したエンジン音も不快感なものでないどころか力強いものとなっており、好感が持てる。

また小型モーターのアシストも出力が小さいため車重が軽いクルマほど感じやすいという特徴があるだけに、メーター内の表示でアシストを確認しながら慣れてくると、アクセルをそれほど深く踏まない範囲であればアシストをそれなりに感じることができる。

なお100km/h走行時のエンジン回転数は2000回転と、軽自動車としては信じられないくらい低く抑えられていた。

高速道路での燃費は23.8km/Lという申し分のない数値を記録した。

この燃費をスズキハスラーの初期モデル、ホンダNワゴンの初期モデル、ダイハツキャスト、日産デイズという過去データがあるNAエンジンを搭載する軽ハイトワゴンと比較してみると、大幅な差ではないにせよ、最新の軽自動車として恥じない燃費性能を備えていることが分かると思う。

※ライバル車のデータは、過去に行った燃費レポートから抜粋

>>【燃費】スズキ ハスラー 燃費レポート/永田恵一

>>【燃費】ホンダ N-WGN 燃費レポート/永田恵一

>>バカ売れの「ダイハツ キャスト」燃費もライバル車を超えるか!?[実燃費レポート]

>>実は改良の度に悪化していた三菱 eKワゴン、日産 デイズの燃費・・・改めて“実燃費”を測定した結果

高速道路における実燃費

実燃費の測定結果

スズキ 新型ワゴンR マイルドハイブリッド

23.8km/L

スズキ ハスラー初期モデル

22.8km/L

ホンダ Nワゴン初期モデル

23.8km/L

ダイハツ キャストスタイル

21.9km/L

日産 デイズ[2016年7月テスト]

23.0km/L

新型ワゴンR 実燃費レポート|郊外路編

新型ワゴンRの郊外路での燃費:25.0km/L

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新型ワゴンRはハンドリングや乗り心地も「さすが最新の軽自動車!」と感心する仕上がりであった。

ハンドリングは、全高がそれなりにある上に全幅が狭い軽乗用車であるという大きな不利を持つため相応のロールは起きるものの、ロールはジワジワと起きるので不安感を覚えることはない。さらにハンドル操作に対する車の反応も正確で、かつステアリグフィールなどと言われるステアリングを通したタイヤの状態もちゃんと伝わってくるので安心感があり、コースにあるワインディングロードを走っているとなかなか運転を楽しめた。

乗り心地もサスペンションの動きがかなりスムースで、路面の大きな凹凸でもしなやかに「コトン」という上品な音を伴いながら通過していき、乗り心地に不満を覚えることはほとんどなかった。

またテスト車は引き取った時点では走行距離が900kmほどであったが、返却する時点で1500km、総合すると600kmほど走り慣らしが進んだ影響もあったのか、ワゴンRに乗る時間や走行距離が伸びるに従ってドンドン印象がいいものになっていった点にも驚かされた。

郊外路での燃費も25.0km/Lという文句の付けようがない数値を記録した。この数値を過去データがあるNAエンジンを搭載する軽ハイトワゴンと比較してみると、高速道路と同様に大幅な差ではないにせよ、最新の軽自動車にふさわしい燃費性能を備えていることが分かる。

郊外路における実燃費

実燃費の測定結果

スズキ 新型ワゴンR マイルドハイブリッド

25.0km/L

スズキ ハスラー初期モデル

24.4km/

ホンダ Nワゴン初期モデル

23.6km/L

ダイハツ キャストスタイル

20.6km/L

日産 デイズ

18.0km/

新型ワゴンR 実燃費レポート|街乗り・市街地編

新型ワゴンRの街乗りでの実燃費:23.7km/L

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街乗り・市街地編では注目のクリープ現象でのEV走行やドライバビリティ(運転のしやすさ)、アイドリングストップの印象などをお伝えしよう。

まずクリープ現象でのEV走行はバッテリー残量が3目盛り以上あると可能なようで、冒頭で書いた通りクリープ現象で発進する際や渋滞などでノロノロと進むときにEV走行するのだが、スピードやバッテリー残量といった要因で限られた範囲にせよ渋滞中EV走行ができるのは、燃費に対して決して小さくない効果があるように感じた。

ドライバビリティに関しては、低速トルクに太さやCVTの制御がごく自然であるのに加え小型モーターのアシストもあるので、市街地の普通の流れなら2500回転以下の低い回転域で流れに乗ることができ、良好と評価できる。

