トヨタ 新型 エスクァイアハイブリッド 試乗レポート|マイチェンで”小型高級ミニバン”路線を強化(2/2)

トヨタ 新型 エスクァイアハイブリッド 試乗レポート|マイチェンで”小型高級ミニバン”路線を強化
トヨタ エスクァイア HYBRID Gi“Premium Package” エスクァイア HYBRID Gi“Premium Package” トヨタ エスクァイア HYBRID Gi“Premium Package”サイドビュー トヨタ エスクァイア HYBRID Gi“Premium Package”リアビュー トヨタ エスクァイア HYBRID Gi“Premium Package”リアビュー トヨタ エスクァイア HYBRID Gi“Premium Package” リアコンビネーションランプ Bi-Beam LEDヘッドランプ(オートレベリング機能付) エスクァイア フロントバンパー 15インチアルミホイール(切削光輝+ダークグレーメタリック) LEDヘッドランプ+LEDクリアランスランプ+LEDフロントフォグランプ 画像ギャラリーはこちら

マイチェンで乗り心地が改善され、より上質に

さて、マイナーチェンジした新型エスクァイア ハイブリッドを実際に運転してみるとどうだろうか。

改良前に比べて最も改善されたのは乗り心地だ。路上の細かなデコボコを伝えにくく、段差を乗り越えた時のショックの伝わり方も小さい。以前もハイブリッドはノーマルエンジン車に比べて乗り心地が優れていたが、少々の不満を伴った。そこを洗練させている。

タイヤサイズは15インチ(195/65R15)で、試乗車に装着されていたタイヤの銘柄はグッドイヤー デュラグリップ。指定空気圧は前後輪ともに240kPaだ。タイヤのサイズや空気圧は燃費性能を重視したものだから、この乗り心地なら満足できるだろう。

乗り心地を向上させながら、走行安定性は損なわれていない。峠道などを走るとボディの傾き方が大きく感じられ、危険を回避する時は揺り返しも拡大しやすいが、挙動の変化は比較的穏やかに進む。安定性が高いとはいえないが、車両全体のバランスは取れていて違和感なく運転できる。

動力性能は改良前と同じだ。1.8リッターエンジンをベースにしたハイブリッドはプリウスに搭載することを目的に開発され、エスクァイアハイブリッドのGiプレミアムパッケージの車両重量は1620kgだから、260kg前後の重量増加になる。多人数で乗車すれば高速道路の登坂路などで力不足を感じる場面もあるが、市街地ではほとんど不満を感じない。走行安定性と同様、車両全体のバランスは取れている。

3兄弟車「エスクァイア」と「ヴォクシー/ノア」の違いをあらためて徹底解説

トヨタ エスクァイア HYBRID Gi“Premium Package”

エスクァイアは基本的にヴォクシーやノアと同じクルマだが、仕様が少し異なる。内外装は前述のように上級化され、ハリアーに似た雰囲気だ。 装備も充実しており、ヴォクシーとノアに用意される安価なXではホイールがスチール製になるが、エスクァイアで一番安いXiはアルミホイールを装着する。

緊急自動ブレーキを作動できる安全装備のToyota Safety Sense C(トヨタセーフティセンスC)、4.2インチTFTカラーのマルチインフォメーションディスプレイなども全グレードに標準装着した。そのために価格はすべてのグレードにわたってヴォクシー&ノアを10~20万円上まわるが、装備の違いを補正すると、内外装の質感を高めた対価は5万円くらいになる。

エスクァイアを上質に仕上げた理由は、取り扱いディーラーが中級から上級車種を中心に扱うトヨタ店とトヨペット店になるからだ。トヨタ店はクラウンが主力商品で、ミニバンはLサイズのエスティマとミドルサイズのアイシスを用意する。トヨペット店はマークII(現在のマークX)とコロナ(同プレミオ)が古くからの看板商品で、近年ではSUVのハリアー、ミニバンはLサイズのアルファードが人気を得ている。

