10年目を迎えた日産GT-R、新型R36はPHEVスーパーカーになってしまうのか

10年目を迎えた日産GT-R、新型R36はPHEVスーパーカーになってしまうのか
日産「コンセプト2020ビジョングランツーリスモ」 日産「コンセプト2020ビジョングランツーリスモ」 日産「コンセプト2020ビジョングランツーリスモ」 日産「コンセプト2020ビジョングランツーリスモ」 日産「コンセプト2020ビジョングランツーリスモ」 日産「コンセプト2020ビジョングランツーリスモ」 日産「コンセプト2020ビジョングランツーリスモ」 日産「コンセプト2020ビジョングランツーリスモ」 日産「コンセプト2020ビジョングランツーリスモ」 日産「コンセプト2020ビジョングランツーリスモ」 日産「コンセプト2020ビジョングランツーリスモ」 画像ギャラリーはこちら

トヨタ 新型スープラやホンダ 新型S2000の噂が絶えない2017年、新型GT-Rはどうなる?

日産「コンセプト2020ビジョングランツーリスモ」

5月の大型連休も終わり、日系自動車メーカー各社は第45回東京モーターショー(一般公開:2017年10月28日~11月5日)に向けた準備を本格化させている。

9月には報道陣向けの事前説明会及び車両撮影会が行われるため、コンセプトモデルなどの仕上げを急いでいる真っ最中である。今回の東京モーターショーでの目玉は、トヨタはスープラ、ホンダはS2000、そして日産はフェアレディZといったスポーツカーになる公算が高い。

そうした中、噂が絶えないのが2007年に登場し、10年を迎えた日産GT-R(R35)の次世代モデル、GT-R(R36)だ。

現行のR35は2016年9月、登場から9年ぶりの大幅改良を施し、R35最終形へと進化した。自動車メーカーにおける新車向けの部品購買は通常、3年サイクルであるため、仮にR36が登場すると想定した場合、2016年の3年後となる2019年が“進化のタイミング”となる。

となると、R36は2019年10月の東京モーターショーに登場し、東京オリンピック・パラリンピックの2020年に世界に向けて発売開始。または、2019年8月に米カリフォルニア州モントレーで開催される、コンクール・デレガンスに登場といったサプライズも“なくはない”。

だが、2017年5月の現時点で、日産も、そしてR35のオーナーも、そしてGT-Rを所有したことは一度もないが日本最高峰のスーパースポーツカーGT-Rへの憧れを持ち続けてきた多くのクルマファンにとっても、“R36が目指すべき方向性”がハッキリと見えていない、というのが実情ではないだろうか。

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新型GT-R(R36)の方向性が見えない理由

日産 GT-R(R35)スカイライン GT-R Vspec(R34)

R36の方向性が見えないのは、現行のR35が商品として“難しい立ち位置”にあるためだ。 以下、2つの項目に分けて説明する。

(1)スカイラインとの関係がねじれたこと

先日、六本木で開催されたスカイライン生誕60周年記念イベントを見て、多くの人が改めて実感するように、GT-Rは長きに渡りスカイラインの最上級モデルだった。その方程式が、R35から崩れた。

R35はスカイラインGT-Rではなく、日産 GT-Rという単独モデルとなった。日産関係者の話ではその当時、R35の商品企画段階ではインフィニティブランドからの発売も視野にあったようだ。しかし、日本でのインフィニティブランド展開は想定販売台数から市場性を熟慮した結果、日本での参入の話は消え、R35は日産の“特別なクルマ”という位置付けとなった。

その後に登場した、現行スカイラインは、フロントグリルにインフィニティバッチをつけたまま、という“異様な姿”で登場している。つまり、現時点で、GT-Rとスカイラインという2つモデルに“ねじれ現象”が起こっているのだ。

(2)対抗馬が見えない

R35から次世代型の四駆になったとはいえ、GT-Rの神髄はフロントエンジンである。となると、現行でのライバルはGMシボレーコルベットといえるだろうが、GT-Rオーナーでそうしたイメージを持っている人は少ない。

GT-Rのライバルとは、フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェなど、スーパーカーやスーパースポーツカーの全てを指す。2000年代中頃のR35開発期間中、開発の総監督である水野和敏氏、そして開発ドライバーの鈴木利男氏の両名は私にそう語っている。独ニュルブルクリンクでのタイムアタック、走りの熟成を進めた米アリゾナのテストコース、そして時速300キロでのクルージングを目指した独アウトバーン。様々な走行シーンで、世界ナンバーワンを目指してR35は開発されてきた。

そうした開発現場の声を基に、私は2007年の秋、集英社ヤングジャンプの月刊版だった漫革ヤングジャンプにて読み切り作品「GT-Rリターンズ」の原作・シナリオを書いた。当時、私はヤングジャンプ本誌で連載していた「カウンタック」(梅澤春人著)の技術監修をしており、イタリア現地取材を行うなどして、新旧スーパーカーについて豊富な資料を持っていた。

「GT-Rリターンズ」では、R34のテストドライバーだった主人公が、ある事故からの再起をきっかけとして、世界のスーパーカーメーカーが参加した“裏レース”でR35の量産試作車で参戦するという物語だ。ライバルは、メルセデスSLR、ポルシェカレラGTなどで、最終的には当時最高時速400キロオーバーが話題となっていたブガッティ・ヴェイロンとの一騎打ちとなった。

2000年代初めから中頃、世界市場は第二次スーパーカーブームといった様相を呈しており、「GT-Rリターンズ」で私が描いたように、R35登場の舞台は市場の中でも用意されていたのだと思う。

一方、2017年の時点では、R36が戦う舞台が見えてこないのだ。

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新型GT-Rのプラグインハイブリッド化は必然か?

日産 GT-R PROTO (2005)日産「コンセプト2020ビジョングランツーリスモ」

最近、中国やアメリカで、さらには日本のベンチャーで、EVスーパーカーの量産計画が続々と発表されている。そのなかには“まゆつば”と思えるようなシロモノが含まれているなど、現状は“超高級EVバブル”である。

世界で最も普及しているEVのリーフを持つ日産ではあるが、R36をフルEVに仕立ててしまっては、GT-Rとしての存在意義がなくなる。GT-Rという商品には、“匠の手によるメカニカルな味わい”が必然だからだ。

とはいえ、アメリカでの企業別平均燃費規制のCAFEや、欧州や中国でのCO2規制を考慮すれば、欧州スーパーカーメーカーと同じように、プラグインハイブリッド化することは、R36にとっての必須条件だと思う。

近年に登場しているインフィニティのコンセプトモデルでは、プラグインハイブリッドという設定が主流となっており、V型6気筒プラグインハイブリッドがR36のパワートレインになる可能性が高い。

そして気になるのが、デザインだ。R35のコンセプトモデルは、メディアや一般の方から賛否両論が巻き起こったが、量産車ではほど良いまとまり感に落ち着いた。R36のデザインはR35の正常進化なのか、それとも、市場から再び賛否両論が巻き起こるほどの衝撃的な姿となるのか。

R36の方向性はまだまだ見えてこない。そうした状況では、2019年東京モーターショーに間に合わず、新型GT-Rコンセプトの登場が2021年東京モーターショーにずれ込む可能性もある?

現行GT-R(R35)が新型GT-R(R36)としてどう進化し、登場してくるのか楽しみに待ちたい。

[Text:桃田健史]

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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