大人の安全装備は常識 では子供の安全は・・・ チャイルドシート誤使用6割、致死率29倍という真実(3/3)
- 筆者: MOTA編集部
- カメラマン:MOTA編集部
チャイルドシートは助手席でもOK
さらに耳を疑うようなことも。
「ボルボ車の場合、助手席でも大丈夫ですよ。でも必須の条件があります。」
親は、衝突時にわが子への被害が少しでも軽減できるようにと考え、通常は後席に座らせる人が多い。当然筆者もそうだ。衝突時に被害の大きいフロントガラスに近い助手席に乗せている光景はあまり見られない。怖いからだ。
しかし、ボルボのチャイルドシートの理念に基づけば、助手席でも後ろ向きチャイルドシートを設置しても問題ないとのこと。
ただし、この場合は助手席エアバックのスイッチはオフにすることが大前提となる。それが必須条件である。
エアバック作動時の破裂する衝撃は想像以上に大きい。衝突時に瞬時に乗員の身体を受け止めるのだから当然だ。助手席にチャイルドシートを設置するには、エアバックのスイッチオフが必須なのだ。
欧州ではこのエアバッグスイッチをオフにする機能により、助手席に後ろ向きチャイルドシートを設置して、親と二人きりで乗る光景をよく目にする。こどもの様子がすぐにわかるので、異変があればすぐに車を停められるからだろう。日本では車種によってはこのエアバッグスイッチが無い車もあるので必ず確認することが必要だ。
また、後部座席に設置する利点は、逆にドライバーが運転に集中できるという訳だ。子供に気をとられて注意散漫になって運転に支障が出る心配もある。ボルボでは後部座席のヘッドレストに取り付ける鏡があり、子供をすぐ見られるアクセサリーもある。
「子供には、専用のチャイルドシートが必要です。通常のシートベルトは成人向けに作られたもので、子供には適していません。チャイルドシートは、子供の身体の大きさや年齢に見合ったものを選び、子供の成長に従ってその時に最も合うものに換えていくべきです。チャイルドシートには、衝突事故発生時に子供の身体にかかる衝撃を比較的強靭な部位へ、最善の形で分散させるという役目があります。」
ボルボでは、できるだけ長く、少なくとも3歳~4歳までは後ろ向き、その後も10歳くらいまでは前向きのチャイルドシート、ジュニアシート、ブースタークッション等を成長に合わせて使用することを推奨している。大人の席に座れるのは身長が140cmを超えてから。これは大人用のシートベルトが正しく装着できる体格になってから、ということ。
「6歳からは大人のシートでいいのでは?」と驚く方も多いのではないだろうか。こどもの身体は大人とは違う。成長もひとそれぞれだ。年齢ではなく体格に合わせる必要があるというのは、言われてみれば納得だ。
さらには、子供だけに限ったことではなく、ボルボの凄い所は妊婦にも注目している点だ。子供を身ごもった母親であれば、当然シートベルトの重要度も増してくる。日本では妊娠中にシートベルトをするのは胎児に良くないと思われがちだが、腰の低い位置でしっかりと締め、ショルダーベルトは胸の間に斜めにかけてお腹をよけて装着すれば、胎児を守れるどころか、母子共に安全性が高まるという実験結果も出ている。
確かに、妊婦はシートベルトをすると苦しくなるという理由から装着していなくても、日本では時と場合によっては取締で免除されるということを耳にするが、大きな間違いだ。大切なのは母体と胎児なのだから、しっかりとシートベルトを締めることは、改めて理にかなっていると言える。
みんなが安全でなければならない・・・
ボルボは、「すべてのひとを守りたい」をモットーに、これまで安全な車づくりに取り組んできたメーカーだ。そこには確かな自信と自負がある。
この安全研究への努力が評価され、今日の「ボルボ=安全」というイメージが世界中で定着していることにもはや疑いの余地などない。
すべては人が中心。「人」の安全こそ最高レベルで守らなければならない、という使命がボルボには息づいていた。
最後に、誤解なき様お伝えすると、ドライブする上で、こどもの安全は『VOLVO車に乗らないと、VOLVOのチャイルドシートを買わないと、保証されない』というわけでは決してない。
他のメーカーのクルマでももちろん同様のことが言える。ボルボは「安全」を最重要と考えるメーカーとして、自社研究の結果から『チャイルドシートは後ろ向きにしてほしい』『シートベルトを正しく付けてほしい』という正しい知識を大人の方々に地道に伝えていくことが大きなミッションと考えている。
お子さんがいる方、さらには間もなく産まれてくるという方、クルマ選びの際は、こういった安全面にもぜひ注目していただきたい。
「こどもを守れるのは大人しかいない・・・」この言葉に、クルマの価値観、そして安全性の重要度を感じ取っていただければ、筆者としても幸いだ。
[筆者・撮影:MOTA編集部]
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