メルセデス・ベンツ EQC 試乗レポート|電気自動車であってもしっかりメルセデス・ベンツの味(4/4)
- 筆者: 河口 まなぶ
- カメラマン:佐藤 正巳
EVを意識せずに使える完成度の高さ
電気自動車といえば気になるのが航続距離だが、EQCはWLTPモードで約400kmと公表している。通常は表示の七掛けくらいが実際に安心して走れる距離だから、300kmを切るくらいは走るだろう。80kWhという容量からすると航続距離は少なめな感は否めないが、それを引き換えに優れた動力性能と乗り心地の良さなど、メルセデスらしい味わいをしっかりと表現できたのだともいえる。また充電に関しては、急速充電はChaDemoに対応し、当然家庭用の200Vにも対応するが、テスラのような専用のスーパーチャージャー等は用意されない。そうしたことや先の航続距離から考えると、使い方としても近場を中心に足として使う、いわゆるこれまでのメルセデス・ユーザーにおける2台目や3台目としての使い方を想定したものとも考えられる。そしてそう考えるとますます、見た目や操作性や使い勝手含めて、これまでのクルマから変わっても意識せずに使えるクルマであることに納得する。
そしてメルセデスではこのEQCを購入するユーザーに対して、電気自動車を購入することに関する不安を取り除くようなプランを用意している辺りはさすがだ。バッテリーは8年もしくは16万キロという十分な保証をしているし、リセール価格を保証したクローズドエンド型リースを用意するなどして、販売に関してもメルセデスらしい安心感の高さをウリにした形だ。もっともその分、車両価格は1080万円と決して安いものではないし、今年販売される分の1886エディションはさらに高額なモデルとなるわけだが。
成り立ちのオリジナリティではテスラ モデルXやジャガー I-PACEに譲るが、快適性や品質感を含めた完成度の高さはライバルを大きく凌ぐものがある。だから決して冒険はしていない、ある意味保守的な電気自動車ともいえるが、その分商品に対する信頼感はかなり高い1台といえるだろう。
そして筆者が個人的に感じていることは、このEQCはあくまで現状のEVマーケットの様子見や、EVを意識せずに使えることに重きを置いた一つの答えであり、この先にはもっと冒険した革新的な存在が控えているのではないかと思えるのだ。また同時に、既にこの段階でこの内容なのだから、次のEQSなどは相当に眼を見張るものなのだろうと容易に予測できるのである。
[筆者:河口 まなぶ 撮影:佐藤 正巳]
メルセデス・ベンツ EQC 400 4マチック 4WD 主要スペック比較表 | |
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車種名 | EQC |
グレード名 | 400 4マチック 4WD AT |
価格(消費税込み) | 1080万円 |
全長×全幅×全高 | 4761mm×1884mm×1623mm |
ホイールベース | 2873mm |
駆動方式 | 4WD |
車両重量 | 2495kg |
タイヤサイズ | 235/50R20 |
総電力量 | 80kWh |
最高出力 | 408PS |
最大トルク | 765Nm |
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