悪役の車に見えないほど美しいC-X75も登場! 007「スペクター」に登場するクルマたち
- 筆者: 小鮒 康一
ダニエル・クレイグ主演の007シリーズに登場するクルマたちを愛でるこの記事も、いよいよラスト。現段階では最新作となる、2015年に公開された「007 スペクター」に登場する車種を振り返ります。もちろん今回もストーリーの紹介はほとんどせずに、登場したクルマを中心にご紹介します!
今回のボンドカーはDB10
今作はメキシコシティで行われている「死者の日」という祝祭のシーンからスタートします。向かいの建物の屋上からターゲットを狙撃するボンドでしたが、銃弾は爆薬入りのスーツケースに当たり大爆発。建物は崩壊し、路上駐車していたクルマは埃まみれになってしまいます。
ここで注目したいのが、6代目フォルクスワーゲン ジェッタの奥に停車している車両。そう、マイナー車界では語り継がれるメキシコ現地生産車の日産 ツルなのです。
ツルは日本では1990年に登場した7世代目のB13系サニーがベースとなっており、2017年までメキシコで生産、販売が続けられたロングセラー車。このクルマが登場するだけで、「ああ、メキシコなんだな」と思ってしまいますね。
DB10は元々007のためではなかった!?
その後、今作のボンドカーであるアストンマーティン DB10が登場。しかし、本来は007のためではなく009用に用意されたものでした(結局007が無断で持ち出すのですが)。
このDB10、少し詳しい人ならご存知だとは思いますが、アストンマーティンのラインナップには存在しない、この作品のために作られたスペシャライズドカーなのです。
シャシーこそV8ヴァンテージのものを流用していますが、ホイールベースも延長され、内外装はV8ヴァンテージの面影はゼロ。公表されているスペックはV8 4.7リッターエンジンを搭載し、0-100km/h加速が3.2秒ということくらいでした。
圧巻のカーチェイス! お相手はジャガーC-X75
そんなDB10と劇中でカーチェイスを演じるのは、ジャガーC-X75です。
こちらは2010年に発表されたハイブリッドハイパーカーで、ターボとスーパーチャージャーによって502HPを発生する1.6リッターエンジンと300kWを発生するモーターを組み合わせ、システム出力は850HPを誇ります。
しかし、残念ながら市販化されることは叶わず、数台のプロトタイプが生産されるに留まっていました。
この作品でしか見ることができない市販されなかった2台のカーチェイスシーンは迫力満点。一方、そのカーチェイス中に屋根を吹き飛ばされるアルファロメオ159や、DB10に後ろから猛プッシュ(物理)されるフィアット500など、FCAグループ車が不遇の扱いを受けていました(涙)
半世紀前以上前のクルマも登場
物語の中盤では、北アフリカの砂漠の真ん中に位置する敵組織の秘密基地に向かうボンドたちに対し、敵組織が迎えのクルマを寄越すのですが、その車両はなんと1948年式のロールスロイス シルヴァーレイス(年式は劇中でボンドが口にするのですが、一説には違う年式という話もあります)。
レンジローバーのことを「砂漠のロールスロイス」と評することはありますが、実際のロールスロイスが砂漠を走るというシーンはなかなか圧巻です。しかも現行モデルではなく半世紀以上前のクラシックモデルなのですから、よりインパクトは大と言えるでしょう。
THE・悪役車に大変身! トヨタ ハイラックス
その後ロンドンに戻ったボンドですが、ジャガーXJで移動中に敵からの襲撃に遭います。
その方法は走行中のジャガーの横っ腹にクルマで突っ込むという荒っぽいものなのですが、その突っ込む車両が先代のトヨタ ハイラックス。ホイールまで黒く塗装された、いかにも悪役のクルマといった見た目が印象的です。
そして一気に物語は進んでラストシーン(ストーリーには触れない方針なので)では、前作スカイフォールで蜂の巣からの大爆発で木っ端微塵になってしまったDB5が完璧な姿で再登場します。
「無傷なのはステアリングだけ」と言われるまでに破壊された同車でしたが、MI6の技術によって修復されたようです。
前作でDB5が破壊されたのもある意味、職務中の事故でしたからMI6が修復してくれたということなのでしょうか? いずれにしてもうらやましい環境というしかありません(笑)
ということで、ダニエル・クレイグ主演の007作品に登場する車両を振り返ってきましたが、今年11月に公開される最新作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」ではどんなクルマが登場するのか今から楽しみですね!
[筆者:小鮒 康一]
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