なぜ廃止!? ステップワゴン特有の「わくわくゲート」は選ぶべき理由となり得る優れた機能だった!

  • 筆者: 青山 尚暉
  • カメラマン:島村 栄二/青山 尚暉/ホンダ
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2022年1月7日(金)、6代目となるホンダ 新型ステップワゴンがYouTubeで先行発表された。発売は今春とされているため、すべてではないものの、外観、内装などが公開された。そこで筆者がショックを受けたのが、5代目の大きな特徴だったわくわくゲートが廃止されたことだ。正確には、わくわくゲートのサブドアが採用されなかったところである。

今回は改めてわくわくゲートの利便性についてライバル車と比較しつつ考えてみよう。新型発売前に5代目ステップワゴンを選んだ方が良いとする理由が見えてくるはずだ。

目次[開く][閉じる]
  1. ミニバンの大きすぎるバックドアは駐車時に使用する際不便なことがある
  2. ライバル車では日産 セレナにも一部分が開閉する機構が付いている
  3. わくわくゲートを最大限活用するには3列目シートを格納する必要はあるがペットと暮らす人には特に便利

ミニバンの大きすぎるバックドアは駐車時に使用する際不便なことがある

わくわくゲートが廃止された理由は、便利すぎる使い勝手ではもちろんないはずで、リアエンドの左右非対称デザイン、バンパーレスといったところに抵抗を感じた人(特に女性?)が少なくなかったことからかもしれないが、あまりにもあっさりやめてしまったところにガッカリしたのである(新型で5:5分割、バンパー付きのわくわくゲートもできたのではないか)。

ボックス型ミニバンのバックドアは巨大で、上下開きゆえ、バックドアを全開にすると、車体後方に約1mものスペースが必要になり、壁や後ろのクルマにギリギリ止めてしまうと、バックドアを開けられない使いにくさがあるのは確か(途中で止まらなかったのもその原因)。これまで、ボックス型ミニバンを駐車してから、これではバックドアを開けられない!!と運転席に戻り、少し前進する手間を、何度経験したことだろうか。

ライバル車では日産 セレナにも一部分が開閉する機構が付いている

5代目ステップワゴン、トヨタ 先代ノア&ヴォクシー、そして日産 現行セレナといったMクラスボックス型ミニバンでは、セレナはデュアルバックドアという、バックドアのリアウインドー部分だけでも開閉でき、駐車位置にかかわらず小さな荷物であれば出し入れできる方式(ワゴンにはよくある)を採用している。

そして、バックドア全体を開けることなく、横開きのサブドアだけ開けられるステップワゴンのわくわくゲートの使い勝手の良さは、実際に使ってみれば分かる絶妙なアイデアだったのだ。いや、ガラスハッチだけ開くセレナより、横開きのわくわくゲートのサブドアのほうが便利だとも思える。

なにしろ荷物の出し入れだけでなく、人やペットの乗降までできたのだから、まさにクリエイティブムーバーの流れをくむ第五のドアと言えるのである。一方で、先代ノア&ヴォクシーのバックドアはただ大きく開くだけで、上記のように、車体後方にスペースがない止め方をすると、荷物の出し入れは困難だったのだ。

が、2022年1月13日(木)に新型ノア&ヴォクシーが発表、発売された。

世界初採用の”からくり”を使ったフリーストップバックドアが採用されたのと同様に、わくわくゲートを廃止した新型ステップワゴンにも、スパーダプレミアムラインに標準装備される、新機能の背が低い人でも手が届く位置にピタっと止まるよう、開度を記憶できるパワーテールゲートが採用されてはいる。

しかし、壁や後ろのクルマにギリギリに止めてしまうと、さすがにわくわくゲートのサブドアのようにはいかないだろうと予想する。というより、開度を記憶できるパワーテールゲート未装備のグレードだったらどうなるのだろうか?

では、先代ステップワゴンのわくわくゲートのサブドアがどのぐらい便利だったかを、改めて説明すれば、わくわくゲート=バックドア左側のサブドアは、玄関ドアのような横開き構造で、車体後部からの張り出し量がたった400mm/640mm/760mmしかなく、その3段階で少しずつ開けることができるのだ。

わくわくゲートを最大限活用するには3列目シートを格納する必要はあるがペットと暮らす人には特に便利

わくわくゲートのサブドアから人やペットが乗り降りするには、5:5分割の3列目席の左側をすっきりと床下格納しなければならないものの、そのアレンジ時のラゲッジ部分のフロア地上高は500mmと、世界のステーションワゴンのラゲッジフロア地上高の平均値、630mmよりずっと低いのだから、乗り降りは楽々。もちろん、重い荷物の出し入れも楽々なのである。

