ホンダ 新型フィット 試乗&解説 Vol.3|走りの性能編

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東京モーターショー2019で世界初公開されたホンダの新型FIT(フィット)が、2020年2月14日にいよいよ国内で発売。MOTAでは期待のニューモデルに早速公道で試乗することが出来た。フルモデルチェンジで大きく変化を遂げた4代目フィットの全てについて、4部構成で徹底的にご紹介していく。第3弾では、新型フィットの走りについて、1.3リッターとハイブリッドモデルそれぞれの違いも含めて詳細にチェックした。国内外全ての新車情報について精通するクルマ選びの達人、カーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎氏がレポートする。

>>フルモデルチェンジで生まれ変わった新型フィットを徹底解説![フォトギャラリー]

目次[開く][閉じる]
  1. 1.3リッター車とe:HEV ハイブリッド車、走りの違いは!?|動力性能編
  2. 1.3リッター車とe:HEV ハイブリッド車、走りの違いは!?|走行安定性編
  3. 【動画】ホンダ 新型フィットe:HEV HOME 公道試乗

1.3リッター車とe:HEV ハイブリッド車、走りの違いは!?|動力性能編

1.3リッター車の動力性能をチェック

次は、新型フィットの運転感覚をチェックしたい。まずは直列4気筒 1.3リッター ノーマルエンジンの動力性能から。

こちらはコンパクトカーの平均水準だ。登坂路では少しパワー不足でノイズも拡大するが、さほど大きな不満はない。やや高回転指向だから、もう少し実用回転域の駆動力を高めると扱いやすくなる。

アクセルペダルを深く踏み込むと、エンジン回転が6,000回転まで高まった後に5,000回転まで下がり、再び6,000回転に上昇する。有段変速風の演出だが、実用的な意味は乏しい。特に1.3リッターエンジンは前述のパワー不足を感じる場面もあるから、フル加速時には、加速効率が最も高い回転域を保つのが良い。CVT(無段変速AT)のメリットもこの点にある。

e:HEV ハイブリッド車の動力性能をチェック

いっぽう新開発のハイブリッドシステム、e:HEV(イー・エッチイーブイ)を走らせた印象はどうだろう。

新型フィットのe:HEVは、ステップワゴンやインサイトなどに採用されたハイブリッドシステム「i-MMD」と基本的には共通のメカニズムを備える。1.5リッターエンジンは発電機を作動させ、その電気を使って、駆動用モーターを回す。高速巡航時は、エンジンがホイールを直接駆動するが(その方が高効率だから)、通常はエンジンは発電、駆動はモーターが受け持つ。

従って、新型フィット e:HEVの運転感覚は電気自動車に近い。

モーターは反応が素早いため、追い越し加速などは力強い。ノーマルガソリンエンジンに当てはめると、1.8リッターから2リッター並みの動力性能を感じる。加速の仕方が滑らかで、静かなことも特徴だ。

e:HEVも1.3リッターガソリンモデル同様に、エンジン回転が上下しながら速度を高めるステップ変速制御を採用した。ただハイブリッドのエンジンは発電用だから、完全な演出だ。そのために有段ATの雰囲気を巧みに再現している。実用的な意味はないが、エンジンを回している感覚は盛り上がる。

1.3リッター車とe:HEV ハイブリッド車、走りの違いは!?|走行安定性編

旧型で物足りなかった乗り心地を改善

新型フィットの走行安定性は、コンパクトカーの中では優れた部類に入る。

プラットフォームは先代型を継承するが、サスペンションの取り付け剛性を高めるなど、改良を施した効果が大きい。後輪の接地性を高め、操舵に対する反応の鈍さも感じにくい。

乗り心地は、時速40キロ以下を中心に硬さが少し気になるが、コンパクトカーとしては優れた部類に入る。突起を乗り越えた時の突き上げ感も抑えた。特に先代フィットの場合、カーブを曲がっている最中にデコボコを乗り越えると、鋭い突き上げ感がステアリングにも伝わり進路を乱される傾向があった。新型はこれらの不満を解消している。

1.3リッター車の16インチタイヤ装着車が好バランス

その上で、グレードと装着タイヤによる違いもある。

走行安定性と乗り心地のバランスが最も優れているのは、1.3リッターのノーマルエンジンを搭載する16インチタイヤ(185/55R16)装着車だ。指定空気圧は前輪が220kPa、後輪は210kPaと妥当で、軽快な操舵感、危険回避時を含めた安定性、粗さを抑えた乗り心地を両立させている。

同じノーマルエンジン車でも、15インチ(185/60R15)は転がり抵抗を抑えた燃費重視の性格が強く、指定空気圧も前:240/後:230kPaに高まるから、乗り心地も硬くなりやすい。

e:HEV(ハイブリッド)車は若干の硬さを意識させられる

フィット ハイブリッド(e:HEV)は1.3リッター車に比べ車両重量が100kgほど重く、峠道は少し曲がりにくい性格に仕上げた。その代わり安定性はほとんど悪化しない。

乗り心地は、1.3リッター車に比べてタイヤの硬さを若干意識させる。16インチ(185/55R16)でも、指定空気圧は前:240/後:230kPaと少し高まる影響もある。

クロスオーバーモデルのフィット クロスターはSUV風の柔軟な乗り心地が味わえる

注目されるのはクロスターで、操舵感は穏やかだが、乗り心地はほかのグレードよりも柔軟だ。タイヤサイズはノーマルエンジン、ハイブリッドともに専用の16インチ(185/60R16)で、空気充填量も多く、路面からのショックを吸収しやすい。最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)を拡大しても、サスペンションのストローク(伸縮する範囲)は増えていないが、SUVらしい乗り心地を演出できている。

[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:茂呂 幸正]

>>VOL.4はまとめ&結論! 1.3リッターとハイブリッド、どっちが買い!?編をお届け

【動画】ホンダ 新型フィットe:HEV HOME 公道試乗

ホンダ フィット e:HEV クロスター / ホンダ フィット ホーム 主要スペック比較

車種名

フィット

フィット

グレード名

e:HEV クロスター

ホーム

価格(消費税込み)

229万円

172万円

全長×全幅×全高

4090mm×1725mm×1545mm

3995mm×1695mm×1515mm

ホイールベース

2530mm

2530mm

駆動方式

FF

FF

車両重量

1200kg

1090kg

乗車定員

5名

5名

エンジン種類

直列 4気筒 DOHC

直列 4気筒 DOHC

総排気量

1496cc

1317cc

エンジン最高出力

72kW(98PS)/6400rpm

72kW(98PS)/6000rpm

エンジン最大トルク

127Nm(13kg・m)/4500rpm

118Nm(12kg・m)/5000rpm

トランスミッション

電気式無段変速機

CVT(無段変速オートマチック)

使用燃料

レギュラー

レギュラー

燃料消費率(JC08モード燃費)

34.6km/L

22.8km/L

燃料消費率(WLTCモード燃費)

27.2km/L

20.2km/L

燃料消費率
(WLTC:市街地/郊外/高速道路モード)

27.0km/L/29.7km/L/25.8km/L

15.5km/L/21.0m/L/22.6km/L

タイヤサイズ

185/60R16

185/60R15

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ホンダ/フィット
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新車価格:
172万円284.7万円
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12万円300万円

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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