ホンダ、障害者の自操運転復帰プログラム支援をメディアに公開

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2017年7月18日ホンダの交通教育センター レインボー埼玉で、ホンダが取組んでいる安全運転普及活動のメディア向け取材会が開催された。

”社会から交通事故をなくしたい” その想いから1970年に安全運転普及本部は発足。役割に応じた専任のインストラクターやスタッフを配置し、交通安全教育の「場」と「機会」を提供したり、関係諸団体と連携した交通安全普及活動に取り組んでいる。

障害のある方にも自動車という移動手段を提供したい

最近あまり話題にならないものの、ホンダの企業理念は他社と違う”素晴らしい点”が多い。今回紹介する「障害のある方にも自動車という移動手段を提供したい」などもその一つ。利益を考えず、左足だけで運転出来るペダルや、片手で運転出来るシステム、はたまた足だけで運転出来るシステムまで開発した。

そんなホンダが最近手がけているのは、脳の障害を持った人達の運転支援だという。以下、紹介したい。

御存知の通り脳卒中を起こすと身体の運動能力まで落ちてしまうことも少なくない。歩行障害や半身の機能障害など残ると、歩くことすら難しくなってしまい、現状では運転することが困難とされる。

けれど、残った機能障害は人によって大きく異なるという。運転を諦めなければならないケースもあれば、クルマという道具を使うことにより、日常生活に困らない程度の移動が可能になることもある。残念なことにその見極めや、訓練を行う施設や機関は存在しない。利益を上げられないし責任も伴うからだ。

ビジネスモデルとして考えたら成立しないと思う。もちろん国も地方自治体も関心を示さないという。ということでホンダの出番となる。様々な知見を元に脳の障害を起こした人の自立(公共の交通機関のない地域ではクルマに乗れないと不便)を支援していきたい、と考えたのだった。

ホンダの福祉安全運転の取り組み|自操運転復帰プログラム(運転再開)

社会復帰に向けて(認知機能等の高次脳機能障害)車の運転再開が必要な方を支援

(1)シュミレーターによる評価サポート

・室内でリアルな運転環境を安全に体験でき、上達度合いが数値であらわれるので訓練が楽しくモチベーションが高まる

・操作に慣れるための練習コースがあり、3画面では本当に運転しているような感覚を味わえる

(2)自動車運転訓練による評価サポート

・車両を使って安全な場所で 自分の運転能力を知ることができる

・さまざまな運転状況を実際に体験し訓練できる

・専用施設で補助装置付車両を使い 専門の指導員と安心して 車両の訓練を行うことができる

ホンダの福祉安全運転の取り組み|移送安全運転プログラム

リハビリ施設・デイケアセンター等に車で送迎される方々の安全な移動を支援

運転アドバイスや利用者の立場を体験・理解できるプログラム

(1)走行準備

・車両の機能・装備や運転姿勢、資格や視野の確認

(2)車両訓練

・同乗者に不安を与えない快適な送迎の運転操作

(3)振り返り

・送迎管理者を含めて振り返りを行い留意点を整理

ひとりでも多くの人々の身近な場所に、安心安全を確保出来るシステムを期待

ホンダの福祉安全運転の取り組みについてご紹介してきたが、一方、自動車という加害性のある道具を利用するには危険が伴う。現状だと「ブレーキからアクセルの踏み替えに0.5秒。ハンドル1回転を1秒で出来ること」を免許の目安としているようだけれど、やはり遅さを感じてしまう。普通の人なら速くて0.25秒。遅い人でも0.3秒あればブレーキ踏める。

自分で試してみればよく理解できる。0.5秒だと速度域が高ければ緊急時のブレーキはワンテンポ遅れてしまう(車速40km/hくらいまでなら問題無いと思う)。ということを公安委員会も解っているため、障害のある人にとって不快な対応で運転を諦めさせようとしているのが現状。

ちなみに反応速度に問題なければ全く普通に運転出来る。電気自動車なら右足だけでも左足だけでも全く問題無い。いや、リーフで全日本ラリーのクラス優勝した時は右足しか使わなかった。手の障害も運転支援装備が充実しているため、競技レベルの運転まで出来る。完全に克服したと考えていいだろう。けれど、反射時間に関わる障害は安全性に直結するため難しい。

今回取材したホンダの姿勢も「運転出来るかどうかの見極めと運転アドバイス」という内容。今後、さらに運転が出来る人の範囲を増やしていこうとするなら、自動ブレーキなどの運転支援技術とセットにしていけばよいと考える。

最新の自動ブレーキは健常者より優れた能力を持つ。はたまた、歩行者を検知してハンドル切る技術や、車線変更時の認識能力不足(脳の障害によっては視野角が狭くなることもある)を補うためのブラインドスポット警報なども有効。こういった技術を採用している車両の仕様を条件にしてもいいだろう。

私の場合、視力が一定基準に達していないため「眼鏡等」の”道具”を使用しないと運転出来ない。同じく脳障害のある方や、高齢者などを対象に「運転支援装置」を条件にすればいいだけ。この分野のパイオニアであるホンダに、全ての人が平等の安心や安全を確保出来る社会システムを提案して欲しいと願う。

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国沢 光宏
筆者国沢 光宏

1958年生まれ。ベストカーガイド編集部員を経て自動車評論家に。空気を全く読まず言いたいことを言い、書きたいことを書くので自動車メーカーから嫌われている。現在所有しているクルマは日産 リーフやトヨタ MIRAIなど多数。趣味はラリーに出場すること。人気のない(本人談)Webサイトを運営中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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