ホンダのオーディオ・カーナビブランド「Gathers(ギャザズ)」が35周年記念イベントを開催! “音質”や“デザイン融和性”に妥協しないGathers奮励の歴史に迫る
- 筆者: 小松 男
ホンダ車専用のオーディオ・カーナビゲーションシステムのブランドとして長年愛され続けている「Gathers(ギャザズ)」が2023年に35周年を迎えました。それを記念して、ホンダアクセスではメディア向けにイベントを開催。Gathersのこれまでの歩みや、イベントでの体験をライター小松男さんにレポートしてもらいました。
そもそもGathersとはどんなブランド?
2023年2月17日、モビリティリゾートもてぎHondaコレクションホールにて「Gathers35周年取材会」が開かれました。
Gathersとはホンダ純正アクセサリーメーカー「ホンダアクセス」が手がけるホンダ車専用のオーディオ・カーナビゲーションシステムのブランドです。Gathersと耳にしてピンときたあなたは、きっと元・現ホンダ車オーナーでしょう。
私がクルマの免許を取得した1995年、当時我が家が所有していた4台のクルマの中の1台に、ホンダ EG型シビックVTiがあり、そこにGathersのオーディオが搭載されていました。
家の他のクルマと比べても音質が良く、友人を乗せると「Gathersじゃーん」と話題になったこともあったため、私の記憶にはしっかりと残っています。一方で、Gathersと聞いてもイメージが湧かないという方もいるはずですから、まずは当イベントのオープニングレセプションの内容に沿いながら、Gathersの歴史を紐解いていきましょう。
Gathers誕生とこれまでの歩み
1980年代前半頃からカーオーディオは普及しつつありました。その流れにあわせてホンダアクセスがホンダ車専用のオーディオブランドとしてGathersを立ち上げました。
オーディオメーカーと協力し、開発を行いながらGathersが目指したのは「もっと車内で音楽を楽しめるように、ホンダ車に合ったカーオーディオ」というもの。エンターテイメント性を高めるとともに“音”にこだわりを持ちました。
Gathers誕生時から参加したメーカーはアルパイン、クラリオン、パイオニアの3社で、シビック、CR-X、アコードの専用オーディオからスタート。
音響へのこだわりが加速してゆく中、カーオーディオ業界ではカーナビゲーションシステム(以降:カーナビ)が誕生。2000年代に入るとカーナビがGathersの主流アイテムとなっていきました。そして2010年からカーナビモニターの大型化が加速してゆくとともに、ドラレコとの連動などさらなる高付加価値化を図りつつ、現在に至っています。
需要や技術が変わりゆく中で、Gathersではいつの時代もホンダ車に合わせて専用設計を行っています。車両の開発と並行してGathers商品の開発も行われるので、そのモデル専用の音響空間を創り出せるだけでなく、デザイン性のマッチングも抜群なのが特徴でしょう。
Gathersのご紹介に続いては、35周年取材会でのイベント内容についてレポートしていきます。旧モデルから最新のアイテムまで幅広くそろえられ、歴史や進化を体感できるイベントでした。
Gathersの最新カーナビやオーディオを体験!
「リアカメラ de あんしんプラス3」体験テスト。駐車や走行時の安心感が段違いにアップ
まずはGathersのカーナビにオプション設定されている「リアカメラ de あんしんプラス3(※)」装着車を試乗体験。この機能を説明してくれたのは開発部 NVD1ブロック アシスタントチーフエンジニアの佐藤亮さん。ユーザーが求めている機能を形にするスペシャリストです。
(※)「ナビ装着用スペシャルパッケージ」装備車または「Honda CONNECT for Gathers+ナビ装着用スペシャルパッケージ」装備車専用に開発された運転支援拡張ユニット
こちらは、4つの機能が追加されます。
1つ目は自車と駐車枠との角度のずれを知らせてくれるダイナミックガイドラインと、ハンドル切れ角が視認できるアシストラインを表示する「後退駐車サポート」。
2つ目は後退時に車両後方左右から接近してくる車両や歩行者などを検知し知らせてくれる「後退出庫サポート」。
3つ目は走行中ドライバーからの死角になりやすい斜め後方に接近してくる車両を知らせてくれる「後方死角サポート」。
4つ目は車間距離が短い後続車両を知らせる「後方車両お知らせ機能」。
どれも便利な機能ですが「リアカメラ de あんしんプラス3」のオプション価格は2万2000円(税込)とリーズナブルです。
車体のサイズやハンドルの切れ角などは車種によってことなるものですが、1車種ごとにテストを繰り返して開発されていることや、あおり運転から身を守るために生み出された機能など、Gathersの高い技術力とアイデアが詰め込まれていることを感じられました。
15.6インチリア席モニターは、車内をエンタテインメント空間へ
続いてはさまざまな車種の最新のGathers製カーナビをチェック。クルマは購入してから何年間も乗り続けることが多いですよね。そうすると当初装備していたカーナビも古くなっていきます。
新車から長く乗り続けている愛車ではもちろんのこと、中古で購入した車両などでも新しいカーナビを導入したいと思うユーザーは多いはずです。そこでGathersはその声に応えました。
今回は2013年式の初代N-BOXに、2023年式の最新カーナビを装着した車両が用意されました。中古で購入した車両でも、最新のナビ変更できるのはありがたいですね。
初代N-BOXの隣に置かれた現行N-BOXには、最新の9インチカーナビを搭載。ダッシュボードから溢れんばかりの大画面ディスプレイは視認しやすく、使いやすいと感じました。
2023年の春からのデリバリーを控えているZR-VにもGathers製ナビゲーションシステムを装着。車両開発の早い段階から携わることで、インテリアとのデザイン融和性や、音響空間造りもしっかりとなされています。
そして新型ステップワゴンには15.6インチという大画面ディスプレイのリア席モニターを装着。TVやDVD、メモリーデバイスの映像出力が可能だけでなく、HDMIを介しスマートフォンなどとのミラーリングも可能なので、車内シアター空間を生み出すことができます。
“音質”へのこだわりもマニアック。ホンダ車専用に開発されたハイレゾシステム!
