個性派スポーティカー 徹底比較(2/4)

個性派スポーティカー 徹底比較
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新世代ユニットのVQ35HRエンジン搭載

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現行フェアレディZは2002年7月に登場し、その後、毎年のように進化し続けてきた。最近では、2007年1月に行なわれた、現行Zにおける最大のマイナーチェンジが記憶に新しい。

スカイラインと同じ230kW/358Nmを発揮するVQ35HRが搭載されたほか、エンジンフードの意匠変更、内外装色の新色設定などが行なわれ、装備の充実が図られた。

注目の新エンジンは、従来のVQ35DEよりも明らかに進化している。とくに吸排気チューニングの恩恵が大きいようで、吹け上がりが軽くなっている。

レッドゾーンは7500rpmからの設定で、トップエンドまで痛快に回る仕上がり。ただし、相変わらず回転フィールの雑味が見受けられ、気持ちよさの点では、さらなる洗練を望みたいところである。

しかしながら、VQ35DE時代から感じているのだが、エンジンの鼓動やサウンドを効果的に乗り手に伝える「演出」という意味では、そこに日産車が共通して持つ「味」があるのも事実である。

また、現行フェアレディZの登場時から、ずっと気になっている部分で、いまだに改善されていない箇所も、いまだ見受けられてしまう。

代表的な部分としては、エンジンはよくなったのだが、依然として駆動系がいまひとつ。現行ZはせっかくMTを主体にラインアップしていながらも、MTを操って運転しても満足はあまりしなかった。もっと緻密な印象を望みたいところである。MTにこだわらないのであれば、ATでイージードライブを選んだほうが賢明かもしれない。

足まわりは、リアサスペンションのよろしくない動きは残っているものの、デビュー時に比べるとずいぶんと乗り心地の快適性が向上した。マイナーチェンジ時のOEMタイヤ変更も少なからず効いているようだ。

ドライバビリティ全般は洗練されているものの、さらに上を望みたくなるのも事実である。

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古典的アメリカンスポーツの醍醐味

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初代マスタングのイメージを現代風に解釈したエクステリア。インテリアもレトロな感覚で仕立て、ファンにはたまらない雰囲気を放つ。21世紀に出てきたクルマとは思えないレトロな感覚を、あくまでモダンに表現しているところが持ち味である。

全体の質感はそれほど高いものではなく、日本で500万円級のプライスがつくクルマかと思うと、もう少し仕上がりを期待したいところだが、このスタイリングの放つ雰囲気が、すべてのネガティブな要素を帳消しにしてくれる。

新開発4.6L V8エンジンは先代よりSOHCヘッドを採用しているが、OHV時代と変わらないドロドロとしたサウンドを轟かせている。分厚いトルクが持ち味である上、それをさらに強調するためのスロットル早開き制御を行なっており、ゼロ発進時には少し唐突感を伴う。

ATの制御も旧き佳きアメリカンに通じるもので、エンジンの太いトルクにまかせて、ルーズな制御をすることで、リラックスして運転できるようまとめられている。

たとえば今回も、フェアレディZやRX-8となると、スポーツカーとしてのフィーリングに言及し、何かととやかく述べたくなってしまうのだが、マスタングは当初からそういう境地を目指していない。率直にいって「洗練」という言葉とは無縁のクルマである。しかし、ドライブしていて実に面白く、シアワセな気分になれるクルマなのだ。

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6速ATを得て動力性能の質感が大幅UP

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スタイリングも、ハンドリングも、パッケージングも、すべてに理由があるクルマ。ロータリーエンジンを搭載するからこそ成立し、そして4人乗りだからこういうクルマになった。

独特のスタイリングは登場時から変わっていないが、中身は徐々に、大きく洗練された。

最新モデルでは、2006年夏にAT車が4速ATから6速ATに変更されたことが大きい。登場時からいわれていたことであるが、確かに4速ATとNAロータリーの組み合わせは無理があったように思える。

低速トルクが細く、4速ATではロータリーのよいところが出しにくかったはず。やはり多段化が望まれていた中で、ようやく6速ATが与えられたのだ。

6速ATは、エンジン特性とのマッチングもよろしく、特に2速の加速フィールが楽しい。タウンスピード領域でも6速AT化の恩恵は十分に味わえる。

マニュアル操作のレスポンスも良好で、小さく適度なショックを伴いつつ、小気味よく瞬時に次のギアにシフトできる。ただし、シフトノブを「M」ポジションにしてないとステアシフト操作できないのがマツダ流らしく、例えばレガシィのように、「D」レンジのままでも一定時間であれば操作を受け付けるほうがありがたいと思う。

そして、AT/MTに関わらず、RX-8のドライブフィールは非常にスポーティだ。ピュアスポーツではなくとも、世界屈指のハンドリングマシンであるには違いない。そのスポーティな感覚を、ワイドトレッドでロングホイールベースによる安定した走りの中で味わえるところもよい。

ハンドリングは終始ニュートラルステアを示し、ステアリングの舵角どおりにラインをトレースしていく感覚はRX-8ならではの境地。ストローク感のあるサスペンションが生む高い接地感のある中で、荷重移動の操作にも期待どおりの反応を示す。

Zやマスタングが、もともと決してスポーティではないパッケージングの中で、なんとかスポーティな走りを実現しているのに対し、RX-8は素性のよさゆえ、無理することなくスポーティなフィーリングを実現している印象だ。

久々にドライブしたRX-8は、それら走りのよさを痛感させてくれた。

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デザイン・スペックの総評

3台の個性がそれぞれなので、一概にはいえないことを前提として、この手のクルマでは重要な要素である「存在感」、周囲に与えるインパクトは、やはり価格相応。そしてそれは結果的に、クルマを所有することへの自己満足感の大きさにつながるはずである。

 一方で、スポーツカーとしてのドライブフィールに期待するのであれば、RX-8がイチオシだ。クルマの素性が生む、フェアレディZではどうにも実現できない境地を備えている。マスタングの走りは決して洗練されたものではないが、細かいことを気にさせない「味」がある。

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

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