安全だけのクルマじゃない!?ボルボがWTCC世界ツーリングカー選手権で大健闘!!(1/2)

  • 筆者: 山本 シンヤ
  • カメラマン:ボルボ・カー・ジャパン/ホンダ

空飛ぶレンガ!?実は速かった!!ボルボモータースポーツの歴史

多くの人は「ボルボ=安全」と言うイメージが強く、モータースポーツとは無縁の草食系と思うかもしれないが、実はモータースポーツ、それも市販車に直結するツーリングカーレースに積極的に参戦している。

かつてETC(ヨーロッパツーリングカー選手権)に参戦したボルボ 240ターボは、モータースポーツフィールドには似つかわしくないスクエアなスタイルながらも圧倒的な速さを誇り、85/86年に総合チャンピオンを獲得。更に85/86年の富士スピードウェイで開催された富士国際ツーリングカー耐久レース(インターTEC)でも2年連続優勝。その活躍を目の当たりにした人たちは「空飛ぶレンガ」と呼んだ。

以降、様々なカテゴリーに参戦を行なっているが、それを支えてきたのが1996年にボルボのモータースポーツ&カスタマイズのオフィシャルパートナーとして設立された「Polestar(ポールスター)」である。

世界タイトル獲得を志し2016年よりWTCCに参戦

これまでスカンジナビアン・ツーリングカー選手権(STCC)では6回のドライバータイトル、8回のチームタイトルを獲得しているが、「世界選手権でタイトルを取りたい!!」と言う強い想いがあったそうだ。そこで白羽の矢が立ったのが「WTCC」への参戦だった。

チーム体制はボルボ公式パートナーからボルボが100%株式取得し正式なパフォーマンス部門となった「ポールスター」とポールスター公式パートナーの「シアンレーシング」によるワークスチーム「ポールスター・シアンレーシング」。

マシンはS60ポールスターをベースにした「ボルボS60 WTCC」だ。エンジンはボルボ最新のDrive-Eがベースの1.6リッター直噴ターボ(400ps)を搭載する。

当初は2016年からのフル参戦に辺り、1年目は「知識や技術の取得」、2年目で「レースでの優勝」、3年目で「世界タイトル獲得」と言う3か年計画だったが、参戦初年度に優勝を獲得したことから、目標が前倒しとなり、2017年シーズンに世界タイトル獲得を目指すと発表され、チームは3台体制に。ドライバーはエースのテッド・ビヨーク選手、若手の実力派であるニッキー・キャッツバーグ選手に加え、ネストール・ジロラミ選手が加入した。

WTCC第8戦!最大の敵ホンダのホームコースに挑む!

ビヨーク選手は第2戦イタリアのメインレース、第4戦ドイツのオープングレースで優勝を含むシーズン7回目の表彰台を獲得により、第7戦を終えてドライバーズランキングトップ。更にキャッツバーグ選手はドイツのメインレースで優勝、ジロラミ選手は中国のメインレースで優勝も相まって、マニュラクチャラーズランキングもトップ。2017年10月28日-29日、第8戦となる日本(ツインリンクもてぎ)へと挑んだ。

もてぎは今シーズン最大のライバル「ホンダ」のホームコースだが、タイトル獲得のためには負けるわけにはいかない……。

しかし、レース前から波乱の連続。台風21号の影響の余波で前戦の中国からマシン搬入が遅れてスケジュールが大変更。10月29日の一日で予選Q1~Q3、オープニングレース、メインレース全てを行なうことに。おまけに中国ラウンドと同じく豪雨の中で開催となった。

予選はQ2終了直前にジロラミ選手が逆転しビヨーク選手がノックアウト……と言うどんでん返しがあったが、ビヨーク選手は「最後のアタックは無理しなかったので仕方ない」と。Q3ではキャッツバーグ選手が首位と0.37秒差で2位、ジロラミ選手は4位を獲得。

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

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