メルセデス・ベンツ Bクラス 海外試乗レポート(3/3)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:ダイムラー・クライスラー日本株式会社
新しいカテゴリーへの挑戦で輸入車戦線はいよいよ賑やかに
日本導入仕様を意識した今回のテストドライブでは、2リッターエンジンにCVTを組み合わせた『B200』と、2リッターのターボ付きエンジン同じくCVTを組み合わせた『B200ターボ』の2モデルをメインにチェック。ちなみに、こうしたパワーパックはもちろんの事、“サンドイッチ・コンセプト”に基づいた高床式構造のボディやサスペンション周りなども、もちろんAクラスですでに実績のあるアイテムをベースとしているのがこのモデルだ。
そうした事情もあってか率直なところ、走りのテイストに新鮮味は薄かった。ホイールベースが伸びた分だけピッチング挙動が弱くなったという感は受けるものの、基本的な走り味はやはりAクラス譲りの印象。すでに述べたように“スポーツ・ツアラー”を謳うモデルではあるものの、だからといって走りのテイストの点で「Aクラスよりもスポーツ度が高い」とは単純には言いかねる事は報告の必要があるだろう。
むしろ、軽快感という点では同パワーパック搭載のAクラスの方が上という感触。前述のようにホイールベースが大きく伸びた事とボディサイズの大型化に伴う重量増が、そんな印象を生み出している事は容易に予想が出来る。ただし、そんな走りのテイストというのは、見た目の雰囲気とはなかなかマッチしている印象だ。むしろ、これでAクラス以上にキビキビと走られたとしたら、Bクラスなりの見た目の印象とは大きなギャップを生み出す事になってしまうのではないだろうか。
加速の能力的にはターボ無しの『B200』でも全くの不満ナシという水準。Aクラスでも好印象を受けたCVTの出来栄えは相変わらずなかなかで、日本の市街地をイメージした微低速を中心とした走りのチェックでもその変速プログラムに全く違和感はない。アクセルペダルを踏み加えた際に「エンジン回転数のみが上昇し実際の加速がついてこない」という“空走感”が殆ど気にならないあたりも、先輩格である日本のCVT車をかなり勉強した印象。クルージング時には可能な限り低いエンジン回転数を実現させるので、静粛性が高い事も美点になる。
というわけで、Aクラスで用いた様々なハードウェアを用いつつも「新しいカテゴリーへの挑戦」を唱えるBクラス――実はそこには、Aクラスのみではカバーの難しいライバルたちの市場にも何とか食い込みたいという切実な思いも込められているように思う。具体的には、ルノー メガーヌ・セニックやプジョー307、そしてフォルクスワーゲン ゴルフから新たに派生をした“ゴルフ・プラス”などの名前をそこに挙げる事が出来そう。
いずれにしても、このBクラスのリリースでこれからの輸入車戦線はいよいよ賑やかになりそうではある。
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