アウディ RS4アバント ミニ試乗レポート/今井優杏(1/3)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:和田清志
モータースポーツの血統をアツく滾らせる一台の登場
JAIA輸入車イッキ乗りレポート第六弾は、『アウディ RS4アバント』。
「RS」とは、アウディのスポーツモデル開発生産部門「quattro GmbH(クワトロ ゲーエムベーハー) 」が手掛けた究極のハイパフォーマンスモデル(「S」の更に上)だけに与えられる特別なもの。RS4アバントは「A4アバント」の最上級モデルとなる。
そんなハイスペックマシーンのレポートをお届けしてくれるのは、前回に引き続きモータージャーナリストの今井優杏さん。果たして究極のスポーツワゴンは今井さんの目にどのように映ったのか?
妄想が妄想でないことを期待せずにはいられない
モータースポーツファンにはむろん説明するまでもないが、ヨーストとはドイツの老舗レーシングチームだ。現在はアウディと契約し、ほぼワークスチーム的なポジションで同社のコンペティション部門を大々的に任されており、レーシングカーの開発やレース活動そのものを行っている。その最たる活動がWEC(世界耐久選手権)で、ディーゼルハイブリッドのプロトタイプレーシングカーである「R18 e-tronクアトロ」を何度も表彰台に導いている実力派チームがそれだといえば、ピンとくるひともいるかと思う。
現在は日本でも開催されているWECだが、きっとあの音を一回でもナマで聴いたことのあるファンなら、この感覚がわかると思う。
前置きが長くなったが、そう、そのヨーストが作るあの音が、A4ベースのコンパクトなステーションワゴンから聞こえてくるなんて感激ではないか。
いや、実際にはむろん、ヨーストが市販モデルをチューニングした云々なんて文言はカタログのどこ見たって見当たらないし、違うんだと思う。しかし、RS4アバントはちいさくてもまごうかたなきアウディ・モータースポーツの血統をアツく滾(たぎ)らせる一台なのだと、音一つとっても鮮烈にアピールしているような気がしてしまうのは錯覚なのだろうか。
アウディは近年、モータースポーツと市販車販売をかなり密接に繋げたマーケティングを積極的に行っている。そんなアウディだからこそ、モータースポーツファンを喜ばせてくれるようなこういうちょっとヒネりの効いた音づくりを、もしかしたら意図的にしてくれてるんじゃないかな、なんていう妄想が妄想でないことを期待せずにはいられない。それくらいにコイツはちょっと感動的なサウンドを奏でてくれちゃうのだ。
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