メルセデス・ベンツの3列シートミニバン、新型「Vクラス」海外試乗|開発のベンチマークは“アルヴェル”!?(3/4)

  • 筆者: 今井 優杏
  • カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
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軽さが効いたハンドリング、これが“匠の技”か

そしてこの軽さはむろん、ハンドリングにも良い影響を与えている。

試乗コースはスペイン・バルセロナ郊外をさらに山間部に向かうハンドリング・ルート。スペインはワインの産地のひとつでもあるが、言い換えれば葡萄が好む水はけの良さ=急峻な勾配を持つ土地でもある。

そんな右へ左へのつづら折りを、新型Vクラス 220dは驚くべき運動性能で駆け抜けた。

なにしろ1,200rpmから最大トルクを発揮する実力を持つ。これを遺憾なく発揮し、どんな勾配でもグイグイと駆け上がるしロール値も極めて少ない。全高からもたらされる高いアイポイントも手伝って、コーナーの先をどんどん目指したくなる愉しさに満ちている。

後席には同行のジャーナリスト氏ひとり、というほぼ空荷状態でも、リアが跳ねることはなく、ストン、としっとりと着地をこなすその挙動の収束は、まさにSUVどころかセダンレベルと思っていい。フロントが軽くなったことで前後のバランスが整い、こんなロングボディでもリアにも良い影響を与えているのだ。

さらに試乗したVクラス 220dにはスポーツシャシーが与えられていて、ねじれやヨレにはシャシー側でも対応しているらしい。

これを聞くと、開発陣はドヤ顔でこう言った。

「これが“匠の技”ですよ」

つくづく思った。メルセデス・ベンツが本気になったら本当に怖い。

我々ミニバン帝国ニッポンの住人、好き嫌いはおいといて、やはり愛国精神で「日本のおもてなし精神に勝るミニバンなんて、ドイツ人に造れるわけあるめえ、へへん」なんて高を括っていたから、ぶっちゃけ期待もさほどせず(ごめんなさい)乗り込んだのだ。

ギャフンである。これはものすごい脅威になるかもしれない。だって、ミニバンなのに運転が楽しいのだから!

ドライブモードは3つから選択可能

ドライブモードも3種類選択できる。コンフォート、ノーマル、スポーツと切り替わるのだが、Vクラスには電子制御の可変ダンパーは用意されないから、アクセル踏力に対するエンジンマッピングとシフトポイントがモードによって切り替わるのみとなる。

しかし、日本導入が期待される「アバンギャルド」には「アジリティーコントロールサスペンション」がもれなく付いてくる。これはコンベンショナルなメカサスながら、路面状況により減衰を変えるというモノ。これによりコーナリングの安定性やライントレース性は採用/非採用の同エンジンでも雲泥の差。難を言うなら、ラグジュアリーと言うには少し締まった印象を与えることだった。個人的には先述の標準で用意されているスポーツシャシーのほうがスポーツという名に相応しくないくらいのマイルドさで好印象だったけれど、さて日本導入はどうなることやら。期待したい(けど多分「アジリティーコントロール」のほうが来ちゃうんだろうなぁ)。

>>徹底的に造り込まれたインテリアのベンチマークは「トヨタ」!?[次ページ]

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今井 優杏
筆者今井 優杏

自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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