三菱 パジェロ 試乗レポート

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これまでのパジェロ以上にパジェロらしい!

1982年に初代モデルがリリースをされて以来、日本に“RV車ブーム”を巻き起こした火付け役とも言えたのが三菱パジェロ。が、そんな“威光”の勢いも正直なところここ数年はちょっと陰りがちという印象だった。そもそもは日本のマーケットに置かれていたこのクルマの軸足が段々と海外マーケットへと移行をして行くのを見抜くかのように、日本のユーザーはパジェロというモデルに対する興味を失って行ったと言わざるを得ない状況だった。

が、それでも“パリダカ”での相も変わらぬ活躍ぶりを筆頭としたこのクルマにまつわる名声を再び盛り上げんとばかり、4代目へとモデルチェンジを行ったのが2006年秋にデビューのこの新型。今回のモデルは、“世界最大の自動車消費地”であるアメリカを敢えてそのマーケットから外した事が大きな特徴。実質的なボディ全長を従来型同様とし、全幅はむしろ20mmのサイズダウンとする、といった“英断”を行う事が出来たのも、こうして何につけてもビッグスケールの国であるアメリカが「リスト落ち」をした事と無関係ではないはずだ。

初代、2代目モデルに見られたようなプレーンな造形へ回帰

新しいパジェロを初めて目にして、「これまでのパジェロ以上にパジェロらしい!」とそう感じた人は少なくないだろう。これまで4代を数える歴代モデルの中で、先代モデルのプロポーションは確かに少々異質だった。その主な要因は「ドライバーから視認可能でサイズ感覚をつかみやすい」という機能的な理由も含め、フロントフェンダー上部が大きく盛り上がっていた事。新型では「日本では好みが別れた・・・」というそれを改めて、再び初代、2代目モデルに見られたようなプレーンな造形へと戻したのである。

実は今回のモデル、ルーフパネルやフロントドア、ウインドシールドなどのアイテムを従来型からキャリーオーバー。が、そんな制約がありながらもどんなアングルからでもキチッと“オールニュー”に見える点はなかなかたいしたもの。背負い式のスペアタイヤは一時議論もあったものの、「本格的オフローダーとしての記号性と点検の容易さという機能面も考えて」敢えて踏襲したという。

インテリアの質感はなかなか高く、ぶ厚いサンバイザーなどもヘビーデューティな作りを実感させるもの。ATセレクターの脇にトランスファレバーが並ぶという“古典的”なデザインも、今の時代となってはむしろ本格的なオフローダーらしさを演じてくれる。

どのようなシーンでも“常に余裕アリ”

新型パジェロのトップモデルが搭載するエンジン排気量は3.8リッター。4リッター、あるいはそれ以上をマークする内外ライバルたちに比べると“記号性”という点では少々の劣勢が否めない気もするが、しかし今度の心臓の武器は新しく設計されたシリンダーヘッド。今や当たり前の可変バルブタイミング・システムに加え、可変リフト・システムも吸気側に用意をした事でいざ走り出せばまずどのようなシーンでも力不足は感じない。

33:67と前後不等トルク配分を行うセンターデフ付4WDシステムをはじめ駆動系にもさして新しいメカは見当たらないが、路面を問わない踏破能力の高さはさすがはパジェロの血統。ただし、この期に及んでエア・サスペンションはおろか、レベライザーの類も設定されないのは残念だ。多人数乗車時やトレーラーの牽引時に、地上高がダウンするために踏破能力も落ちてしまうのは、せっかくの本格オフローダーとしていただけない。

『ロング』に対して全長が50cm以上も短い3ドアの『ショート』は車両重量がおよそ200kgも軽く、加速フィーリングは一段と軽快。ただし、ホイールベースも短い分そのハンドリングは時にトリッキーな感覚も示す。特に低ミュー路面ではテールが流れやすいので、スタビリティ・コントロールシステム“ASTC”は必須のアイテムだ。

パジェロらしさを取り戻し、日本市場での巻き返しへ

すでに述べたように新型パジェロのデザインは、大陸的な個性を狙った従来型のそれに比べるとより多くの人に「パジェロらしい」と直感して貰えるものだろう。動力性能的にはこれまで触れてきた3.8リッター・モデルでは「常に余裕アリ」という印象。一方、実際の販売時にはむしろ主流となりそうな3リッター・モデルでは、エンジンそのもののパワー差よりもATが5速から4速仕様へとランクダウンしてしまう影響の方をむしろ強く感じさせられる。

前述のように3ドアのショート・ボディも用意をする新型パジェロだが、日本市場ではやはり5ドアのロング・ボディが人気を集めるはず。もっとも、そこに装備をされる3列目のシートは、スペース的にも乗降性の点でも「あくまでも緊急用」というつくり。かつては一世を風靡したディーゼル・モデルは現在ラインナップに加えられないが、今後はガソリン・エンジンと同等の排ガス・クリーン性能を有する新世代のディーゼル・エンジン搭載仕様を求める声も現れそうだ。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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