ボルボ V60 T4 R-DESIGN「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」試乗レポート/渡辺陽一郎(2/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
実用域における最大トルク上乗せの効果を実感
そこでさっそく、ポールスター・パフォーマンス・パッケージをインストールした「ボルボ V60 T4 Rデザイン」に試乗してみた。
正直なところ、最高出力が20馬力増えたことはあまり実感できなかったが、実用回転域における最大トルクを4.6kg-m上乗せした効果は大きいと感じられた。巡航状態の1600回転ではさほど違いを感じないが、2000回転に達すると駆動力が沸き上がる印象で、2000回転を超えた領域の加速感はかなり活発だ。
アクセルを踏み込んだ時の反応も正確。時間差を伴って駆動力が高まるターボの特性は抑えられ、前述のように3リッタークラスのエンジンを積んでいる感覚で運転できる。扱いやすくリラックスできて、エンジンのノイズも気にならない。
フル加速を試すと、高回転域は少し苦手。最大トルクは2000~4250回転の間で維持されるが、この領域を超えると下降してくる。最高出力のピークも5750回転だ。なので5000回転を超えると速度の上昇に伸び悩みを感じるが、T4エンジン自体が実用域の駆動力に重点を置く。そこを考えれば欠点にはならないだろう。ATのシフトアップは約5800回転で行われた。
ベース車の潜在能力の高さを改めて実感
サスペンションの設定などは当然ながら変更されないが、V60 T4 Rデザインとの組み合わせであれば、動力性能の向上にも十分に対応できる。タイヤサイズは18インチ(235/40R18)で、ブランドはコンチネンタルの「コンチスポーツコンタクト3」。
操舵に対して忠実に良く曲がる印象で、走り方によっては少し後輪の横滑りを許すが不安はない。動力性能の向上により、運転する楽しさが増した。乗り心地には重厚感が伴い、余裕のあるパワーで高速道路を長距離移動する使い方にも適している。
箱根界隈の山道などを走り回った限り、ポールスター・パフォーマンス・パッケージをインストールしても、車両全体のバランスは乱れていないことが確認出来た。T4エンジン、シャシーやサスペンションに、パワーアップに対応できる潜在能力があるためだろう。なので新車に付帯される保証にも影響はなく、安心して使える。むやみにアクセルを踏み込まない限り、燃費性能もほぼ同等だという。
ずばり、+20万円は割安だ!
思い浮かべたのは、BMW 1シリーズの116iと120iの関係だ。両車ともに1.6リッターにターボを装着したエンジンを搭載するが、最高出力は116iが136馬力で120iは170馬力、最大トルクも22.4kg-m/25.5kg-mと異なる。それでもJC08モード燃費は16.6km/Lで等しい。ポールスター・パフォーマンス・パッケージのインストールは、欧州車に多い過給圧の向上に基づく動力性能のグレードアップと同等の効果を発揮する。
そして116iと120iのエンジン価格差が、装備の違いを補正して約40万円になることを考えれば、20万円のポールスター・パフォーマンス・パッケージは割安といえそうだ。
メカニカルな手間を要さないインストールというチューニング方法に、一抹の寂しさは感じるが、「投資対効果」は十分にありそう。昭和は遠くになりにけり…、と改めて時の流れを実感させられた試乗であった。
[レポート:渡辺陽一郎/Photo:オートックワン編集部]
ポールスター・パフォーマンス・パッケージ[T4エンジン向け] 概要
■パッケージ名:ポールスター・パフォーマンス・パッケージ
■パッケージ内容:専用エンジン・マネジメント・プログラム/POLESTAR リアエンブレム/オーナーズブック(英語版)/ポールスター・パフォーマンス認定証/「T4(B4164T型)エンジン ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」最高出力:200ps(147kW)/5750rpm[標準車:180ps(132kW)/5700rpm]/最大トルク:285N・m/2000-4250tpm[標準車:240N・m/1600-5000rpm]/価格:200,000円(作業工賃/消費税込み)
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