アイドリングストップはスピードが約13km/h以下になるとエンジンが停止するタイプであるが、停止寸前のブレーキ踏力の調整を行っても不必要なアイドリングストップが起きることは少ない点は高く評価できる。さらにスズキのマイルドハイブリッドはエンジン再始動にセルモーターではなくエンジンとベルトでつながったオルタネータを使うので、エンジン再始動が素早い上に音やショックが皆無であるのも素晴らしい。

アイドリングストップの頻度はテスト中停止の際たまにエンジンが止まらないこともあったが、これは市街地を走ったのが夜間で、ヘッドライトを使うためバッテリーの電圧が低下することもあったのが原因で、仕方のないところだろう。アイドリングストップする時間に関しては、アイドリングストップが始まれば止まっている間はほぼエンジンも止まっており、長い部類と言える。

1つ不満があったのは、これまでスズキの車はアイドリングストップしない理由などのインフォメーションが豊富だったのだが、新型ワゴンRは再始動前にブザーが鳴るくらいに減ってしまった点である。

市街地での燃費は23.7km/Lであった。

この燃費も過去データがあるNAエンジンを搭載する軽ハイトワゴンと比較してみると、最新の軽自動車としてそれなりのアドバンテージのある燃費性能を備えているといえる。

市街地(街乗り)における実燃費

実燃費の測定結果

スズキ 新型ワゴンR マイルドハイブリッド

23.7km/L

スズキ ハスラー初期モデル

23.5km/L

ホンダ Nワゴン初期モデル

21.0km/L

ダイハツ キャストスタイル

21.3km/L

日産 デイズ

16.5km/L

スズキ 新型ワゴンR 実燃費テスト/総合評価

総合実燃費

実燃費の測定結果

スズキ 新型ワゴンR マイルドハイブリッド

24.3km/L

スズキ ハスラー初期モデル

23.5km/L

ホンダ Nワゴン初期モデル

23.9km/L

ダイハツ キャストスタイル

21.4km/L

日産 デイズ

19.1km/L

新型ワゴンRは、強い新しさや楽しさとこそないものの、車全体において最新かつスズキの軽自動車といういわば老舗の看板商品に相応しい高い完成度を備えていた。それだけに軽ハイトワゴンを購入する際には必ず候補に入れるべきだろう。

燃費に関しても過去データがあるNAエンジンを搭載する軽ハイトワゴンと総合実燃費を比較してみると、再三書いたように大きな差ではないものの最新の軽自動車にふさわしい燃費性能を持っていることが確認できた。

1つ新型ワゴンRで残念なのは、自立自動ブレーキを含んだセーフティパッケージの設定は大変結構なことなのだが、特に側面衝突の際のケガに軽減に大きな効果を持つサイド&カーテンエアバッグが最上級グレードのスティングレーハイブリッドTに標準装備になるだけで、他のグレードにオプション設定すらないという点だ。

まあ価格を気にするユーザーが多い軽乗用車は安全装備に対するメーカーの考えが見えやすいジャンルなのは事実だが、それだけに軽乗用車におけるリーダー格の1台であるワゴンRが前向きな姿勢を見せれば、他社の追従も考えられるだけに少し残念である。サイド&カーテンエアバッグの件に関してはなるべく早い改善を願いたい。

スズキ 新型ワゴンR スペック  [HYBRID FZセーフティパッケージ]

グレード

HYBRID FZ セーフティパッケージ装着車

価格

1,409,400円

駆動方式

前輪駆動(FF)

トランスミッション

自動無段変速機CVT

全長

3395mm

全幅(車幅)

1475mm

全高(車高)

1650mm

ホイールベース

2460mm

乗車定員

4人

車両重量(車重)

790kg

エンジン

直列3気筒 DOHC 12V ガソリン

排気量

658cc

最大出力

52ps[38kW]/6500rpm

最大トルク

6.1kgf-m[60N・m]/4000rpm

マイルドハイブリッドモーター種類燃料

直流同期電動機

マイルドハイブリッド モーター最高出力

3.1ps[2.3kW]/1000rpm

マイルドハイブリッド モーター最大トルク

5.1kgf-m[50N・m]/100rpm

タイヤサイズ

155/65R14 75S

サスペンション形式

(前)マクファーソンストラット式(後)トーションビーム式

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永田 恵一
筆者永田 恵一

1979年生まれ。26歳の時に本サイトでも活躍する国沢光宏氏に弟子入り。3年間の修業期間後フリーランスのライターとして独立した。豊富なクルマの知識を武器に、自動車メディア業界には貴重な若手世代として活躍してきたが、気付けば中堅と呼ばれる年齢に突入中。愛車はGRヤリスと86、過去には日本自動車史上最初で最後と思われるV12エンジンを搭載した先代センチュリーを所有していたことも。記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

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