マツダ 新型プレマシー 試乗レポート/森口将之(2/2)

マツダ 新型プレマシー 試乗レポート/森口将之
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ミニバンにおいても強く感じるマツダの「欧州風味」

エンジンは2.3リッターが消滅し、DISIと名づけられた直噴2リッターエンジンに統一された。5速ATのトランスミッションは、旧型から受け継がれる。

そして、注目はやはりアクセラやビアンテに続き「i-Stop」と呼ばれるアイドリングストップ採用したことだ。以前アクセラに乗ったときは、晴れた日の街中だったこともあり、信号待ちの途中でエンジンが始動する場面もあった。

しかし今回は、小雨交じりの箱根でドライブしたためもあり、不満は感じなかった。

開発スタッフによると、アクセラではオートエアコンの室温管理を厳格にしすぎた嫌いがあり、今回は設定が27℃以上の場合は多少の温度変化を許すようにしたそうだ。

でもそんなに複雑に考えず、「快適」モードと「我慢」モードを切り替えられるスイッチをつければすむ問題ではないかとも思った。

最近はヨーロッパ車を中心に、アイドリングストップ装備車が続々登場していて、マツダのような直噴エンジンや専用モーター、入念なモニタリングなしでも、問題のないストップ&ゴーを実践するモデルが多い。

携帯電話の「ガラパゴス化」もそうだが、機能を足し算で詰め込むのではなく、簡単で使いやすいメカを提供することが、低価格化や他車種への展開など、さまざまな面で有利ではないだろうか。

ただしエンジン本来の仕事についていえば、低回転では力強く、高回転ではなめらかで、サウンドも心地よく、おおむね好印象だった。ATはかつてのマツダ車とは対照的に、発進時の唐突な飛び出しを抑え、クルージングでは高いギアをキープしてくれるので、リラックスした走りが味わえた。

それ以上に印象的だったのはハンドリングだ。

開発エンジニアが口にしたとおり、走りに「統一感」があった。つまりステアリング、アクセル、ブレーキなどすべてのレスポンスが同じレベルで調律されていたので、よけいな気を遣うことなくペースを上げていける。

フィーリングとしては、今年1月にマイナーチェンジしたアテンザに似ていて、電動油圧式パワーステアリングの反応はカチッとしているが、その後の身のこなしはむしろおだやかで、適度なロールと手に取るような4輪の接地感を味わい、安心感を抱きながら曲がっていける。

しかも乗り心地がいい。20Sに標準の16インチとオプションの17インチに乗ったが、後者でも継ぎ目や段差を絶妙にいなしてくれるので、しなやかと呼べるほどだ。

一方、コーナリングスピードは16インチでも不満がなかったから、見た目と価格のどちらを取るかで決めていいだろう。乗り心地とハンドリングのバランスにかけては、新型プレマシーは欧州の2リッター級ミニバンに匹敵する実力の持ち主と断言できる。

デザインの個性でも負けていない。しかも直噴エンジンやアイドリングストップは、日本車よりも欧州車でポピュラーな環境テクノロジーである。

マツダは欧州風味の強いクルマ作りに定評があるが、それはミニバンにおいても例外ではないことを、新型プレマシーは証明している。

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森口 将之
筆者森口 将之

1962年東京都生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。自動車専門誌の編集部を経て1993年フリーに。各種雑誌、インターネット、ラジオなどのメディアで活動。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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