BMW 3シリーズ 海外試乗レポート(3/3)
- 筆者: 菰田 潔
- カメラマン:BMWグループ・ジャパン
新型3シリーズは、再びハンドリング性能のベンチマークになるだろう
学術会館の建物の横にきれいに並べられた60台が今回の試乗車である。
まず運転席に座ってみた。ちょっとタイトな感触はいつものBMWだが、シートがちょっと大きくなっているようだ。バックレストが高くなりヘッドレストの高さにも余裕がある。ヘッドレストは伸ばすと前に移動するから、後頭部に近づき追突されたときの安全性が高まっている。後席はレッグスペースが長くなっている。ホイールベースが35mm長くなっているが、前席バックレストの裏をえぐってニースペースを広げたからだ。
走り出してみるとオプションのアクティブ・ステアリング付きの330iなのに、バリアブルギヤレシオの違和感がまったくなく、付いていることを疑ったほどだ。センター付近をあまりシャープにしないチューニングになったようだ。それでもUターンするためにハンドルを切ると2アクションでロックするから、ハンドルを大きく切るときは楽である。
もうひとつ進歩したと思ったのがRFT(ランフラットタイヤ)だ。試乗車はピレリを履いていたが、サイドウォール補強のRFTの硬さを感じないのだ。ボディ、サスペンション、タイヤの進歩によって充分な快適性を確保した。RFTは1シリーズと同じように3シリーズにも100%の採用だから、トランクにスペアタイヤのスペースはない。
330iの直列6気筒エンジンは7,000rpmからがレッドゾーンだが、そこまでまわす必要もなく速い。低速トルクが太いだけでなく高回転までいい音で気持ちよく回ってくれるから楽しい。320dの直列4気筒ディーゼルは、走り始めるとディーゼル音はまったく気にならず、スポーティで気持ちのいい走りだけを堪能することができた。
サスペンションはしなやかなのに腰があるという感じだ。市街地ではこのしなやかさが快適な走行を約束してくれるし、高速道路に行けば腰があるのでとてもいい安定性を確保している。コーナリング中は正確なライントレースが印象的だった。路面のアンジュレーションに対してサスペンションがよく動き、進路が乱れないのだ。サーキットで走るチャンスがあった。ここは15mm低いスポーツサスペンション付きだ。DSC、DTCをキャンセルして走ったが、リヤの滑りに対してこれまで以上にコントロールしやすかった。
これだけの性能を持っていれば、再びハンドリング性能のベンチマークになるだろう。
ここでは言い足りないほど、あらゆる面で大幅な進化を遂げている。これまでのE46型3シリーズでも不満はないし、充分な性能を持っていると思っていたが、また新たに別のクルマが誕生したという感じだ。
日本仕様は5月からデリバリーが可能なようで、本国とのタイムラグは非常に小さいのは嬉しい。まずは330i、320iの2車種が導入され、325iは少し遅れるようだ。価格は据え置きならさらに嬉しいのだが、ここまで装備が充実していると難しいか?
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