スバル エクシーガクロスオーバー7燃費レポート|さらばスバルの7シーター(1/3)

  • 筆者: 永田 恵一
  • カメラマン:和田清志・永田 恵一

スバル エクシーガ クロスオーバー7燃費レポート結果まとめ

起用グレード

今回の燃費テストでは、2017年12月18日(月)に新規受注を、来年2018年3月末で生産を終了するスバルのクロスオーバーミニバンのエクシーガ クロスオーバー7をメモリアルも兼ねてテストした。グレードは防水ファブリック/合成皮革シートやラゲッジスペースにプラスチック製のリバーシブルカーゴフロアボードを装備し、アウトドアに使う際の使い勝手を向上した特別仕様車「X-BREAK」(車両本体価格279万7200円、JC08モード燃費13.2km/L)を起用した。

>>スバル エクシーガ CROSSOVER7(クロスオーバーセブン) 試乗レポート/国沢光宏

燃費テスト概要

テストは11月30日(木)の午前7時頃開始し、午後1時半頃帰京するというスケジュールで実施。テスト中の天候は曇りのち小雨、最高気温13℃という冬の訪れを感じさせる気候で、交通状況は月末ということもありかなりの混雑だった。なおエクシーガ クロスオーバー7はドライブアシストシステム「SIドライブ」を「I」「S」「S♯」の3つから選べるが、デフォルトとなるIを選択した。

>>販売終了となるスバル エクシーガ クロスオーバー7の画像を見る(画像53枚)

スバル エクシーガ クロスオーバー7の実燃費は平均12.2km/L

エクシーガ クロスオーバー7の燃費テストの結果は以下の通り。

スバル エクシーガ クロスオーバー7実燃費レポート|結果まとめ
スバル エクシーガ クロスオーバー7

グレード

X-BREAK

パワートレイン

ガソリン

駆動方式

AWD

JC08モード燃費

13.2km/L

実燃費:平均

12.2km/L

実燃費:市街地

9.7km/L

実燃費:郊外路

12.4km/L

実燃費:高速道路

16.2km/L

現在は、エクシーガ クロスオーバー7のようなステーションワゴンに近い全高でヒンジドアを持つミニバンは、トヨタ プリウスαとホンダ ジェイドがあるくらいで絶滅状態となっている。結果を見るとエクシーガ クロスオーバー7は特筆するほどの燃費ではないものの、トヨタ エスティマとホンダ オデッセイの2.4リッターFFに対し車重の軽さなどを生かしたアドバンテージある燃費を記録した。

>>トヨタ エスティマの実燃費をオデッセイ・アルファードと比較!【燃費レポート】

>>【燃費】ホンダ 新型オデッセイガソリンモデル 燃費レポート/永田恵一

ここからは高速燃費編、市街地編、郊外路編、それぞれの章で燃費や走りの質について詳細な評価を行うが、エクシーガ クロスオーバー7は、前身となったエクシーガの登場からかなりの時間が経っているだけに古さを感じる部分があるのは否めない。しかし、コンセプトや3列目シートの居住性を含むパッケージングには、未だに面白い部分がある。生産終了が近いが、エクシーガ クロスオーバー7を検討している方にはぜひ参考にしてほしい。

>>国産人気ミニバン実燃費ランキング|本当に燃費が良いミニバンはどれ!? シエンタ、フリードなど14車種を徹底比較

スバル エクシーガ クロスオーバー7実燃費レポート|市街地・街乗り編

エクシーガ クロスオーバー7の市街地での実燃費:9.7km/L

スバル エクシーガ クロスオーバー7実燃費レポート|市街地・街乗り編
車種名パワートレイン実燃費

スバル エクシーガ クロスオーバー7

AWD/ガソリン

9.7km/L

トヨタ エスティマ

2WD/ガソリン

7.8km/L

ホンダ オデッセイ(2014年モデル)

2WD/ガソリン

8.6km/L

エクシーガ クロスオーバー7は、市街地でもミニバンの持つ車重の軽さなどを生かし、比較対象としたトヨタ エスティマやホンダ オデッセイに対し明確なアドバンテージを持つ燃費を記録した。

