日産 NV200「ニューヨークタクシー」発表会速報
- 筆者:
- カメラマン:オートックワン編集部 Text:オートックワン編集部
ニューヨークタクシーで1日60万人が「NISSAN」を体感する日
ニューヨーク市の次期タクシーキャブ選考プロジェクトは、2007年にスタートしている。2009年12月には各自動車メーカーに対しデザイン提案を呼びかけ、米国を始め日本など世界の自動車メーカーがこれに応じた。
ニューヨーク市が21世紀の次世代イエローキャブに求めた要件は、
1.これまでにない革新性と快適性を実現すること/2.最高の安全性能を確保すること/3.環境へのインパクトを低減すること/4.道路上での占有面積を最小化すること/5.誰でも使いやすいユニバーサルデザインを追及すること
の5点で、これらを満たした新型車導入で道路渋滞の緩和やCO2の低減、利用者の快適性や安全性を向上させることを目指した。
会見で日産のアンディ・パーマー副社長は「1日60万人もの乗客が常にNISSANを体感することは、大きなインパクトがある」と語っていたが、そうしたマーケティング効果も含めての選考参加だったようだ。
2010年11月に、米国のフォードを含む3メーカーが最終選考に選出。2011年5月には正式に日産のNV200の選定が決定した。ニューヨーク市での運行開始は2013年10月からと、実に長い歳月が費やされている。
これまで、タクシーキャブの代表選手だったフォード クラウン ヴィクトリア(V8エンジンを積む後輪駆動のフルサイズセダン車)から比べると、4気筒2.0リッターエンジンを積む日産 NV200 ニューヨークタクシーはおよそ30%の燃費低減が図られることになる。また約13000台のタクシーが全て小型ボディ(全長x全幅:4725x1727mm)のNV200へ入れ替わると、路上占有面積ではおよそ5エーカー(約2ヘクタール!)の軽減に匹敵するという!
なおニューヨーク市ではV8のフォードセダンに加え、ハイブリッド車のタクシー導入も進んでいる。ガソリン2.0リッター車の燃費低減インパクトはさほどでもないのでは、との問いに日産では、まずEV(電気自動車)「リーフ」6台の試験導入を実施し、今後登場予定のEV版「NV200」導入の可能性についてもニューヨーク市と検討していくとした。
マンハッタンの摩天楼をパノラミックルーフで堪能出来る!
燃費や路上占有面積の軽減以外にも、日産「NV200ニューヨークタクシー」の新しさは室内にもある。早速チェックしてみよう。
セダンボディの主流のタクシーキャブに対し、ミニバンボディのNV200が最もアドバンテージを誇るのは室内空間だ。日本仕様のNV200バネットに比べホイールベースは約10mm延長されていて、防弾仕様の運転席とのパーテーションを介してもなお、足元には十分な空間を保つ。ちなみに展示車両のスライドドアは手動開閉だが、日産の関係者の方に伺うと、スライドドアを電動開閉式とするかどうか、まだ最終決定はなされていないようだ。
背の高いNV200は頭上空間もたっぷりしていて、さらにニューヨークタクシー仕様ではサンシェード付きの大型サンルーフ「パノラミックルーフ」まで装備されている。これで側窓のみならず、頭上からもニューヨークの摩天楼が堪能出来る!
シートの表皮は抗菌仕様の合成皮革でなかなかの質感。このほかUSB電源や大型モニター(広告映像などを流すようだ)などが装備されている。ちなみにパーテーションで仕切られた運転席と乗客は、マイクを通じて会話するようになっていた。
ラゲッジも大型のスーツケースをたっぷり飲み込めるほど十分に確保されていて、空港タクシーでの活躍にも期待がかかる。なお写真でもわかるように、NV200ニューヨークタクシーのリアゲートは観音開きドア仕様だ。
安全面では、タクシー仕様のパーテーション等を装備した車両で初の衝突試験を実施し、安全性を確認した。また運転席のみならず後席にもSRSカーテンエアバッグを装備し、万が一の際に備える。
もう1台のタクシーキャブ、日本仕様の「NV200バネットタクシー」
会場にはもう1台、白い日産NV200のタクシー仕様が展示されていた。
こちらは日本仕様の「NV200バネットタクシー」。国土交通省のユニバーサルデザイン(UD)認定制度に認定された第1号のクルマだ。バリアフリー化が進められ、福祉タクシーとしても活用出来るように仕立てられている。高齢者や障がい者などの乗降を補助する大型のグリップやステップが用意されるほか、後席を倒せば車いすに乗ったまま乗車出来るように改造されており、リアゲートを開けると車いす乗降用のスロープも装備されている。
もちろん通常のタクシーキャブとしても運行出来ることから、タクシー会社の運用効率化にも貢献しているようだ。既に300台以上が販売され、街で活躍し始めている。
ここ数年、タクシーキャブはトヨタのクラウンセダンが市場シェアを大きく占めている。しかし何もタクシー車両はセダンでなければならないという決まりはない。むしろ乗客の立場からすれば、狭いセダン車よりも、ミニバンのような大きな室内空間のほうが快適だと感じるはずで、このNV200バネットタクシーは、タクシーキャブに対するひとつの最適解ではないかと感じた。
そこで会場に居合わせた日産の関係者の方に、このNV200バネットタクシー車両で営業攻勢をかけるのかと聞いてみたところ、FRのセダン車にこだわるタクシー会社も多く、なかなかそう一筋縄にはいかないとのことだった。不思議な話である。
とはいえ、今回のニューヨークタクシーの報道発表を通じ認知を広めることで、NV200バネットタクシーの更なる販売促進も狙っているのは間違いないだろう。ちなみにNV200ニューヨークタクシーも、既に北米を始めとする世界各国で引き合いがあるという。
小型商用車部門でシェアNo.1を目指す日産
日産では、2016年までに小型商用車(LCV)部門で世界シェアNo.1を獲得する目標を立てている。
例えば新興国では、まず最初に触れる「自動車」は商用車であり、今後発展が見込まれる市場で広く日産ブランドを知らしめることは、乗用車部門にとっても大きなインパクトがある。かつてピックアップトラックや小型乗用車などで名を馳せたDATSUNブランドの再復活も、このあたりに焦点を向けているのだろう。
同じように、今回のニューヨークタクシー採用が日産ブランドの認知拡大につながるのか、近い将来の市場シェア分布が今から気になるところだ。
[Text&Photo:オートックワン編集部]
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