プラグインハイブリッドの市場は欧州勢が制す！？／BMW X5 xDrive40e[PHV] 試乗レポート(4/4)

ファミリーにもうれしい使い勝手の良さ

使い勝手は、副変速機を備えたオフロードSUVではないものの、床が高めだから乗降性には注意したい。

居住性はLサイズSUVとあってファミリーで使える広さがあり、前席の背もたれは肩まで確実にサポートして座り心地が良好だ。

後席は床が高いために座面との間隔が不足気味。腰が少し落ち込んで膝が持ち上がりやすいが、大人4名の乗車は妨げない。

荷室の床も高いが、容量には余裕がある。

大柄なボディだが前方の見切りは良好

ボディが大柄で最小回転半径も5.9mだから街中では扱いにくいが、運転席に座ると、視線に対してサイドウインドーの下端は低めに抑えた。なので側方視界はおおむね良い。ボンネットもハッキリと見えて、これも高速道路の巡航を感覚的に容易にしている。

後端のピラー(柱)は少し太く、後方の視界はいまひとつ。なので購入するなら、縦列駐車などを行って取りまわし性を確認すると安心だろう。

ディーゼルモデルとPHVモデル、どっちがお得？ どっちが買い！？

価格は試乗した「X5 xDrive40eスタンダード」が927万円。

次世代自動車の補助金を申請すれば、4年間の使用義務が生じるものの、30万円の交付を受けられる(上級グレードは34万円)。

ちなみに3リッターのクリーンディーゼルターボを搭載した「X5 xDrive35d スタンダード」は882万円だ。ハイブリッドのX5 xDrive40eスタンダードは45万円高いが、前述の補助金が30万円なので、実質差額は15万円に縮まる。車種によってはクリーンディーゼルターボも補助金の交付を受けられるが、X5は価格が安いこともあって対象外になる。

JC08モード燃費は、X5 xDrive40eが前述の13.8km／L、クリーンディーゼルターボのX5 xDrive35dは14km／Lと少し勝り、軽油の価格はプレミアムガソリンに比べると1リッター当たり25～30円安い。

なのでハイブリッドとディーゼルを単純に比較すれば、燃料代は後者が安いが、X5 xDrive40eは充電が可能だ。充電された電気で走れる距離は30.8km／Lにとどまって距離を伸ばしにくいが、短距離の移動頻度が高く、頻繁に充電する使い方をすれば走行コストが同等に近づく。X5 xDrive40eは前述のように静粛性が優れ、快適性も高まるので、そこにも価値を見い出せば選択の対象になり得るだろう。

とはいえ充電された電気で走れるのは短距離だから、自ずから市街地走行が中心になる。X5ではボディが大きく、BMWのプラグインハイブリッドで本命になるのは、2シリーズをベースにした「225xeアクティブツアラー」、3シリーズの「330e」などミドルサイズ以下の車種だ。

PHVでは欧州に遅れを取った日本車勢

日本車のプラグインハイブリッドは、今のところ先代プリウスをベースにした「プリウスPHV」と「三菱 アウトランダーPHEV」のみだから、脇が甘い状態にある。

プラグインハイブリッドの市場は、今の状態が続くと輸入車に攻め込まれる可能性が高い。

[レポート：渡辺陽一郎／Photo：茂呂幸正・ビーエムダブリュー]

BMW X5 xDrive40e Standard[プラグインハイブリッド・4WD]　主要諸元

全長x全幅x全高：4910x1940x1760mm／ホイールベース：2935mm／乗車定員：5名／駆動方式：4輪駆動(4WD)／エンジン種類：直列4気筒 DOHC ツインパワー・ターボ・ガソリンエンジン／総排気量：1997cc／最高出力：245ps(180kw)/5000rpm／最大トルク：35.7kg-m(350N･m)/1250-4800rpm／ハイブリッド燃料消費率：13.8km/L[国土交通省審査値]／充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ)：30.8km[国土交通省審査値]／EV走行換算距離(等価EVレンジ)30.8km[国土交通省審査値]／電力消費率：3.93m/kWh[国土交通省審査値]／タイヤサイズ：255/55R18／メーカー希望小売価格：9,270,000円[消費税込み]

取材・撮影車両には「セレクト・パッケージ」(電動パノラマ・ガラス・サンルーフ/リア・シート・ヒーティング/12V電源ソケット/ソフト・クローズ・ドア/運転席＆助手席ランバー・サポート)329,000円／「スポーツ・レザー・ステアリング・ホイール」37,000円／「スター・スポーク・スタイリング490 アロイ・ホイール」175,000円／「デザイン・ピュア・エクセレンス・エクステリア」188,000円／「ストレージ・コンパートメント・パッケージ」(パーセル・レール/ラゲージ・エリア・ネット/ラゲージ・エリア・ストラップ/サングラス・ホルダー等)40,000円／「アクティブ・プロテクション」51,000円／リア・エンターテインメント・システム」360,000円／「BMWナイト・ビジョン」(歩行者・動物検知機能付)329,000円／「デザイン・ピュア・エクセレンス・インテリア」278,000円／「アドバンスド・アクティブ・セーフティ・パッケージ」(BMWヘッドアップ・ディスプレイ/レーン・チェンジ・ウォーニング)225,000円／「BMWコネクテッド・ドライブ・プレミアム」57,000円／「メタリック・ペイント」93,000円、合計2,162,000円のオプション等を追加装備