燃費偽装問題に揺れた三菱 eKスペースが大幅改良！果たしてその内容は！？(2/2)

推奨グレードは標準ボディのTセーフティパッケージ

改良を受けたeKスペースの価格は、標準ボディにターボを搭載したTセーフティパッケージの2WDが158万3280円。ノーマルエンジンのGセーフティパッケージが147万7440円だから、ターボは10万5840円高いが、アルミホイールと車間距離の制御機能を持たないクルーズコントロールも加わる。この換算額を差し引くと、ターボの実質価格は約5万4000円で、eKワゴンの標準ボディにおけるターボの価格差と等しい。

そうなるとeKスペースは全車にターボを搭載して、スケールメリットにより価格上昇を抑えるのが良心的だ。ホンダのNシリーズにはターボが実質2～3万円で備わる車種もある。往年の三菱車の「フルラインターボ！」を復活させるとインパクトが強まる。

いずれにしろeKスペースでは、割安に高効率なターボを装着できる標準ボディのTセーフティパッケージを推奨したい。

ライバル車に比べ、後席サイズに余裕を持たせるも、課題はターボと安全装備

装備では安全面が充実した。ハイビーム走行時に対向車や先行車のライトを検知すると、自動的にロービームに切り替えるオートマチックハイビームが用意された。

ただしこの装備は上級のeKスペースカスタムG／Tセーフティパッケージにしか採用されない。eKワゴンと違って標準ボディのセーフティパッケージに備わらないのは残念だ。オートライトも同様だが、車両の周囲を上空から見たような映像としてルームミラーに表示できるマルチアラウンドモニターは、標準ボディにも用意された。

ノーマルエンジン車の価格は、改良前に標準ボディに設定されていたG・e-アシストが144万7200円。改良後のGセーフティパッケージはマルチアラウンドモニター（変更前はリアビューモニター）、新設定されたオートエアコンのナノイー機能、99％UVカットガラスにIRカットの機能などを加えて147万7440円だから割高にはなっていない。

日産のデイズルークスも基本的に同様の変更を受けたが、ターボはエアロパーツを備えたハイウェイスターでないと選択できない。eKスペース以上にターボを選びにくい。

eKスペース＆デイズルークスのライバル車となるタントは、マイナーチェンジで安全装備を充実させ、2つのカメラを備えることで緊急自動ブレーキの作動速度を高めて歩行者の検知も可能にした。スズキ スペーシアも以前から2つのカメラをセンサーとして機能を高めている。12月26日には新しいスポーティグレードも加わる模様だ。

2017年にはスズキ ワゴンR、ホンダ N-BOXがフルモデルチェンジされるので、改めて軽自動車が注目される。

eKスペース＆デイズルークスは、内装の質が高く、ライバル車に比べて後席のサイズにも余裕を持たせた。4名乗車が快適でセダン的な価値を備えるが、ライバル車の動向を考えるとターボを幅広いグレードに割安に装着したり、緊急自動ブレーキを進化させる必要があるだろう。

[レポート：渡辺陽一郎／Photo：和田清志]