スポーツ性能を極めると“快適”も極まる!? フィット Modulo X(モデューロ エックス)はマニアに独占させておくのがもったいない逸品だった

  • 筆者: 伊藤 梓
  • カメラマン:小林 岳夫
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ド派手なデザインが話題を呼んでいるホンダ フィットのカスタムコンプリートカー「フィット e:HEV Modulo X(イーエイチイーブイ モデューロ エックス)」を、テストする機会を得た。試乗してくれたのは、自動車ライターの伊藤 梓さん。穏やかなキャラのフィットとはどこがどう違うのかじっくり解き明かしてくれた。「これは単なるマニア向けのスポーツモデルじゃない」と語る、その理由とは。

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目次[開く][閉じる]
  1. ホンダのコンプリートカー“Modulo X(モデューロエックス)”シリーズにフィットが新登場
  2. エンジンの強化や車体の補強はなく、サスペンションのバネもベース車と共用…しかし“空力”がクルマを大きく変えた!
  3. クローズドコースでも試乗! あまりに良好なグリップ性能にスポーツタイヤかと思ったら…ベース車と同じエコタイヤだった衝撃!
  4. エンジニアたちが生み出す「地道だけど凄い技」の積み重ねが、Modulo Xの“安心”で“楽しい”走りを生んだ

ホンダのコンプリートカー“Modulo X(モデューロエックス)”シリーズにフィットが新登場

ホンダのコンプリートカー“Modulo X(モデューロエックス)”を開発しているホンダアクセスは、新たに「フィット e:HEV Modulo X」を発売した。

コンプリートカーというと、バリバリにチューニングしたスポーツカーをイメージしがちだが、Modulo Xは違う。スポーツカーというより、乗員全員がクルマにいる空間を楽しめるように、ベースモデルからさらに一段階進化した上質なモデルになっているのだ。

「でも、実際に乗ってみないと、その良し悪しは分からない!」ということで、フィット e:HEV Modulo Xの性能を探るために、一般道から高速道路、さらに群馬県みなかみ町にある群馬サイクルスポーツセンターのクローズドコースでも試乗してみた。

ちょっと意外!? Modulo Xは、フィットの上級グレード「LUXE(リュクス)」をさらに上質に仕立てたモデルだった

フィット e:HEV Modulo X(以下「フィット Modulo X」)は、最上級グレードのLUXE(リュクス)をベースに、LUXEよりもさらに上質なモデルをイメーシして作られたという。

しかし上質なモデルというより、パッと見ると「スポーツモデルかな?」と感じるデザインをしている。フィットの標準モデルは、限りなくグリルが小さく、シンプルなデザインだが、フィット Modulo Xはグリルの開口部が大きく、トヨタが世界ラリー選手権出場をイメージし開発した「GRヤリス」のような戦闘的なイメージを受ける。

さらに室内は、赤いアクセントカラーが随所に散りばめられめいて、クルマ好きの心をくすぐるようなデザインだ。シートは体に接する部分がスウェード調になっていて、多少のスポーツドライビングをしても体をしっかりホールドしてくれる。

エンジンの強化や車体の補強はなく、サスペンションのバネもベース車と共用…しかし“空力”がクルマを大きく変えた!

意外と制約も多かった「フィット Modulo X」の開発要件

しかし、フィット Modulo Xは、GRヤリスのように「ボディーワークやエンジン、サスペンションまで全て別物!」というわけではない。たとえば、走行性能に関わる部分で変更されているのは、フロント/リアバンパー、ダンパー、16インチアルミホイール、テールゲートスポイラーのみと、限りがある。試乗する前は「これだけで走りの性能が変わるのかな?」と疑問だった。

ところが試乗してみると、それが予想を上回る出来だった。

ノーマル フィットの柔らかさとは異なり、適度に引き締まったフィット Modulo Xの足回り

まずは、公道から試乗スタート!

最初は「標準モデルより足回りが少し硬いかな?」と思っていたが、しばらく運転していると、クルマの上下動が少ないことに気づいて「これはこれで快適」という印象に変わった。

標準モデルのホンダ フィットは、サスペンションをよくストロークさせる、いわゆるフランス車のような柔らかい乗り心地だが、フィット Modulo Xは、ストローク感が少なく少々硬めで、路面の凹凸をスタンスタンと小気味よく乗り越えていくような感覚だ。これは、どちらが良い悪いではなく、自分の好みの問題になるので、参考にしてもらえればと思う。

下道をトコトコ走っている分には「ものすごくハンドリングが良い!」などとは、感じなかった。走りの違いがはっきりと感じられたのは、高速道路に乗ってから。100km/h付近まで速度を上げると、車体がピタッと安定するのだ。コンパクトカーだと高速道路でふらつくモデルも多いが、フィット Modulo Xの直進安定性は抜群で、都内から郊外までのロングランも快適だった。