ちなみにわが家が、大型犬を含むドライブ好きの犬たちと暮らしていた時、ステップワゴンのわくわくゲートのサブドアから犬を乗せ、3列目席左側を床下格納した縦長のフロアスペースにマットを敷いて犬を乗せ、そのとなりの3列目席に飼い主のひとりが乗車したこともあった。このフォーメーションであれば、人の居住スペースとペットの居住スペースをしっかりと分けることができ、3列目席から前のスペースが犬の抜け毛などで汚れることなく使うことができたのである。

また、ルノー カングーなどのような、少しずつ開けられる横開きドアは、ペットの飛び出し防止にも効果的で、動物プロダクションなどで使用されるケースも多いのである。

そして、わくわくゲートのサブドアの内側にもドアオープナーとアシストグリップが備わり、車内側からも降車、荷物を下ろすためのサブドアを開く機能まで付いているのである(足で踏むことになる床下格納した3列目席背面は汚れに強い素材)。ほかのバックドアは内側から開けることはまずできないのだ。

先代ステップワゴンは巨大なバックドアになったためわくわくゲートが採用された?

もっとも、先代ステップワゴンのわくわくゲートの採用は、ある意味、苦肉の策だったかもしれない。というのは、リアバンパーレスの巨大バックドアだから、そのまま全開にすると車体後部には1200mmも張り出すことになってしまうのだ。

この張り出し量がノア&ヴォクシーの950mm、セレナの985mm(ハイウェイスター/デュアルバックドア部分は480mm)より大きくなってしまったため(すべて筆者の実測)、デザインを優先するとともに、車体後方直後に壁やクルマがある場面での荷物の積載性を、わくわくゲートの使いやすさ(バックドアの開けやすさ)でリカバリーしたのではないか……? なんて勘ぐることもできたりする。

とはいえ、くどいようだが、わくわくゲートのサブドアは、そもそもバックドアの開けやすさ(重くないし、背の低い人でも開け閉めしやすい)、駐車環境に左右されない荷物の出し入れのしやすさ、そして、繰り返すが、バックドア内側に唯一、ドアオープナーやアシストグリップがあり、人やペットが乗り降りできる、第五のドアとしての楽しさ、使いやすさがあったのである。

もちろん、新型はすでに分かっている範囲でも、ホンダセンシングの進化による、電子パーキングブレーキ&オートブレーキホールド機能に伴う渋滞追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)を装備。

新型ステップワゴンの2列目シートはキャプテンシートを採用して大幅に改善!

そして先代ノア&ヴォクシー、現行セレナに対して、先代ステップワゴンは2列目キャプテンシートの中寄せ機構が唯一なく、子供のおむつ替えなどに便利なセミベンチシート化ができなかったウィークポイントがあったものの、新型ステップワゴンではオットマン付き&中寄せスライド機構付きキャプテンシートの新装備でそのあたりを見事に解消。ホンダセンシングの進化についても、とくに先代ステップワゴンのACCの作動はかなり厳しいものだった(渋滞追従機能はなく、再加速性能があまりにももっさりしている)。

それを含め、ほぼあらゆる点で大きく進化し、使いやすくなっていることは明白で、走行性能や燃費性能を含め、新型の商品力が格段にグレードアップし、優れていることは間違いない。

それでもなお、あえて現行型ステップワゴンを選ぶメリットが存在している!

しかしそれでも、上記のわくわくゲートのサブドアのメリット、使い勝手の良さに共感でき、第五のドアとしての便利さを100%使いこなせるのであれば、そして先代のプレーンなエクステリアデザインのほうが好みであれば、今あえて5代目ステップワゴン(新車、中古車ともに)を検討する余地があるかもしれないということだ……(納期的にも有利かも)。

【筆者:青山 尚暉】

ホンダ/ステップワゴン
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新車価格:
316.9万円406.7万円
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20万円551.9万円

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青山 尚暉
筆者青山 尚暉

学生時代はプロミュージシャン、その後自動車専門誌2誌の編集を経てフリーのモータージャーナリストに。現在は自動車業界だけでなく、愛犬のラブラドールとジャックラッセルとともに、愛犬との快適で安全なクルマ旅を提案するドッグライフプロデューサーとしても活動中。また、クルマのパッケージを寸法で比較するため、独自の計測ツールを開発。1台につき25項目以上を詳密計測。実用性の目安として、記事中で展開している。現在、自動車用純正ペット用アクセサリーの企画、開発も行う。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。記事一覧を見る

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