エクシーガ クロスオーバー7は市街地でも全体的に運転が楽な車であった。

まずドライバビリティ(運転のしやすさ)が、2.5リッターエンジンという低速トルクの太さ、アクセル操作に対し素直に反応するCVTのマッチングの良さにより、通常の交通状況であれば2000回転以下の低いエンジン回転で流れに乗れ、非常に運転しやすい。

アイドリング中の振動は若干大きいものの、アイドリングストップが付くためほとんど気にならない。そのアイドリングストップは、停止後ブレーキペダルを踏み足すと起動するタイプで、一時停止や止まりそうな渋滞中でも不必要なアイドリングストップが起きないという意味では好ましい。

アイドリングストップ中は、エンジン再始動の際のセルモーターの音がやや耳に付くものの、再始動は素早い。テストした日の気候や交通状況であれば、アイドリングストップはほぼ停止する度に発生し、アイドリングストップする時間も長く、エンジンが再始動することは少なかった。

市街地でもアイサイトのACC機能を使ってみたところ、パーキングブレーキが足踏み式で電動タイプでないため、停止後のブレーキホールド機能が付かない点に古さを感じた。しかし、基本的には加減速はスムースで、疲労を軽減する運転支援システムとして十分使える高い完成度を備えていた。

スバル エクシーガ クロスオーバー7実燃費レポート|郊外路編

エクシーガ クロスオーバー7の郊外路での実燃費:12.4km/L

スバル エクシーガ クロスオーバー7実燃費レポート|郊外路編
車種名パワートレイン実燃費

スバル エクシーガ クロスオーバー7

AWD/ガソリン

12.4km/L

トヨタ エスティマ

2WD/ガソリン

10.6km/L

ホンダ オデッセイ(2014年モデル)

2WD/ガソリン

10.9km/L

ボディ剛性に古さを感じるものの、乗用車ライクなハンドリングが楽しめる

エクシーガ クロスオーバー7に試乗した際、モデルの古さを一番感じたのが、ボディの剛性感に欠ける点だった。

路面の悪いところを通過する際にそれほど大きくはないが「ドシン」、「ガタガタ」という低級音が聞こえた。これには車の品質感を損なっているのが残念というか、もったいなく感じた。

だが、サスペンションの動きはなかなかスムースで、全体的にはまずますといえる良レベルだった。

ハンドリングは、欲を言うと手応えがもう少しシッカリするとなお好ましいところはある。しかし、エクシーガ クロスオーバー7への移行で最低地上高が高くなってもワインディングロードではロールは少なく、水平対向エンジンを搭載することによる重心の低さもプラスに働き車の動きも軽快。運転が楽しいミニバンという点は、エクシーガ クロスオーバー7の強みといえる。

なお、エクシーガ クロスオーバー7に装備される「SIドライブ」の、「S」「S♯」もテスト前日に試してみた。デフォルトの「I」を基準にすると、「S」「S♯」というスポーティな走行モードになる従って、アクセル操作に対するレスポンスがシャープになり、高いエンジン回転を使うという変化が確認できた。通常はIモードで不満や問題を感じることはないので、基本的にはIモードを選ぶことを勧めたい。

スバル エクシーガ クロスオーバー7実燃費レポート|高速道路編

エクシーガ クロスオーバー7の高速燃費での実燃費:16.2km/L

スバル エクシーガ クロスオーバー7実燃費レポート|高速道路編
車種名パワートレイン実燃費

スバル エクシーガ クロスオーバー7

AWD/ガソリン

16.2km/L

トヨタ エスティマ

2WD/ガソリン

14.3km/L

ホンダ オデッセイ(2014年モデル)

2WD/ガソリン

14.3km/L

エクシーガ クロスオーバー7は高速道路では16.2km/Lという燃費を記録した。この燃費は、サイズが近いトヨタ エスティマやホンダ オデッセイを大きく上回る。そもそものジャンルが違うため当然ともいえるが、レガシィアウトバックやレヴォーグといったステーションワゴンに近い数値であり、車重の軽さなどのメリットが浮き彫りとなった結果と言える。

