マツダ3 新型車徹底解説|アクセラから「MAZDA3」へ名前を変えた理由とは(1/2)

新世代マツダ車のど真ん中をいくアクセラがフルモデルチェンジ

最近のマツダ車は、魂動デザイン[魂動(こどう)-SOUL of MOTION]とSKYACTIV TECHNOLOGY(新世代技術:スカイアクティブテクノロジー)に基づいて開発されている(他メーカーが製造するOEM車を除く)。いずれのモデルも外観はスポーティで、運転の楽しいドライバー本位のクルマ造りが特徴だ。

このマツダ車の持ち味と優れた実用性を両立した車種がアクセラスポーツ/アクセラである。ミドルサイズの5ドアハッチバック&セダンで、幅広いユーザーに適する。海外ではMAZDA3(マツダ スリー)の車名で売られ、CX-5に次いで販売台数が多い。

このアクセラがフルモデルチェンジを行い、2019年5月24日に発売された。注意したいのは、日本での車名も「マツダ MAZDA3」に変更されたことだ。

※写真 左:MAZDA3 ファストバック/写真 右:アクセラスポーツ 最終モデル

車名を変えた理由を開発者に尋ねると「新型のMAZDA3は、プラットフォームやサスペンションを刷新して、新世代商品の第1弾に位置付けられる。そこで車名も(海外と同じ)MAZDA3に変えた」とのこと。アクセラの車名で親しんだユーザーには、一抹の寂しさもあるだろう。販売店からは「噂には聞いていたが、本当に車名をマツダ3に変えるとは思わなかった」との声も聞かれる。

>>美しくてカッコいい! 新型MAZDA3の内外装を画像で見る

名前を変えたのも納得!? ガラッとイメージを変えたMAZDA3のデザイン

こだわりのために製造工場も巻き込んで造った美し過ぎる外観デザイン

車名を変えるだけあって、デザインや機能の進化は大きい。まずは外観が大きく変わった。ボディタイプは従来と同じハッチバックとセダンだが、ボディの見せ方が異なる。従来はフロントフェンダーからドアパネル、さらにリヤフェンダーに掛けて複数のキャラクターラインを入れていたが、新型ではスッキリとさせた。

その代わりフェンダーやドアパネルにボリューム感のあるウネリを持たせている。周囲の風景や光の当たり方に応じて、ボディの映り込みが多彩に変化する。

このデザイン手法は世界的な傾向で、ルノーのルーテシアやメガーヌ、新型になったBMW 3シリーズなどにも見受けられる。キャラクターラインを境に面の角度を変化させるデザインに比べると、曲面で連続的に角度が変わっていくから見映えが上質だ。

しかし見映えと質感は得られるいっぽうで、製造現場での精度を出すのが途端に難しくなるデザインでもある。マツダ3の開発者によると「かつて経験したことがないほど工場に通い、製造現場のスタッフと打ち合わせを重ねた」という。製造する立場で考えると、面倒な造形はやめて欲しいだろう。デザイナーの身勝手と受け取られかねない。しかしそのこだわりは現場でも受け入れられ、苦労して造り込んだだけに、美しいボディに仕上がった。

ボディサイズや取り回しは大きく変わらないが、デザイン重視で視界に難アリ

新型MAZDA3のボディサイズは、ハッチバックの全長が4460mm、セダンは4660mmで、全幅は両方とも1795mmだ。先代型に比べると、ハッチバックは同程度のサイズだが、セダンは全長が80mm伸びた。

ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2725mmで、先代型に比べて25mm長い。最小回転半径は5.3mで先代型と同等だから、取りまわし性に変化はないが、後方視界は良くない。サイドウインドーの下端が高めで、後ろに向けて持ち上げたからだ。

特にハッチバックは後席側のサイドウィンドウが狭い。開発者は「先代型と比べて変化はない」というが、運転席から後ろを振り返ると明らかに見にくく、購入時には縦列駐車などを試したい。カメラを使ったモニター画面に頼った後退は、危険が伴うので、後方をもう少し見えるようにすべきだ。

余談だが、視界が悪くボディも大柄になったから、国内で高いシェアを誇るアクセラの教習車は新型MAZDA3には引き継がれず廃止された。そのため、日本で売られていないコンパクトカーの「デミオセダン」(タイ製)をベースにした教習仕様車を新たに輸入する。

上質な内装と体にフィットするシート、ただし後席はさほど広くない

MAZDA3の内装は、ミドルサイズカーとあって上質だ。インパネは水平基調のデザインで、メーターの視認性やスイッチの操作性も良い。

前席は背中から腰、大腿部をしっかり支えるように造り込まれ、シートの背もたれと座面が体にピタリとフィットする。座り心地は少し硬いが、ボリュームが伴っているので長距離移動に適する。着座姿勢が乱れにくく、峠道の走りにも適する。

座り心地で気になったのは、背もたれの腰の張り出しが少し大きいことだ。相対的に肩まわりのサポートが甘く感じた。開発者に尋ねると「上体が動きやすいように、腰でしっかり支えて肩まわりは強くサポートしていない」という。

後席も座り心地にボリュームを持たせたが、足元空間は狭い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は、ハッチバック、セダンともに握りコブシ1つ半にとどまる。前席の下に足が収まりやすく、大人の着座は妨げないが、スバル インプレッサやホンダ フィットは同じ測り方をして後席の膝先空間は握りコブシ2つ半だ。そう考えると、MAZDA3はボディサイズの割には狭い。

特にハッチバックのMAZDA3の場合、窓周りの視界の悪さもありやや閉所感もある。購入を検討するなら、ショールームで実際に座り確認してみることをお勧めする。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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