欧州プレミアムコンパクト 徹底比較(2/4)

欧州プレミアムコンパクト 徹底比較
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ボルボ流「プレミアム・コンパクトクーペ」

フロントスタイルリアスタイル

C30は、新しい発想により生まれた、新たなカテゴリーを開拓するモデルであり、なかなか興味深い。特徴的なガラス製テールゲートを備え、リアセクションを大きく絞り込ませているのもルックス上の特徴。デザイン的にも面白いアプローチであり、不思議な感じのハッチバック車だ。

 カラーコーディネートも、非常に多彩に用意されており、今回のC30専用色のようなユニークな組み合わせも楽しめる。

 ただし、もちろんといえばもちろんだが、S40等と同じテイストでまとめられたフロントマスクは、リアとのマッチングでいうと、いささかアンバランス感があるように見える。フロントよりもリアのキャラクターが大きく上回っているように感じるのだ。

 さらに、このC30には「ボディキット」(フロントスポイラー、サイドスカート、リアスカート)が装着されている。こちらを装着することで、非常にスタイリッシュとなる。反面、リップ部分がかなり低くなるので注意が必要ではある。

 走りのまとまりもよい。元々このプラットフォームの完成度は相当に高いと感じていたが、ステアリングを切り込むと素直にノーズが向きを変える感覚も、より洗練された。

 スポーティ仕様であり、取材車両には18インチのP-ZERO ROSSOが装着されていたが、不快な固さを感じない。エンジンは、2.5Lという排気量+ターボという組み合わせからイメージするほど、かつてのハイプレッシャーターボのような強烈な加速感があるわけではなく、ジェントルである。優れた静粛性の中で、5気筒独特のビート感が伝わってくる。

 ボルボ自身が「プレミアム・コンパクトクーペ」と述べるほどで、それに相応しい上質感を備えていることが確認できた。

フロントビューリアビューサイドビュータイヤエンジン

フレンチ流スポーティテイストを手軽に体感

フロントスタイルリアスタイル

やや遅れて追加されたGTiは、WRCに挑戦するプジョーを感じさせる、いうまでもなく207シリーズの最強モデルである。

 ダーククローム色の大型ヘッドランプや、専用アロイホイール、大型リアスポイラーなどが与えられたことで、スポーティなムードを演出している。こうして3台を並べると、207はボディサイズがかなり大きく見える。ウエストラインが低く、前下がりになっており、強い前進感がある。フロントウインドウ面積が非常に広い。同じBセグとして見ると、違和感を覚えてしまうほどだ。

 足まわりは、やや固めの印象がある。いわゆるプジョーの「猫足」と呼ばれる「らしさ」は薄れた感もあるが、乗り心地が悪く感じるわけでもない。

 最近のプジョーのスポーティモデルで見られた突っ張った感覚もない、そのあたりのまとまりはよいのではと思う。スポーティであり、かつ乗り心地もよい。

 走らせると、最近のプジョー車に共通して感じられる味付け、フロントのトラクションに任せる部分が大きく、リアはしっかり粘りながら流れずについてくる感じ。直進安定性も非常に高い。こういうハンドリングのつくり方はアリだと思う。

 欲をいうと、MTやクラッチの操作フィールについては、もう少し剛性感が欲しいところだし、パワーステアリングの操舵力はやや軽すぎるきらいがある。下のMINIクーパーSとベース部分は同じエンジンを搭載するが、パワー感はもう少しターボらしい感覚があると、より好ましい。

フロントビューリアビューサイドビュータイヤエンジン

洗練された「ゴーカートフィーリング」

フロントスタイルリアスタイル

「ゴーカートのようなフィーリング」とMINI開発陣が自ら評する走りのハンドリングは、従来モデルではやや演出が過剰気味にも感じられたのだが、新型ではずいぶんと洗練された。

 まったくロールしない感覚(もちろん実際にはわずかにロールする)で、しかもステアリングレシオがクイックな設定。コンパクトなサイズであり、狙いどおりゴーカートフィーリングである。

 そして、従来モデルでは、高速巡航ではステアリングホイールから手が離せないほど行き過ぎたシビアな側面もあったのだが、新型では直進安定性が確保され、いくらか落ち着いた印象となった。

 動力性能についても、スーパーチャージャーからツインスクロールターボ化された1.6Lエンジンについては、よりスムーズでパワフルな感覚となった。

 ただし、一般走行において、ゼロスタートにおける走り出しに、なぜか引っかかり感がある。この違和感が取れて欲しいところである。

 エクステリアは、インタークーラーを冷却するためのエアインテークがボンネットに設定されたほか、ハニカムグリル、バッジ類も専用に設定、クローム仕上げされたサイド・グリルなどが別グレードとの相違点。クーパーS専用のホディカラーも用意されている。

フロントビューリアビューサイドビュータイヤエンジン

デザイン・スペックの総評

いずれにも当てはまると個人的に感じているのだが、写真よりも実車を見たほうが印象がよい。中でも、MINIやプジョー207には見慣れて目に馴染んだ感もあってのことだが、ボルボC30のスタイリングは、非常に斬新に映った。走りについても、ハンドリング、安定性、上質感など、トータルの視点からして、C30のまとまりのよさが光って感じられた。

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

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