コンパクトミニバン 徹底比較(4/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:島村栄二
1台のミニバンとしても優れたモデル
シエンタは、この1年を見ても月販平均 3600台程度と好調をキープしている。ユーザー層は7割以上が男性というデータがあるが、これはヤングファミリーが旦那さんの名義で購入し、平日は奥様が使うというパターンが多いのだろう。
見た目のカワイさに惑わされてしまうが、シエンタは1台のミニバンとしても実に優れるモデルだ。ユーティリティに優れ、3列目シートの設定や乗降のしやすさなど、本当に使いやすく、新しさがある。また、オプションのG-BOOK対応ナビはやはり非常に便利である。
走りの面では少し気になる点も見受けられるが、 VSCやトラクションコントロールを選ぶこともでき、同価格帯においては一歩抜きん出た存在といえる。
キューブのプラスαにとどまらない
あくまでもキューブがメインで、キュービックは派生的な位置づけのモデル。ようするに、他の2台がミニバンをベースとしたコンパクトなクルマであるのに対し、キュービックは、コンパクトカーであるキューブにプラスアルファしたクルマといえる。そういう意味では、今回のシエンタやモビリオとは横並びで比べることできないかもしれない。
キューブと比べると、キューブが30歳前の独身者ユーザー比率が高いのに対し、キュービックは 30代の既婚者比率が高くなっている。しかし、このデザインが好みでキューブを選んでいるユーザーも、キュービックの良さをもう一度見直してもいいだろう。
キューブに比べホイールベースが長く、ステアリングも専用にチューニングされたこちらのキュービックは乗り味が落ち着いていて好感が持てる。
また、2列シートで十分と思っているユーザーも、いざとなれば小さいとはいえ3列シートが使える利便性は魅力のはず。価格差も小さいことだし、あえてキュービックを選ぶというのもアリだろう。
もっと売れてもおかしくない1台
実際の使い勝手においては、居住性、積載性のスペース効率は3 台の中でもっとも高いといえるし、何よりも走りがいい。価格を考えると、今回の3台の中ではもっとも買い得感が高いと思われる。
ここ1年の月販台数は平均1200台あまりにとどまっているようだが、もっと売れてもおかしくない内容のクルマに違いない。おそらくモビリオ自体の認知度が低いことが原因なのだろう。とはいえ、かなりキャラクターのかぶるステップワゴンが好調に売れているので、ヨシとしてもいいのかもしれないが・・・。
最量販グレードはベーシックな「A」が圧倒的であることを考えると、モビリオに期待されるのはいわゆるコンパクトミニバンとしての基本的な要素のようだ。それを十分に踏まえた上で、モビリオはVTECも選べれば上級装備も選べるし、精悍なルックスを持っている。そのバリューはもっと見直されてもいいと思う。
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