しかし今はセダンの売れ行きが下がり、好調に売れる車種が欲しい。そこで人気の高いヴォクシー&ノアの兄弟車として、2014年10月にエスクァイアを加えた。トヨタ店とトヨペット店が中級から上級車種を多く扱うことを考えて、内外装と装備を上級化させてアルファード風に仕上げている。この性格をさらに際立たせるべく、Giプレミアムパッケージを追加した。

その一方で、ヴォクシーZS、ノアSiに相当する3ナンバーサイズのエアロ仕様は用意していない。エスクァイアの性格を考えた結果でもあるが、生産規模も関係している。ヴォクシー/ノア/エスクァイアの3車種を合計して1か月に1万8000台、年間なら21万6000台だ。2016年度は約19万台が売れたから、今以上にバリエーションを増やすと、需要が高まった時に納期が伸びたりする可能性がある。

今回のマイナーチェンジで残念なのは、Toyota Safety Sense Cが進化していないことだ。単眼カメラと赤外線レーザーを併用しながら、歩行者に対しては警報や緊急自動ブレーキを作動できない。今ではトヨタの傘下に入ったダイハツの軽自動車も、2個のカメラを併用して歩行者対応を進化させている(スマートアシストIII)。Toyota Safety Sense Cは、早急に改善する必要がある。

新型エスクァイアのハイブリッドとガソリン車、どっちが買い!?

トヨタ エスクァイア HYBRID Gi“Premium Package”

エスクァイアの選び方として、ハイブリッドとノーマルエンジンで迷うだろう。Giプレミアムパッケージ同士で比較するとハイブリッドは37万8000円高いが、ハイブリッドシステムと併せてリアクーラー+ヒーターも装着される。この価格は寒冷地仕様のオプション価格差から4万3200円と割り出せる。つまりこの段階で実質価格差は33万4800円に縮まる。

さらにエコカー減税もハイブリッドは免税、ノーマルエンジンは減税で8万2100円の差が生じる。これを差し引いた25万2900円が最終的な負担差額だ。

実用燃費をJC08モードの85%、レギュラーガソリン価格を1リッター当たり130円で計算すると、1km当たりの走行単価はハイブリッドが6.4円、ノーマルエンジンは9.6円だ。1km当たり3.2円の差額になり、この節約で前述の25万2900円を取り戻せるのは7万9000kmを走った頃になる。1年間に1万5000kmを走るユーザーなら5年少々だから、ハイブリッドを選ぶ価値が高い。

ただし、ヴォクシー&ノアのハイブリッド価格は35万円以上と少し高く(比べるグレードでも価格差が異なる)、取り戻せる距離も伸びる。つまりエスクァイアのGiプレミアムパッケージは、ハイブリッドが有利な仕様になる。また、2017年の4/5月に行われたエコカー減税の改訂も影響した。ハイブリッドは減税を維持したが、ノーマルエンジン車は減税率を下げたから、税額が高まってハイブリッドとの差額が開いた。

ハイブリッドは動力性能が乏しい半面、登坂路などを除いた通常の走りでは、エンジンのノイズが小さい。遮音も入念だから走行音も低く、上質感が重視されるエスクァイアはハイブリッドとの親和性が高い。購入する時には両方を試乗して判断すると良いだろう。

[レポート:渡辺陽一郎/Photo:茂呂幸正]

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トヨタ エスクァイア ハイブリッド Gi プレミアムパッケージ 主要諸元

トヨタ エスクァイア HYBRID Gi“Premium Package”サイドビュー

トヨタ エスクァイア ハイブリッド Gi プレミアムパッケージ 主要諸元
新車価格3,358,800円
JC08モード燃費23.8km/L
駆動方式2WD
乗車定員7名
全長4,695mm
全幅(車幅)1,695mm
全高(車高)1,825mm
車両重量1,620kg
ホイールベース2,850mm
エンジン種類直列4気筒
排気量1,797cc
エンジン最高出力73kW(99PS)/5,200rpm
エンジン最大トルク142N・m(14.5kgf・m)/4,000rpm
トランスミッション電気式無段変速機
モーター最高出力60kW(82PS)
モーター最大トルク207N・m(21.1kgf・m)

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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