新型フリードハイブリッドの実燃費はシエンタに比べて良い?悪い?実際に試乗して比較!
- 筆者: 永田 恵一
ホンダ 新型フリードハイブリッドとは?
ホンダのコンパクトミニバンであるフリードは、昨年9月のフルモデルチェンジで2代目に移行して以来、月間販売台数では唯一無二のライバルとなるトヨタ シエンタをしばしば上回ることもあるほど好調な販売成績を収めている。
昨年秋に当サイトではホンダ 新型フリードの1.5リッターガソリンエンジン搭載車の燃費レポートをお届けしているが、今回は新型フリードハイブリッドの燃費計測を行い、ガソリン車とハイブリッドの損得勘定なども含めたレポートをお送りする。
新型フリード自体の概要に関しては新型フリード ガソリン車の燃費レポートを参照いただくとして、ここでは新型フリードハイブリッドのハイブリッドシステムについておさらいしよう。
新型フリードに搭載されるハイブリッドシステムは、ホンダのコンパクトカーであるフィット、コンパクトステーションワゴンのシャトル、コンパクトSUVのヴェゼル、ミドルミニバンのジェイドと共通のi-DCDと呼ばれる1つのモーターが駆動と発電を行うタイプを採用。
i-DCDは熱効率に優れるアトキンソンサイクル化した1.5Lガソリンエンジンとモーターを、素早い変速と高い動力伝達効率を持つ7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を介して駆動し、カタログに載るJC08モード燃費はFF車の最良値となる27.2km/Lを誇る。
4月から基準が強化されたエコカー減税でも、4WDを含めた全グレードが取得税・重量税の免税が適応となる。なお、昨年10月の発売1ヶ月後の初期受注では、ハイブリッドが全体の53%を占めていた。
今回の実燃費テストでは、3列目シートをなくすことで自由に使える広い空間を得た新型フリードプラスハイブリッドの最上級グレードとなるEX(車両本体価格267万6000円、JC08モード燃費26.6km/L)を起用。3月11日(土)の14時頃に開始し、21時頃帰京するというスケジュールで実施。天候は晴れ、最高気温12度と3月半ばとしては平均的なコンディションだった。交通状況は、市街地区間の混雑が劣悪であった。
ホンダ 新型フリードプラスハイブリッド 実燃費テスト/結果まとめ
まず、ホンダ 新型フリードプラスハイブリッドにおける実燃費テスト結果については、以下の通りとなった。次章からは、各走行シチュエーションに合わせた試乗レポートやライバル車との実燃費比較などを記載したい。
走行シチュエーション | 実燃費 | カタログ燃費 (JC08モード) |
---|---|---|
高速道路 | 22.2km/L | 26.6km/L |
郊外路 | 22.8km/L | |
市街地(街乗り) | 19.8km/L | |
総合 | 21.4km/L |
実燃費の検証方法
・実燃費の測定は、車両に純正搭載されている車載燃費計を使用
・スピードは流れに乗ったごく一般的なペースで走行
・車両の状態もエアコンは快適に過ごせる温度(オートエアコンなら25度)に設定
・走行モードが選択できる場合にはノーマルモードを選んで走行
ホンダ 新型フリードプラスハイブリッド 実燃費テスト/高速道路編
高速道路編では、新型フリードハイブリッドの動力性能やハイブリッドのフィーリングなどをお伝えしよう。
まずアクセル全開にした際の絶対的な動力性能は、1.5リッターガソリンに対して60kgほど重いハイブリッドながら、モーターによるアシストがある分1.5リッターガソリンより若干速く、中々に速い。そしてバッテリー残量が無くなった際の動力性能は、1.5リッターガソリンと同等といった感じだ。
エンジンフィーリングは排気量こそ同じながら、1.5リッターガソリンに比べてうるさいとまでは言わないが“ザワザワ”“ガサガサ”とした音が耳に付き、1.5リッターガソリンと比較すると見劣りする。
ハイブリッドに組み合わされるDCTのフィーリングは、3年ほど前の度重なるリコールの対応によるものなのか、初期に比べるとシフトの速さや歯切れの良さは抑えられているが、十分に満足できる。
しかし、新型フリードハイブリッドにはパドルシフトどころかシフトレバーのマニュアルシフトすらなく、ミニバンとはいえ素早いシフトをドライバーの意志で楽しめないのはとても残念だ。なお、トップギアでの100km/h走行時のエンジン回転数は2000回転強と、1.5リッターガソリンの1750回転より若干高かった。
EV走行からアクセルを全開に開けた際のレスポンスは、平地であればワンテンポ遅れてエンジンが掛かる、シフトダウンするというタイムラグがあるものの許容範囲。だが、上り坂になると僅かな勾配であっても明確なタイムラグが発生してしまうので、これに関しては筆者の評価は厳しい。これは、個人によって感じ方がかなり違うはずなので、気になる方はぜひディーラーでの試乗の際に確認して欲しい。
