ランエボがSUVになって復活!? 新型エクリプスクロスはスポーツカー並みのハンドリングマシンだった!(1/2)
- 筆者: 山本 シンヤ
- カメラマン:茂呂 幸正
新生三菱の第一弾モデルとしてデビューした新型エクリプスクロスPHEV。ガラっと変わった見た目もさることながら、走りの良さもかなり評判が高い。でも、一体アウトランダーPHEVとどの程度違うのだろうか? 今回は街中で実力を検証。そこから見えてきた改善点にも斬り込んでいく!>>ヘッドライトの配置に注目! 超変わった姿がコレだ
気合が違う! 新型エクリプスクロス見た目も中身も大幅進化
2017年にジュネーブショーで世界初公開されたエクリプスクロス。三菱のクロスオーバーシリーズのなかではアウトランダーとRVR(海外向けはASX)の間に位置する次男坊だが、発売から3年(日本では2年)での大幅改良を実施した。
一般的な改良のサイクルで考えると早いように感じるが、この辺りは三菱の主力モデルというコトで「常に新鮮さを保つ」、「アップデートの手を止めない」と言う想いが強いのだろう。
スマートな見た目に! 明るい車内色追加でイッキにプレミアムへ
エクステリアは三菱のデザインアイコンであるダイナミックシールドを強調させたフロントマスクにクーペフォルムをより引き上げたリアまわりと、かなり大きく手が入っている。
従来モデルはクーペSUVながらも三菱らしい力強さをアピールしていたが、新型はそれに加えてスマートさと大人っぽさがプラスされている。ボディカラーは新色「ホワイトダイヤモンド」が追加されたが、個人的にはレッドダイヤモンドよりも新型のデザインに一番マッチしている色だと思う。
大きく変わったエクステリアに対してインテリアは小変更に留まるが、大型化(7→8インチ)されたスマートフォン連携ディスプレイオーディオ(待望の純正ナビゲーション・TVチューナー搭載)やエアコンパネルのデザイン変更などにより利便性をアップ。
加えてライトグレーの内装コーディネイト追加で、従来モデルで課題のひとつだった質感もグッと引き上げられている。
中身はアウトランダーPHEVと一緒! でも味付けに違いがあった
今回の改良の最大のポイントは「PHEVの追加」である。
ただ、これに伴ってディーゼル車(2.2リッター直噴ターボ+8速AT)はラインアップから消えた(販売期間は僅か1年ちょっと)。個人的にはディーゼルが無くなったのはショックだが、VWのディーゼルゲート以降のディーゼル販売減少(欧州)と三菱が昨年発表した「新環境計画パッケージ」の中の環境ターゲット2030の取り組みのひとつ「PHEVを中心とした電動化の推進」に沿った考えだと思えば仕方ない。
マイナーチェンジ後のラインアップは新設定のPHEVに加えて、ガソリン車(1.5リッター直噴ターボ+CVT)も継続発売されている。
PHEVシステムのハードは基本的には兄貴分のアウトランダーPHEVと同じで、直列4気筒2.4リッター(128ps/199Nm)、大容量の駆動バッテリー(13.8kWh)、そして前後1基ずつの高出力モーター(82ps/95ps)で構成される「ツインモーター4WD」を搭載している。しかし、それを制御するソフトはエクリプスクロス専用となっている。
サイズ拡大のワケはPHEV追加にあった!
ちなみに新型は従来モデルに対して全長が140mm(フロントオーバーハング:35mm、リアオーバーハング:105mm)伸びているが、実はその理由はデザイン変更だけでなくラゲッジスペース下にPHEVのパワーコントロールユニットを収めるためでもあるそうだ。
アウトランダーPHEVとキャラが全然違う! 俊敏で超静かに進化
その走りはどうなのか? アウトランダーPHEVとは何が違うのか? 筆者はすでにクローズドコースで試乗済みだが、今回はリアルワールドでチェックしてみた。
パワートレインは電動化ならではの応答性の高さや力強さは共通だが、どちらかと言うと「穏やか」な味付けのアウトランダーPHEVに対して、エクリプスクロスPHEVは「俊敏さ」が際立つ味付けだ。
じつは両車の車両重量はほぼ変わらないが、乗った感じは「エクリプスクロスPHEVのほうが軽いよね?」と錯覚するほど。他社で例えるなら日産のe-POWERのノーマルとNISMOの違いようなイメージと言ったらいいだろうか? これは全開率が高いサーキットよりも過渡領域を使うリアルワールドのほうが解りやすかった。
さらに驚いたのは兄貴分のアウトランダーPHEVを超える静粛性の高さである。もちろんバッテリー残量やアクセル開度によってエンジンは始動するが、アウトランダーPHEVでは明確にわかったがエクリプスクロスPHEVは一般道では「注意して聞けば聞こえる(遠くでエンジンが回っているイメージ)」、高速道路では「ほぼ解らないレベル」だ。
この辺りは吸音/遮音性能アップに加えて、エンジンの始動のさせ方や「木を隠すなら森」とロードノイズ/風切音でエンジン音を隠す……と言った制御の工夫も効いているのだろう。
走行モードでさらに変わる! スポーツカー並みのハンドリング性能
フットワークも同様でこちらもアウトランダーPHEV譲りの「ツインモーターAWD×S-AWC」を搭載するが、乗った印象は別物。アウトランダーPHEVは「SUVにしては良く曲がるね」と言うレベルなのに対し、エクリプスクロスは重いモーターを搭載しているコトを忘れるくらいの軽快な動きとアンダーステア知らずのハンドリングが印象的である。
とくにドライブモード「ターマック」ではSUVを忘れるくらいの旋回性の高さと一体感を備える。これは電動化を用いたコトによるS-AWCのより緻密な制御とより走りに振った味付け、さらにアウトランダーよりもコンパクトサイズで慣性諸元に優れるパッケージと剛性の高いボディ(効果的な補剛+構造用接着剤採用)やサスペンションなどの相乗効果だろう。
>>ランエボと同じ名称復活! エクリプスクロスPHEVの走行モードがスゴい
今回の試乗コースの中にSUVではちょっと苦手なタイトコーナーが続くワインディングがあったが、そんなステージを走って“楽しい”と思えるレベルのSUVに仕上がっている。つまり、ハンドリングに関しては「SUVのランエボ」と言ってもいいと思う。
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