ヨーロッパで絶好調のジュークと撤退したキューブ、世界基準で通用するデザインとは?
- 筆者: 清水 草一
そこで、新型の登場とともにヨーロッパ市場に投入されたわけですが、残念ながら売れ行きが伸びず、昨年1月、ヨーロッパ向けの生産中止が発表されたわけです。
ただ、販売不振の主な原因は、値付けにありました。日産は、ヨーロッパで販売している量販車種をおおむね現地生産していますが(マイクラ=マーチはタイ製)、キューブは日本の工場で作って輸出していたため、ユーロ安が原因で、価格が大幅に高くなってしまったのです。
たとえばフランスでの価格は、マイクラの10,590ユーロからに対して、キューブは17,400ユーロから。これでは売れなくても仕方ありません。そんな価格にもかかわらず、ドイツでは2010年には1,000台以上のキューブが売れました。
まあ、マイクラが1万7,000台売れたのに比べれば微々たるものですが、それでも、日本独自の「遅そうなデザイン」は、それなりのインパクトを持って受け入れられたと解釈していいのではないでしょうか。
ジュークのデザインは、非常に大胆でステキだと思います。どちらがヘッドライトかわからないあの4つ目の顔、一瞬ギョッとさせますよね。全体のフォルムもとても個性的です。今や自動車デザインには驚きが必要とされていますが、その中でもジュークはなかなかの存在だと思います。
ただ、あのデザインが何年飽きずに見られるかというと、私は5年くらいじゃないかと思います。本当に練り込まれたいいデザインは、50年でも100年でも持つはずなので、ジュークのデザインはある種の劇薬であり、真に力があるかと言われれば、そこまではない、と考えています。
ちなみにジュークはヨーロッパで現地生産されているので、競争力のある値付けがされています。いくらデザインがよくても、値段が高すぎたら売れないのは、世界中同じなのです。
ということで、キューブのデザインが世界に通用せず、ジュークが通用した、と単純に割り切ることはできません。私はデザインだけを見れば、ジュークよりキューブの和風デザインの方がはるかに独創性があり、優れていると考えています。
MJブロンディの「ひとりごと」
ジュークがヨーロッパで売れていると言っても、実際の販売台数を見ると、キャシュカイ(デュアリス)の方が2倍以上売れています。キャシュカイはヨーロッパで最も売れている日本車でして、海外全般で好調です。
しかし日本ではサッパリですね。大市場に成長した中国は中国で、非常に独特の好みがあり、基本的にギラギラしたイバリの強いデザインが好まれます。アメリカはアメリカでまた別です。
今、世界の自動車メーカーは、それぞれの地域の好みに合わせたクルマを作ることに全力を挙げています。今や、「日本以外=世界で通用する○○」という考え方は無理なのです。
それぞれの地域に合ったデザインが求められており、それは必ずしも「普遍的に良いデザイン」ではないのですね。
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