そして新型フリードハイブリッドの大きな欠点と言えるのが、距離のある上り坂に遭遇してシフトダウンした場合、そのギアでかなり長い時間引っ張り続ける傾向があることだ。
この状態は、勾配のきつい関越道の上り坂のような道で4人乗車といったシーンだと特に悲惨で、当然ながらエンジン音はうるさく、燃費は悪化。そして前述したように、ドライバーが任意でシフトアップすることもできず、坂が終わるまではどうすることもできない状態となってしまうため、早急な対応を願いたいところ。
高速道路では、安全装備パッケージ“ホンダセンシング”の先行車追従型のアダプティブクルーズコントロール(ACC)とレーンキープアシスト(LKAS)も試してみた。
新型フリードハイブリッドのACCは、オデッセイやステップワゴンなどと同様に30km/h以下の速度域では作動しないタイプなので市街地ではほぼ使えず、前述した3台のACCには燃費テストを執筆するたび「加減速が激しくて下手な人の運転に同乗しているようだ」「先行車をよく見失う」など苦言を呈してきた。
ところが、新型フリードハイブリッドのACCは、新型フリードの1.5リッターガソリンとハイブリッドの違いなのか、発表なく改良されているのか定かではないが、先行車の追従など「出来がいい」とまでは言えないものの、まずまずの完成度へ進化していた。
またLKASは、新型フリードの1.5リッターガソリンと同様に作動させると積極的に車線の中央をかなり正確にキープするように働いており、それなりの効果を感じられた。
いずれにしても、国が行うJNCAPのテストで対車両に50km/hから停止できる自立自動ブレーキの性能の高さなどを総合すれば、売れ筋のGグレードで右側の自動ドアを含めて12万円という価格は納得できるので、1.5リッターガソリン、ハイブリッド問わず新型フリードを購入する際には絶対にホンダセンシングは装着したい。
高速道路での実燃費は、後述する新型フリードの1.5リッターガソリン、ライバルのトヨタ シエンタ1.5リッターガソリンとハイブリッドの3台を10%ほど上回る22.2km/Lを記録した。
高速道路での1.5リッターガソリンに対する実燃費の向上代は期待値に届かないと感じる人も多いかもしれないが、思ったよりハイブリッドの実燃費が悪かった要因としては、やはり60kgの重量増が大きいといえそうだ。
高速道路における実燃費 | 実燃費の測定結果 |
---|---|
ホンダ 新型フリードハイブリッド/新型フリードプラスハイブリッド | 22.2km/L |
ホンダ 新型フリードハイブリッド/新型フリードプラスハイブリッド カタログ燃費(JC08モード)※参考 | 26.6km/L |
トヨタシエンタハイブリッド | 20.9km/L |
ホンダ 新型フリード 1.5リッターガソリン | 20.3km/L |
トヨタ シエンタ 1.5リッターガソリン | 19.7km/L |
ホンダ 新型フリードプラスハイブリッド 実燃費テスト/郊外路編
郊外路編では、ハイブリッドシステムの作動などをお伝えしよう。
新型フリードハイブリッド、というよりもホンダのi-DCDは、
(1)10km/hあたりまではEV走行でスタート(モーターで加速)
(2)エンジンが加わり、エンジンのみの走行、モーターアシスト、余剰トルクがあればエンジンによる発電でバッテリーに充電、バッテリー残量によってはEV走行を行うなどモーターを臨機応変に利用
※EV走行は60km/hのペースだとかなり頻度が多く、高速道路のペースでもEV走行することもある
(3)減速時には回生制動で電気をバッテリーに戻す
といった具合で作動する。回生制動に関してはブレーキペダルを踏みながらでも無駄なく効率良くバッテリーに電気が戻っているのは評価できるのだが、ブレーキペダルを踏んだフィーリングは現行プリウスやC-HRといった最新のトヨタのハイブリッドカーが良化しているのを考えると、やや不自然さを感じるのが残念であった。
郊外路での燃費は、1.5リッターガソリンの約50%増し、シエンタハイブリッドと同等の22.8km/Lを記録。やはりペースがそれほど速くなく、適度な加減速があり回生制動によるバッテリーへの戻しが多い郊外路ではハイブリッドのメリットが大きい象徴といえるだろう。
郊外路における実燃費 | 実燃費の測定結果 |
---|---|
ホンダ 新型フリードハイブリッド/新型フリードプラスハイブリッド | 22.8km/L |
ホンダ 新型フリードハイブリッド/新型フリードプラスハイブリッド カタログ燃費(JC08モード)※参考 | 26.6km/L |
