A4/Cクラス/3シリーズを徹底比較 ~輸入車プレミアムセダンの魅力に迫る~(2/4)

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:茂呂幸正・和田清志・小林岳夫
A4/Cクラス/3シリーズを徹底比較 ~輸入車プレミアムセダンの魅力に迫る~
アウディ A4 2.0 TFSI アウディ A4 2.0 TFSI アウディ A4 2.0 TFSI アウディ A4 2.0 TFSI アウディ A4 2.0 TFSI アウディ A4 2.0 TFSI アウディ A4 2.0 TFSI アウディ A4 2.0 TFSI アウディ A4 2.0 TFSI アウディ A4 2.0 TFSI アウディ A4 2.0 TFSI 画像ギャラリーはこちら

動力性能と燃費の優れた2リッターのガソリンターボに注目

アウディ A4 2.0 TFSIアウディ A4 2.0 TFSI

アウディの主力に位置付けられるのがA4だ。以前はアウディ80と呼ばれ、1970年代の前半から日本でも販売されて人気を高めた。1990年代の中盤には、車名をアウディ A4に変更している。

アウディの特徴は、古くから前輪駆動を採用してきたこと。これをベースにした4WDのクワトロも、A4を含めて幅広い車種に設定され、アウディの特徴となった。メルセデス・ベンツやBMWも今では前輪駆動車を用意するが、ここで取り上げるメルセデス・ベンツ Cクラス、BMW 3シリーズは、伝統ともいえる後輪駆動と4WDを採用する。

A4は前述のように新型だが、外観は先代モデルと見分けにくい。欧州車はブランドイメージを重視するから、フルモデルチェンジを受けてもデザインの持ち味をあまり変えないのだ。それでも従来モデルに比べると若干ワイドで、フロントマスクは低く構えた印象になったから、視覚的な安定感を強めた。

ボディサイズは全長が4735mm、全幅は1840mm、全高は1430mm(スポーツは1410mm)となる。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2825mmで、前輪駆動車としては長い。

A4セダンのエンジンは、直列4気筒の2リッターにターボを装着したタイプだ。駆動方式は前輪駆動の2WDとクワトロの4WDがあり、それぞれエンジンのチューニングも異なる。2WDは最高出力が190馬力(4200~6000回転)、最大トルクは32.6kg-m(1450~4200回転)とされ、自然吸気のノーマルエンジンに当てはめれば3.2リッタークラスだ。

注目されるのはJC08モード燃費が18.4km/Lに達すること。国産セダンに当てはめると、スバル インプレッサG4に1.6リッターエンジンを積んだ1.6i-L(2WD)の17.6km/Lに勝り、1.5リッター並みの数値になる。ガソリンエンジンでは効率がきわめて高い。

クワトロのエンジン性能は、252馬力(5000~6000回転)/37.7kg-m(1600~4500回転)で、同じ2リッターターボでも3.7リッターに匹敵する。このJC08モード燃費も15.5km/Lだから、動力性能と4WDの搭載を考えれば優秀だ。

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エンジンの選択肢は多いが1.6リッターのターボが使いやすい

メルセデス・ベンツ C180 アバンギャルドメルセデス・ベンツ C180 アバンギャルド

今はメルセデス・ベンツのバリエーションも幅広く、コンパクトなAクラスやBクラスから、SUVのGLAやGクラスまでそろえる。

しかしメルセデス・ベンツの本流は、従来と同じく4ドアセダンだろう。最もコンパクトなセダンとして、Aクラスと共通のプラットフォームを使う前輪駆動のCLAもあるが、中心的な存在は後輪駆動のC/E/Sクラスだ。

今回取り上げるCクラスは、後輪駆動では最もコンパクトな車種になる。

後輪駆動の外観上の特徴は、縦向きに搭載されたエンジンの後方にトランスミッションを設置することで、前席のドアと前輪の間隔が開いていること。空間効率ではマイナス要素になり、前輪駆動と比べた時の欠点でもあるが、ボンネットの長さが強調されて外観はカッコイイ。相対的に前側のオーバーハング(ボディが前輪から前方へ張り出した部分)が短く、適度な引き締まり感も演出される。

ラジエターグリルには、メルセデス・ベンツのエンブレムを大きく掲げた。

この顔立ちは「アバンギャルドマスク」などと呼ばれるが、伝統的にはクーペのSLに使われたものだ。セダンは小さなマスコットを立てた「エレガンスマスク」であったが、今はこの顔立ちを選べるのはSクラスに限られる。「アバンギャルドマスク」は販売戦略のために伝統から逸脱した面があり、中高年齢層のユーザーには、違和感を抱く人も少なくない。

