ホンダ フィットが2019年秋フルモデルチェンジ! 小型車用“i-MMD”で低燃費と走りを両立! 価格やスペックを徹底予想(2/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
新型フィットにはホンダ初となる“小型車向けi-MMD”を搭載
ホンダの八郷 隆弘社長は、パワートレーンについても言及した。ホンダのハイブリッドでは新しい世代に位置する2モーターハイブリッドシステムのSPORT HYBRID i-MMD(インテリジェント・マルチモード・ドライブ/以下、i-MMD)を小型車向けに開発して、次期フィットに搭載するという。
ちなみに現行フィットのハイブリッドは、1個のモーターに7速DCT(2組のクラッチを使う有段7速AT)を組み合わせたi-DCDだ。モーターが1個だから、減速時に発電を行って電気をリチウムイオン電池に蓄え、走行に使う。発電とモーター駆動を同時には行えない。
しかしi-MMDは2モーター方式だから、発電とモーター駆動を同時に行える。そして高速巡航時を除くと、エンジンは1個のモーターを使って発電を行い、もうひとつのモーターが駆動を担当する。
この方式であればエンジンは発電に専念できるから、i-MMDなど従来のハイブリッドのように、走行速度に応じてエンジン回転数を上下させる必要はない。常に効率の優れた回転域で回すことが可能だ。
そうなると低速走行時などは、走行に必要とされる以上の発電をすることもあるが、この時には余剰な電力をリチウムイオン電池に蓄える。そうすればエンジンを停止させた状態で走れる距離も長くなる。
新型フィットの登場でより広まる!? i-MMDの魅力
以前インサイトでテストした結果によれば、市街地と高速道路を使った全走行距離の内、60%以上はエンジンを停止させて走った(省エネ運転はせずに普通の走り方であった)。そうなれば実用燃費を向上できる。
そしてi-MMDはモーター駆動が基本だから、変速ショックはなく加速はスムーズだ。エンジンノイズも抑えられる。モーターは瞬発力が高いから、アクセル操作に対する反応の仕方が機敏で、運転がしやすくスポーティな感覚も味わえる。i-MMDは次期フィットにとって、魅力的なパワートレインになるだろう。
気になるエンジンラインナップ、価格はどうなる? 徹底予想
新型フィットには“1リッターターボ”を設定する可能性も
このほかのエンジンとしては、直列3気筒1リッターターボを搭載する可能性もある。1リッターターボは、欧州ではミドルサイズのシビックに搭載され、効率の良い走りを実現しているからだ。ただしターボを装着すると、ノーマルエンジンに比べてコストが高まるのは避けられない。ここが難しいところだろう。
今のクルマは、安全装備の充実や環境性能の向上により、価格を全般的に高めている。現行フィットの1.3リッターノーマルエンジン搭載車も、安全装備のホンダセンシング、サイド&カーテンエアバッグ、LEDヘッドランプなどを標準装着した13G・Lホンダセンシングが165万3480円だ。ハイブリッドなら話は別だが、ノーマルエンジンのコンパクトカーが今以上に高くなり、180万円を超えると購入しにくくなってしまう。
従って1.3リッターのノーマルエンジンも残すだろう。価格は現行型と同等だ。1.3リッターのノーマルエンジンを搭載した買い得グレードが165~170万円、3気筒1リッターターボが180~190万円(現行1.5リッターと同等)、ハイブリッドは現行型よりも少し高まり220~230万円だろう。
安全装備と運転支援機能のホンダセンシングも、機能を向上させる可能性が高い。ドライバーの死角に入る後方の並走車両を知らせるブラインドスポットインフォメーションなども選べるようになりそうだ。
新型フィット、ホンダの基幹車種だけに期待できる一台
そして将来的には、充電可能なプラグインハイブリッドなどを追加することも考えられるため、次期フィットはプラットフォームを刷新し、今後発売される別の車種とも共用する。プラットフォーム(車台)の進化により、走行安定性や乗り心地も向上するだろう。
このように小型車向けに開発された新しいハイブリッドのi-MMDを含めて、次期フィットでは機能が幅広くフルモデルチェンジされる。価格は前述のように割安だから、ライバル車に対する価格競争力も優れている。
フィットは海外でも人気が高く、ホンダの基幹車種に位置付けられるから、次期型も渾身の開発を行っている。今後はフルモデルチェンジの周期が長くなることも予想され(現行型も発売から6年近くを経過した)、8~10年先まで通用するクルマを開発するだろう。それだけに新型フィットを選ぶ価値も高まるわけだ。
[筆者:渡辺 陽一郎]
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