トヨタシエンタハイブリッド | 23.1km/L |
ホンダ 新型フリード 1.5リッターガソリン | 15.5km/L |
トヨタ シエンタ 1.5リッターガソリン | 15.2km/L |
ホンダ 新型フリードプラスハイブリッド 実燃費テスト/市街地(街乗り)編
市街地(街乗り)編でお伝えしたいのは、市街地でのハイブリッドのフィーリングとECON(エコ)モードの印象だ。
市街地でのハイブリッドのフィーリングは若干シフトアップが遅かったりギアを引っ張り過ぎる感はあるが、渋滞中や車庫入れといった極低速走行時のスムースさも十分で、大きな問題はない。幾度のリコールを重ね、それなりに熟成されてきたといったところだろう。
ECONモードはオンにするとアクセルが操作に対して適度に鈍くなる、エアコンが適度に緩く作動するなど定番の効果が確認でき、4人乗りでも力不足などのデメリットは感じられないので、基本的にはオンにすることを勧める。
市街地での燃費は1.5リッターガソリンの50%増し、シエンタハイブリッドとほぼ同等の19.8km/Lを記録した。
数値としては申し分なく、シエンタハイブリッドには劣るものの、これは交通の流れによるものも大きく、2台の燃費自体に大きな差はないと考えていいだろう。いずれにせよ市街地でのハイブリッドの有利な面は大きいと、改めて断言できる。
市街地(街乗り)における実燃費 | 実燃費の測定結果 |
---|---|
ホンダ 新型フリードハイブリッド/新型フリードプラスハイブリッド | 19.8km/L |
ホンダ 新型フリードハイブリッド/新型フリードプラスハイブリッド カタログ燃費(JC08モード)※参考 | 26.6km/L |
トヨタシエンタハイブリッド | 21.1km/L |
ホンダ 新型フリード 1.5リッターガソリン | 13.4km/L |
トヨタ シエンタ 1.5リッターガソリン | 12.6km/L |
ホンダ 新型フリードプラスハイブリッド 実燃費テスト/総評
総合実燃費 | 実燃費の測定結果 |
---|---|
ホンダ 新型フリードハイブリッド/新型フリードプラスハイブリッド | 21.4km/L |
ホンダ 新型フリードハイブリッド/新型フリードプラスハイブリッド カタログ燃費(JC08モード)※参考 | 26.6km/L |
トヨタシエンタハイブリッド | 21.5km/L |
ホンダ 新型フリード 1.5リッターガソリン | 15.9km/L |
トヨタ シエンタ 1.5リッターガソリン | 15.5km/L |
今回の燃費テストでは、新型フリードハイブリッドが新型フリード1.5リッターガソリンの約30%増しとなる実燃費を記録し、シエンタハイブリッドとほぼ同等の燃費性能を持つことが確認できた。
では、この結果を踏まえて新型フリードハイブリッドと1.5リッターガソリンモデルの損得勘定を比較してみよう。
まず、新型フリードハイブリッドと1.5リッターガソリンモデルとの車両価格の差は約40万円であるが、装備内容の差を考慮すると約33万円となる。さらにエコカー減税ではハイブリッドが取得税、重量税が免税になるのに対し、1.5リッターガソリンは取得税が20%、重量税が25%の軽減に留まるため、エコカー減税まで含めた総合的な差額は約23万5000円まで縮まる。
ガソリン代に関しては、レギュラーガソリンの価格を1リッター134円として、総合実燃費を基準とした実燃費値でガソリン代を計算すると、約23万5000円の差額は走行11万kmを超えた頃に元が取れる計算となる。
そして、クルマを乗り替える際の査定はハイブリッドの方が有利になることも頭に入れると(ホンダのi-DCDはリコールによる評判の悪化で、先々査定が有利にならないことも考えられるが・・・)7万~8万kmの走行で元が取れると言えそうだ。
しかし、元が取れるまでに時間が掛かることや、熟成されてきているといえど新型フリードハイブリッドにクセがあるのも事実であることを考えると、新型フリードの場合はリーズナブルな価格で十分燃費が良く、完成度も高い1.5リッターガソリンを基本に選ぶことを筆者は勧めたい。
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
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一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
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一括査定は本当に高く売れるの?
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