ボディサイズは、標準タイプのアバンギャルドを見ると、全長が4690mmで全幅は1810mmだ。ホイールベースは後輪駆動車とあって2840mmと長い。

エンジンの選択肢は多く、直列4気筒の1.6リッターと2リッターのターボに2リッターのプラグインハイブリッドもある。2.2リッターのクリーンディーゼルターボも用意した。

さらにV型6気筒3リッターにツインターボを装着したC450 AMG 4マチック、V型8気筒4リッターツインターボのAMG C63とC63Sも選べる。

大排気量のツインターボは、駆動力の伝達効率を考えると4WDであるべきだが、V型8気筒は後輪駆動で無理が伴う。高性能モデルなら、4WDのC450 AMG 4マチックを推奨する。

とはいえ一般的な選択肢はC180アバンギャルドだ。1.6リッターのターボは最高出力が156馬力(5300回転)、最大トルクは25.5kg-m(1200~4000回転)を発生する。自然吸気のガソリンエンジンに当てはめれば2.5リッタークラスだから、過不足のない動力性能だ。JC08モード燃費は17.3km/Lだから、小排気量ターボとして満足できる水準に収まる。

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伝統的なBMWの人気車で2リッターターボが主力

BMW 320iスポーツBMW 320iスポーツ

今日のBMWは、SUVのXシリーズ、前輪駆動で車内の広い2シリーズアクティブツアラー(5人乗り)/グランツアラー(7人乗り)も用意する。

それでもアウディやメルセデス・ベンツに比べると、BMWは全般的にスポーティーな印象が強い。なので以前からミドルサイズの3シリーズセダンが人気を集めていた。

5ドアハッチバックの1シリーズは、さらにコンパクトなボディでありながら後輪駆動車となる。今では貴重な存在だが、フォーマルな雰囲気も併せ持つスポーティーセダンでは、従来どおりの3シリーズが定番だ。

3シリーズのフロントマスクは、ほかのBMWと同じく左右に分割されたラジエターグリルに特徴があり、後輪駆動車らしくボンネットは長い。

ボディサイズは全長が4645mm、全幅は1800mmとしている。ホイールベースは2810mmで、後輪駆動車らしく全長の割に長い。

エンジンはほかの車種と同様に選択肢が広い。直列4気筒2リッターのガソリン、直列6気筒3リッターのガソリン、2リッターのクリーンディーゼルターボ、さらに2リッターのガソリンをベースにしたプラグインハイブリッドもある。同じボディを使う高性能セダンとして、直列6気筒3リッターターボを搭載するM3も用意した。

さまざまなエンジンを選べるが、運転感覚や価格の割安感も考えると、馴染みやすいのは2リッターのガソリンターボだろう。グレードは320iスポーツが買い得だ。

動力性能は、最高出力が184馬力(5000回転)、最大トルクは27.5kg-m(1350~4600回転/8速AT仕様)とされ、自然吸気エンジンであれば2.7リッタークラスの性能となる。

JC08モード燃費は15.4km/L。ライバル2車に比べると数値が少し下がるが、2リッターのターボエンジンを搭載したセダンでは悪くない。クラウンアスリートやスカイラインの2リッターターボに比べると、最大トルクは8kg-mほど下まわるが、燃費数値は2km/Lほど勝っている。

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BMW 320iスポーツBMW 320iスポーツBMW 320iスポーツBMW 320iスポーツBMW 320iスポーツ

デザイン・スペックの総評

この3車種のボディサイズは、輸入セダンの中では小さな部類に属するが、日本の混雑した街中を走ると持て余し気味だ。全幅は3シリーズの320iが1800mm、CクラスのC180が1810mm、A4 2.0TFSIは1840mmとなる。

最小回転半径は後輪駆動が有利で、C180は5.1mに収まり、320iは5.4m、A4は5.5mだ。小回りの利きは良いが、ワイドな全幅は気になる。

しかもサイドウインドウの下端が高めだから、すべての車種にわたって側方、斜め後方、真後ろの視界に不満が伴う。真後ろを振り返っても、後方はほとんど見えない。視界の優れた車種から代替えするユーザーは、試乗車で後退による縦列駐車や車庫入れを試した方が良い。

この価格帯の車種になると、カーナビはほとんど装着するだろう。モニター画面に後方の様子を映す機能も備わるが、側方から接近する歩行者や自転車は見逃しやすい。なので首を忙しく前後に振って、インパネのモニターチェックと後方の直接確認を行いながら後退する必要がある。

ボディをもう少しコンパクトに抑えれば、取りまわし性の向上に加えて、軽量化にも繋がるから燃費も向上させやすい。

またCクラスは今でもV型8気筒エンジンを用意するが、6気筒を上限とすれば、エンジンルームの節約も可能だろう。

A4/Cクラス/3シリーズの大きさは、もはやミドルサイズの限界に近づいている。これ以上のサイズアップは控えたい。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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