開発者がこだわった空力性能の効果は、日常走行の領域でも十分に体感可能だった

Modulo Xシリーズは、日常でも空力効果を感じられるという“実効空力”を大切に開発しているので、よくクルマを運転している人であれば、その効果も実感しやすいと思う。

今回のフィット Modulo Xは、エンジニアとデザイナーが密にやりとりすることで、高レベルの空力性能とデザインを両立しているという。なんとデザイナーも社内のテストライセンスを取って、エンジニアとテストコースを一緒に走り「ああでもないこうでもない」と議論を交わした。ピットに戻れば、その場でエアロパーツを手作業で削ったりして修正し、幾度となくテストを繰り返したのだとか。

クローズドコースでも試乗! あまりに良好なグリップ性能にスポーツタイヤかと思ったら…ベース車と同じエコタイヤだった衝撃!

まずはベースのフィット LUXEでコースを走行! これはこれで楽しいけれど

クローズドコースの群馬サイクルスポーツセンターでは、さらに標準モデルとの明確な違いを感じることができた。

最初にベースとなったフィット LUXEに乗ってコースを走ってみると、軽く流している時には楽しいのだが、少しスピードアップして攻めてみるとグリップの限界が低く、すぐにタイヤが滑り始めてヒヤッとするシーンも。群馬サイクルスポーツセンターは、路面のアンジュレーション(うねり)が複雑で、かつコーナリングも多様なので、きちんと走れるクルマでないと途端に破綻してしまう。

4輪がピタッと接地する感覚! Modulo Xでは安心してスポーツ走行を楽しめた

これがフィット Modulo Xに乗り換えると、まるで違うモデルのように激変!

Modulo Xは、4輪が路面にピタッと接地している安心感があり、常にタイヤがグリップしている感覚が分かるので、LUXEのように攻め込んでも、危なげなくどころか、とても楽しく走り切れてしまった。

あまりにグリップ感が違って、路面に吸い付くように走るので、クルマから降りてすぐ「スポーツタイヤだっけ!?」とタイヤの銘柄を確認してしまった。

しかしタイヤは、先ほどのLUXEと同じ、ヨコハマタイヤのブルーアースという燃費にも優れた標準タイヤ。エコタイヤのグリップをここまで引き出せるとは……。あまりに驚いてエンジニアにたくさん話を伺ってしまった。

エンジニアたちが生み出す「地道だけど凄い技」の積み重ねが、Modulo Xの“安心”で“楽しい”走りを生んだ

今回フィット Modulo Xでこだわったのは、クルマの前後のリフト値を均等にし、全てのタイヤに仕事をさせて、安定した走りを実現することだという。

ベースの標準モデルはフロントが重くやや前傾姿勢になっており、高速走行中には不安定になりやすい。Modulo Xでは、きちんとリアにも荷重がかかるように空力性能などを突き詰めた。専用のホイールもサスペンションの一部として考え、適度にたわませることで、タイヤの接地性をさらに向上。

リアスポイラーは、大きすぎるとリアに過剰な荷重がかかるため、見た目の派手さやドレスアップ効果は求めず、前後のバランスを取った最適な形とサイズにするため議論を重ねたそうだ。

複雑なセンサーを用いるADAS(先進運転支援システム)の進化に伴い、車高や姿勢の変化に対し厳しい要件が求められていた

また、近年充実してきた先進安全装備によって車両のセンサー類が増えたため、その装備を活かしつつチューニングできる領域はかなり狭く、とても苦労したという。ノーマルモデルに対し車高や姿勢が変化してしまい、システムが十分に機能しないようでは絶対にNGなのだ。

このようにフィット Modulo Xは開発者全員でクルマを乗り合い、様々なパーツを徹底的に研ぎ澄ました結果、ここまで気持ちよく走れるモデルになっていることに、驚きのひとこと!

マニアだけに独占させるモデルにあらず! スポーツモデルだからと敬遠するユーザーこそ一度試して欲しい逸品だった

個人的には、Modulo Xシリーズは、単にクルマ好きだけが喜ぶモデルではないところがいいなと思う。もちろん運転して楽しいモデルには違いないが、快適性や安全性が損なわれていないので、同乗者もクルマで過ごす時間を楽しめるからだ。

“Modulo X”がスポーツモデルだと思って敬遠している人にこそ、ぜひこのフィット e:HEV Modulo Xを試して欲しい。

[筆者:伊藤 梓(自動車ライター)/撮影:小林 岳夫]

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伊藤 梓
筆者伊藤 梓

グラフィックデザイナー時代にミニカーの商品を担当するようになってから、どっぷりと車に魅了されるように。「こんなに人を惹きつける車というものをもっとたくさんの方に知ってほしい」と、2014年に自動車雑誌の編集者へと転身。2018年に、活動の幅を広げるために独立した。これまでの経験を活かし、自動車関係のライターのほか、イラストレーターとしても活動中。記事一覧を見る

監修トクダ トオル (MOTA編集主幹)

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