プリウスvsインサイト因縁の対決が再び! ホンダ新型インサイトが上級セダンに大化けした理由

  • 筆者: 桃田 健史
  • カメラマン:桃田 健史/本田技研工業

あれ、ホンダ 新型インサイトはどこ!?

北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)の報道陣向け初日となった現地時間1月15日の午前8時。ショー展示会場がオープンとなったと同時に、ホンダのブースに来たのだが、新型インサイトが見当たらない。

と思ったら、ブースのド真ん中のターンテーブルで回っている渋いシルバーカラーの、ちょっと高級そうなセダンが目にとまった。なんと、これが第三世代のホンダ インサイトだったのだ。

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インサイトと言えば、初代は2シーターの”かなり尖ったエコカー”として登場。発売当時、首都高速を走ってみると、まるでレーシングカーでサーキット走行をしているような気持ちになった。それくらい、路面からダイレクトなフィードバックがある乗り味だった。

その後、第二世代が登場した際、同車の開発担当者やデザイン担当者へのインタビューを各種の自動車雑誌向けに行ったことを思い出す。第二世代は、すでにハイブリッドの王道だったトヨタ プリウスとの明確な差別化を図ることで、ホンダのエコカー戦略を強調する狙いがあった。

ただし、初代のような尖った設計思想ではなく、日米の平均的な家庭に受け入れられるような小型車としての位置付けも重視した。その上で、初代で培った空力特性やデザインイメージを踏襲して、後席は事実上の荷室として捉えた、4ドアハッチバックとした。

だが、こうしたホンダの思惑は大きく外れた。アメリカのディーラーやホンダユーザーからは「後席が狭くて、使い勝手が悪い」という声が多数聞こえてきたのだ。販売実績でもライバルのプリウスとの差は歴然だった。

その後、デトロイトショーやロサンゼルスショーなどで、筆者がホンダ幹部と意見交換した際、「当初の企画は事実上の失敗。インサイトはアメリカでの発売を止める」との決断の弁を聞いた。

シビック、アコードを従えた新生イメージ創出

そして迎えた2018年1月、第三世代インサイトがコンセプトモデルとして登場したのだ。ホンダのブースで確認したところ、今回はデザインコンセプトのみの公開のため、日本からインサイトの開発担当者らのメディアへの対応は行う予定がない、という回答だった。

日米のホンダウェブサイトに公開されたプレスリリースでは、シビックより一段上級なセダンという設定を明らかにした。確かに、コンセプトモデルの実車を見ると、ボディの大きさ感は、シビックより大きく、アコードより少し小さいイメージだ。

デザインのテイストを筆者の言葉で表現すれば、“ナチュラル”。スポーティなセダンなのだが、無理やり自己主張するようなマネはしていない。初代と第二世代と比べると、コンサバな印象で、北米での中型セダン市場向けの、C又はDセグメントの王道といった感じがする。

ホンダとしては、シビックとアコードというアメリカ市場での屋台骨と、インサイトの共栄共存を明確に打ち出したのだと思う。

気になる1.5リッターハイブリッドの実力

その上で、プレスリリースにあるように、第三世代インサイトが搭載する1.5リッターハイブリッドで、ホンダらしい新技術がどのように盛り込まれているかに関心が高まる。また、クラリティのように、インサイトでもプラグインハイブリッド車やEVなどの多様な電動パワートレインを採用することになるのだろうか?

第三世代インサイト、北米での発売は2018年夏。日本導入について、ホンダ関係者は「YES」と答えたものの、発売時期については口外しなかった。ただ予想されるに北米導入から半年後の2018年後半から2019年初頭ではないかと思われる。

日本で再び因縁の「プリウス vs インサイト」の対決が見られるのかにも注目だ。

[Text:桃田健史]

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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