C-HR/CX-3/ヴェゼルを徹底比較 ~スタイリッシュで走りも楽しいコンパクトSUV~(2/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:原田淳・和田清志
最近のトヨタ車のトレンドに沿った外観が特徴
トヨタ C-HRはTNGA(トヨタが展開するクルマ造りの構造改革)の考え方に基づいて開発され、車両の土台に相当するプラットフォーム、駆動力を伝えるパワートレーンは、現行プリウスから採用が開始された新しいタイプを使う。
そのためにサスペンションも前輪側がストラット、後輪側がダブルウィッシュボーンの4輪独立懸架とした。
エンジンは直列4気筒で、プリウスと同じ1.8リッターエンジンをベースにしたハイブリッドと、オーリスに先行搭載された1.2リッターのターボがある。
駆動方式は、ハイブリッドには前輪駆動の2WD、ターボには4WDを組み合わせた。ハイブリッドの4WD、ターボの2WDは用意されない。
ボディサイズは全長が4360mm、全幅が1795mmとされ、両方の数値ともオーリスを30mm上まわる程度となり、SUVではコンパクトな部類に属する。全高はハイブリッド(2WD)が1550mmで立体駐車場を使いやすく、ターボ(4WD)は1565mmとなる。
外観はフロントマスクやフェンダーの張り出しなど、彫りの深いデザインで彫刻を連想させる。ヘッドランプが薄い横長になるフロントマスクは、プリウスやマイナーチェンジを受けたマークXなど最近のトヨタ車に通じる形状だ。
それでもC-HRはボディサイドのデザインも個性的だから、斬新ともいえるフロントマスクとの造形的なバランスが取れている。
魂動デザインの外観やディーゼルエンジン、6速MTなど個性的な要素が多い
マツダのSUVとしては、2016年12月15日に新型が発表されたCX-5が知られるが、コンパクトサイズに位置付けられるのがCX-3だ。
プラットフォームの基本部分はデミオと共通で、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も同じ数値の2570mmだが、足まわりの造りは異なる。前輪側がストラットの独立式、後輪側はトーションビームの車軸式という形式は共通だが、ホイールを支えるボルトはデミオが4本、CX-3は5本(5穴)になる。
エンジンは直列4気筒1.5リッターのクリーンディーゼルターボのみを搭載する。欧州など海外市場には4気筒2Lのガソリンエンジンも用意されるが、国内では販売されていない。
トランスミッションは、6速ATに加えて6速MTも全車に設定した。CX-5は先代モデルも新型モデルも6速ATのみだが、現行アテンザ以降に発売されたマツダのディーゼル車には、6速MTを用意する車種が多い。
駆動力の高いディーゼルを6速MTで操る感覚は格別で、マツダ車を選ぶ理由にもなり得るだろう。駆動方式は前輪駆動の2WDと4WDを設定した。
ボディサイズは全長が4275mm、全幅が1765mm、全高が1550mmとなる。C-HRに比べると85mm短く、30mm狭い。全高は等しいが、ボディはひとまわり小さい印象だ。
CX-3の外観は先代CX-5以降に発売されたマツダ車に共通する魂動デザインがテーマ。フロントグリルが大きく、その両脇のヘッドランプは切れ長で精悍な顔立ちだ。
ボディサイドは、フロントウインドウの位置を後退させてボンネットを長く見せている。フェンダーの張り出しなど、ボリューム感も強めている。
平凡に見せながら馴染みやすい外観で高人気を獲得
小型&普通車のSUVで、最も販売台数の多い車種がホンダ ヴェゼルだ。人気を高めた理由は、コンパクトなボディで価格も安く、その割に居住性や積載性が優れていることにある。
全長は4295mm(RSは4305mm)、全幅は1770mm、全高は1605mmで、C-HRに比べると60mmほど短く、25mm狭い。狭い街中でも運転のしやすい大きさだ。
その一方で全高はCH-Rよりも40~50mm高く、立体駐車場は利用しにくいが、居住空間を広く確保した。プラットフォームはフィットと同様の造りで、燃料タンクを前席の下に搭載する。そのために後席の足元空間が広がり、ホイールベースも2610mmと比較的長いから、大人4名が快適に乗車できる。
ヴェゼルの外観はC-HRほど斬新ではなく、ボンネットを意識的に長く見せるCX-3ほどスポーティーでもない。コンパクトカー風で平凡だが、馴染みやすい雰囲気がある。
これもヴェゼルが好調に売れる理由だ。平凡に見せながら、馴染みやすさで大量に売るデザインは、以前はトヨタが得意としていた。ヴェゼルはそこを巧みに突いている。
エンジンは直列4気筒の1.5リッターで、ノーマルタイプとハイブリッドを用意した。ノーマルエンジンを搭載する「X ホンダセンシング」は、緊急自動ブレーキを作動できる安全装備を装着して価格は212万円。
人気のハイブリッドと、割安で手堅いノーマルエンジンの2本立ても、ヴェゼルが好調に売れる理由となっている。
総評
C-HRとそのライバル車は、国産SUVの中でもコンパクトな部類に属する。従って取りまわし性は良いが、後方視界は全般的に悪い。特に劣悪なのがC-HRで、サイドウインドウの下端を後ろに向けて大きく持ち上げ、後席側のウインドウはかなり小さい。
ドライバーからは斜め後方がほとんど見えず、真後ろも見にくいので、購入するなら縦列駐車などを試したい。バックモニターに頼った運転は危険だ。
CX-3もサイドウインドウの下端が高めで後ろへ持ち上げたため、C-HRほどではないが後方視界に不満がある。ヴェゼルも運転席から左後ろを振り返ると、ボディ後端の太いピラー(柱)が視界を遮る。
ボディサイズはCX-3とヴェゼルが同等で、C-HRは少し大きいが大幅な違いではない。最小回転半径はC-HRが5.2m、CX-3は5.3m、ヴェゼルも5.3m(RSのみ5.5m)になり、C-HRはボディサイズの割に小回り性能が優れている。
JC08モード燃費は、C-HRの1.2リッターターボを搭載した4WDが15.4km/L、ハイブリッドの2WDが30.2km/Lだ。ターボが4WD、ハイブリッドが2WDという設定の違いもあって、燃費数値には約2倍の差が開いた。
CX-3の6速AT仕様は、2WDが23km/L、4WDが21km/Lになる。ディーゼルの軽油価格はガソリンに比べて20円ほど安く、ディーゼルの23km/Lの軽油価格は、ガソリンエンジン車なら27km/L前後に相当する。
つまりCX-3の燃料代は、C-HRのハイブリッドに近い安さになるわけだ。ディーゼルの動力性能が高いことも考えると、CX-3の燃料代は割安だ。
ヴェゼルのJC08モード燃費は、2WDのノーマルエンジンが20.6km/L、ハイブリッドは売れ筋グレードは23.4~26km/Lになる。ハイブリッドの燃費数値はノーマルエンジンの114~126%にとどまるが、直噴方式だから動力性能が高い。
C-HRのハイブリッドは燃費指向、ヴェゼルはパワー指向といえるだろう。この2つの要素を兼ね備える意味でも、CX-3が搭載するディーゼルの高効率が際立つ。
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。