キャデラック 新型 CTS[3代目・2014年モデル] 試乗レポート/今井優杏(3/3)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:和田清志
スポーツセダンらしい引き締まったアシ
では何がレーシングカーライクなのかといえば、良くも悪くもガッチリと締まったアシに尽きる。
前後独立式の5リンクサスペンションを備え、さらに上級グレード“エレガンス”に至ってはお得意の磁性流体を使った即応式のダンピングコントロールである“マグネティック・ライドコントロール”が入っているのだが、とにかくカッチカチやぞ!なんである。
高速道路なんかの道路の継ぎ目もバシッ!ゴリッ!としっかりとギャップや感触を拾うし、そのフィールはもれなくドライバーにも伝えられる。荒れた路面なんかを走行すればその振動も仔細に拾う。
その分コーナリングの的確さ、姿勢のホールドは抜群だから、やはりCTSは“スポーツセダン”という位置づけにあるクルマだというのは乗れば理解出来る。ただ見た目をラグジュアリー方向に振りまくっているため、乗り味の味付けとのギャップにたいそう驚いてしまった。 が、それも意図的な味付けであるそうな。
キャデラックが「ソフトなアシ」だったのはもう過去のオハナシ
GMJの解説によれば、ドイツ車が軒並みコンフォート方向にこのセグメントを味付けしている中で、もっとスポーティーなセダンを求めるエッジィな声をくみ上げた結果だという。
スポーツドライビングというものの原点を考えた場合、このように手応えのあるしっかりと締まった足回りに回帰する、いわばスポーツドライビングへのルネサンスのようなイメージです、と説明された。
そのルネサンスは間違いなくATSからスタートしているのだが、どちらも迷い無くまっすぐに“レーシングライクなスポーツ走行”の方を向いて制作されていることは間違いない。
すでにキャデラックは市場がかつて持っていたイメージ…“ソフトでコンフォート”を走りの面ではきっぱりと切り捨て、新しい目標…つまり『若くて個性的なクルマを好むこれからの時代の顧客』に向けて進んでいるのだ。
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