【ahead×オートックワン】三菱自動車の復活~パイクスピークをi-MiEVが駆ける~

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【ahead×オートックワン】三菱自動車の復活~パイクスピークをi-MiEVが駆ける~
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三菱自動車の復活~パイクスピークをi-MiEVが駆ける~

三菱自動車の復活~パイクスピークをi-MiEVが駆ける~

三菱自動車は8月7日~12日に行われたパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム2012に出場した。

アメリカ・コロラド州で開催されるイベントで、今回で90回目を迎える。標高2862mのスタート地点から約20km先のゴール地点を目指すと、標高は4301mに達する。厳しい上り勾配はもとより、気温や気圧の変化も大きい過酷なタイムトライアルだ。

三菱自動車は2009年をもって、40年以上にわたって続けてきたモータースポーツにおけるワークス活動を終了した。今回のパイクスピークへの出場は、3年ぶりの活動再開である。しかも、単発ではなく”継続”を約束している。

WRC(世界ラリー選手権)やダカールラリーに参戦していた三菱は、なぜモータースポーツ活動復帰のステージにパイクスピークを選んだのだろうか。プロジェクトに携わった百瀬信夫さん(開発本部 EV要素研究部長)に話をうかがった。

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「エンジン系のモータースポーツは一度区切りをつけたと理解しています。クルマの楽しさを伝えるという目的に変わりはありませんが、再開にあたり今までと同じことをしたのでは意味がない。社内で議論しましたが、三菱自動車として電気自動車(EV)に力を入れているところなので、それでモータースポーツをやるべきだという結論に達しました。」

EVでモータースポーツに取り組もうとした際、立ちはだかるのはバッテリー容量に起因する航続距離である。その点、パイクスピークは約20kmのタイムアタックなのでEV特有の航続距離の短さがネックにならない。車両の諸元に関してもさまざまな視点から検討した結果、最終的には量産コンポーネントをベースにマシンを構築することに決めた。

「信頼性の確立した量産部品が競技でどこまで通用するかに挑戦するのがテーマです。信頼性をそぎ落とすことなく、いかにパワーに振るか。そのさじ加減が難しかったですね。」

パイプフレームで組み上げた車体は専用設計だが、明電舎製のモーターとリチウムエナジー ジャパン製のバッテリー、両者の電気のやりとりを制御するインバーター(明電舎製)は量産i-MieV用を流用する。i-MieVは1基のモーターで後輪を駆動するが、i-MieV Evolution(アイ・ミーブ エボリューション)と名付けたパイクスピーク参戦車両はフロントに1基、リヤに2基のモーターを搭載した4WDとした。

量産i-MieVのモーターは出力47kWだが、i-MieV Evolutionは出力を80kWに高めて使用した。信頼性をパワーに振った格好で、3基合わせると240kWになる。

だが、ライバル勢に比べれば非力。i-MieV EvolutionはEVクラス2位を記録(10分30秒850)したが、クラス優勝したトヨタ・モータースポーツ(TMG)の最高出力は350kW。7連覇を狙ったモンスター田嶋さんの車両スペックは未公表だが、TMGの車両よりパワフルだったと伝わる。

リヤは2基のモーターをシャフトで連結する構造とした。各輪独立で制御することも技術的には可能だが、タイトコーナーが多いパイクスピークではメリットが薄いと判断、今回は見送った。

各輪独立制御の場合、タイトコーナーでイン側モーターが空転する。この状況ではアウト側を受け持つモーターのトルクしか伝えられない。だが、直結ならモーター2基分のトルクを伝えられる。パワー面のハンデを駆動システムの考え方で補う判断だった。

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「ガソリン車の場合、空気の密度が低い頂上付近ではパワーが40%程度落ちますが、EVはパワーが落ちない。ただし、モーター冷却用ラジエーターの熱交換効率は落ちる。温度管理の面は未知数なまま臨みましたが、問題はありませんでした。そのほか、モーターやインバーター、バッテリーに関しても何ら問題は発生しませんでした。パイクスピーク参戦を通じて極限性能を経験できたので、その知見を小型軽量かつ高性能なモーターの開発などに生かしたいと考えています。」

バッテリー容量は量産i-MieVの16kWhに対しi-MieV Evolutionは35kWhとした。綿密に計算はしたものの容量的には不安で、余裕を持たせたのだった。

「コースレコード(9分46秒164)を狙いたいですね。あと45秒なので、キロあたり2秒強。ラリーの感覚ならキロ2秒はなんとかなる数字です。量産部品を使ってクルマづくりをするコンセプトは変えず、モーターのパワーバンドを広げたり、バッテリーの余裕を削るなどして軽量化に取り組む考え方もあります。次につながる課題がたくさん見つかりました。」

ランサーエボリューションXなどで培ったアクティブ・ヨー・コントロールの技術を投入する準備もある。量産部品にこだわったパイクスピークマシンの、次の一手が楽しみだ。

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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