アイサイトver.2は、未だに大きな武器

高速道路編では動力性能やアイサイトの印象を中心にお伝えしよう。

まず動力性能は、NAの2.5リッター級のガソリンエンジンを搭載するミニバンとしては車重が1620kgと軽いこともあり、アクセル操作に対し軽快にスピードが乗り、7人フル乗車してもパワー不足を感じることはないだろう。

また、スバルの2.5リッター水平対向4気筒は、一世代前のEJ型からフィーリングのいいエンジンだったが、エクシーガ クロスオーバー7のFB25型でも同様に常用域からトルクの太さを感じられる。アクセルを深く踏んでも気持ちのよいエンジン音を伴いながらスムースに軽快かつシッカリと高回転域まで回る点は高く評価できる。

なお100km/h走行時のエンジン回転数は、1800回転と低く抑えられていた。

高速道路でアイサイトのACC機能を使った印象は、エクシーガ クロスオーバー7のアイサイトver.2は、最新のver.3やツーリングアシストのようにステレオカメラがカラー画像ではなくモノクロ画像になるため、先行車のブレーキランプの点灯を認識できない。そのため、ver.3やツーリングアシストに比べると減速のタイミングが僅かに遅いように感じことはある。それでもシームレスなCVTと組み合わされることもあり、加減速は十分スムース。三段階から選べる車間距離は適切で、アイサイトはver.2でも未だに大きな武器であると断言できる。

スバル エクシーガ クロスオーバー7実燃費レポート|総合評価

エクシーガ クロスオーバー7の総合実燃費:12.2km/L

スバル エクシーガ クロスオーバー7実燃費レポート|総合平均
車種名パワートレイン実燃費

スバル エクシーガ クロスオーバー7

AWD/ガソリン

12.2km/L

トヨタ エスティマ

2WD/ガソリン

10.4km/L

ホンダ オデッセイ(2014年モデル)

2WD/ガソリン

10.7km/L

エクシーガ クロスオーバー7は、ボディ剛性や新鮮さに欠けるという設計の古さは否めない。しかし、ステーションワゴンに近い全高で7人がそう不満なく乗れる室内スペースを確保している点や、競合となるミニバンに対する燃費や動力性能の優位性、未だに納得できるアイサイトver.2の搭載などポジティブな部分は多い。

加えて、カジュアルさと高級感をうまくバランスさせた内外装の雰囲気や、定評あるスバルの4WDと高めの最低地上高により、雪道を含め悪路にもそれなりに対応できる点など、見方によっては幅広い用途に対応するなかなか魅力ある車といえる。

さらに登場から時間が経っているせいもあるが、車両価格もカーナビを付けて300万円程度と割安感があり、さらに生産終了直前ということで大きな値引きに当たる可能性も考えると、好みや使い方に合えば面白い車だ。それだけに欲しい人には好みの仕様が確実に手に入る2017年12月18日(月)までの新規受注か、あるいはその後の在庫販売でさらに大きな値引きを狙うか、入念に作戦を練った上での購入を勧めたい。

同時にエクシーガ クロスオーバー7に乗ると、3列目も十二分に使える室内スペースや燃費、走行性能というバランスは今になると非常に高次元だったことを再認識できる。

今後、スバルの3列シート車は日本導入があれば11月のLAオートショー2017で発表された大型SUVのアセントが引き継ぐことになるのだろうが、如何せん日本ではアセントのサイズは大きく、おそらく高価だろう。といった点を考えると、エクシーガ クロスオーバー7の直接的な後継車というのは難しいにせよ、エクシーガ クロスオーバー7の意志やパッケージングを受け継いだ、日本でも使いやすいサイズの3列シート車の登場を期待したいと強く感じた。

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永田 恵一
筆者永田 恵一

1979年生まれ。26歳の時に本サイトでも活躍する国沢光宏氏に弟子入り。3年間の修業期間後フリーランスのライターとして独立した。豊富なクルマの知識を武器に、自動車メディア業界には貴重な若手世代として活躍してきたが、気付けば中堅と呼ばれる年齢に突入中。愛車はGRヤリスと86、過去には日本自動車史上最初で最後と思われるV12エンジンを搭載した先代センチュリーを所有していたことも。記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

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