【DESIGNER’S ROOM】ダイハツ 新型「タント」デザイナーインタビュー/ダイハツ工業 デザイン部 長井浩二(1/5)

  • 筆者: 森口 将之
  • カメラマン:オートックワン編集部
【DESIGNER’S ROOM】ダイハツ 新型「タント」デザイナーインタビュー/ダイハツ工業 デザイン部 長井浩二
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日本らしいデザインで「Gマーク金賞」受賞!

【DESIGNER’S ROOM】ダイハツ 新型「タント」デザイナーインタビュー

カーデザインはカッコ良さだけが命ではない。なによりも人間が買って乗って使うモノであり、社会の中に置かれるモノであることを忘れてはいけない。使い勝手や燃費、価格と、さまざまな条件を高次元で両立し、そのうえでユーザーにトキメキを与えるデザインなら、賞賛されるべきだ。ダイハツの軽自動車、新型「タント」はその好例と言える。

【DESIGNER’S ROOM】ダイハツ 新型「タント」デザイナーインタビュー

日本を代表する総合的なデザイン推奨の仕組みであるグッドデザイン賞では、新型 タント はベスト100に選ばれただけでなく、その中でもっとも優れていると評価された「グッドデザイン金賞」も受賞している。ダイナミックやエモーショナルといった欧州車のデザイン尺度とはまったく異なる、日本の軽自動車ならではのデザインを突き詰めた点が高く評価された。

GOOD DESIGN AWARD|グッドデザイン金賞[公益財団法人日本デザイン振興会]

だからこそ、タントのデザイナーはこのクルマのデザインに何を思い、どのような結果を出そうと考えて取り組んだのか興味があった。スーパーカーとは対極にある、軽ハイトワゴンならではの魅力や苦労を、デザインを担当したダイハツ工業 デザイン部の長井浩二さんに伺った。

ダイハツデザインが考える「タントらしさ」とは

【DESIGNER’S ROOM】ダイハツ 新型「タント」デザイナーインタビュー/ダイハツ工業 デザイン部 長井浩二

オートックワン(以下AO):「タントらしさ」とはどういうものだと考えていますか。 

ダイハツ 長井氏(以下N):子育てママに満足してもらえることが根幹にあると思っています。

具体的なデザインよりも、コンセプト的な部分のほうが大きいですね。そのために全高を高くし、Aピラーの角度を立て、広くて運転がしやすいクルマとしています。ママとお子さんが便利に使えるかが大事です。

もともとタントの全高は、小さなお子さんが中で立って着替えることができるというところから決められましたから。

【DESIGNER’S ROOM】ダイハツ 新型「タント」デザイナーインタビュー

AO:今までのタントから受け継いだ部分はどこですか。 

N:箱を積み重ねたようなフォルムと、前から後ろまでつながって、後端で折り返して手前に戻るサイドのウインドーグラフィックです。タントはガラス面を極力外側に出しているので、ドアに傾斜面が作れません。それを逆手に取って、キャラクターラインを下に持ってくることで、大きなキャビンを表現しているのです。

同時にこのラインで質感をともなった力強さも表現しています。ウインドーグラフィックは、初代から受け継がれた、ひと目でタントと分かるアイデンティティでもあるので継承しました。

3代目もコンセプトの根っこは不変

AO:変えようという意見は出なかったのでしょうか。

N:時代の変化もあり、子育てママ一辺倒でいいのかという意見はありました。ユーザー層の拡大を考えて、男性目線でスポーティで走りが良さそうなウエッジシェイプの案も出てきました。

でも結果的には、デザインを含めてコンセプトは変えるべきじゃないという意見にまとまりました。原点に戻って、子育てママが求めるものは何か?を考え、キャビンが広く、運転がしやすいことを追求していったのです。

ベルトラインが傾くと、駐車がしにくくなるし、後席に座った子供が外が見えなくなってしまうので、水平をキープしました。

【DESIGNER’S ROOM】ダイハツ 新型「タント」デザイナーインタビュー

AO:顔つきが凛々しくなったように感じますが。

N:コンセプトは不変と言いましたが、その中で時代に見合った存在感を与えようという狙いはありました。

近年のお客さんは、信頼感や頼りがいを求める傾向が多いと感じていたため、先代は少し可愛らしい感じでしたが、それを少し中性的に仕立てたのです。

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森口 将之
筆者森口 将之

1962年東京都生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。自動車専門誌の編集部を経て1993年フリーに。各種雑誌、インターネット、ラジオなどのメディアで活動。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。記事一覧を見る

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