続いては高音質と定評のあるGathersの音づくりについて、開発部 NVD1 ブロック アシスタントチーフエンジニアの古賀勇貴さんに話を伺いました。
クルマというのはモデルごとに車内の広さも違えばシッティングポジション、スピーカーの位置も異なるもの。そこでGathersでは車種ごとの音響特性に合わせて、実車を用いてセッティングを行っているとのことです。
さらにハイレゾ音源を高音質で再生するために、ハイグレードスピーカーシステムをオプションで用意。ハイグレードスピーカーシステムには「DAIATONE SOUND」というチューニングが施されていたり、「音の匠」というモードが用意されています。
「DAIATONE SOUND」は、耳の位置付近にマイクをセットし聞こえ方の検証を行っているほか、各スピーカーの音の聞こえ方などを徹底的に追求しチューニングされています。
「音の匠」はボーカルや演奏者の躍動感・空気感をエモーショナルに感じられるサウンドを、ボタンひとつで楽しめるモードです。音楽エンジニア集団”ミキサーズラボ”と連携し、車両ごとに音の検証調整が行われています。
通常のスピーカーとハイグレードスピーカーシステムを装着したデモ車を両車聞き比べてみました。はっきり言って通常スピーカーでも十分に良好なサウンド。さすがは“音質”のGathersです。
しかしハイグレードスピーカーシステムはそれ以上のもの。深みのある音色を表現しており、低音から高音までしっかりとした張りを持たせつつワイドな音の波を生み出していました。
今回は停車中のテストのみでしたが、もちろん走行時のことも考えて開発されているので、機会あれば実際に走らせてサウンドチェックもしてみたいですね。
Gathers最新カーナビの開発陣にインタビュー
最後にGathersの最新カーナビの開発者の2人にインタビューの機会をいただきました。
「時代の流れに乗ってクルマの製造技術や機能が進化してきたように、カーオーディオの方向性やトレンドも変化してきました。まずは90年代中盤になるとナビゲーションシステムを開発し、そのベースシステムもCD、DVD、HDD、メモリと進化してきました。Gathersとしてはホンダと手をつないで車両と平行して開発できることを強みに、いつの時代も最新ナビゲーションシステムを世に送り出しています。最近ではディスプレイの大画面化、そして音楽メディア、映像メディアのより上質化を進めつつ『リアカメラ de あんしんプラス3』のような運転支援システムにも着手しています。Gathersは高付加価値を提供しているのです」とアシスタントチーフエンジニアの大坪浩也さん
そしてチーフエンジニアの加藤智久さんはこう続けてくれました。
「1インチでも大きな画面を搭載したいという気持ちから、以前はDIN規格(ドイツで作られたカーオーディオの工業規格)からの脱皮に注力したこともありました。ビスの位置決めから、作動角度の調整まで、もうパズルみたいに一つずつ手探りで開発してきました。2010年代半ばには9インチという大画面を提供することができました。直近では新型ステップワゴンでのGathersが新世代と呼べ、本当に車両開発の早い段階から、チームに加わってナビゲーションシステムを造り上げることもできました。直線基調のインダッシュがトレンドとなってきており、そこにマッチするディスプレイを開発していますが、ただ大画面にするだけでは視界の妨げとなってしまうので、ドライバーや車内空間を共にする皆が楽しむことができる製品開発を心掛けています」
Gathers35年を知り、今後の進化をさらに期待する!
35年はとても長い時間です。それだけブランドを守り続けるということは並大抵のことではないでしょう。私は今回の「Gathers35周年取材会」に参加し、そこで得た体験というものに、スタッフ一人ひとりのGathers愛を感じました。
そしてその裏側には、ホンダ車と共存してきたという強みも伝わってきました。Gathersはホンダと、さらには各オーディオメーカーと手を取り合って、車両に合った製品づくりをこれからも続けてゆくでしょう。
なお、私は今回のイベントに初期型ステップワゴンで行きましたが、その車内ではいまだに当時のGathersオーディオが現役で音を奏でてくれています。
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