トヨタ プロボックス&サクシード(2014年マイナーチェンジ)新型車解説(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:トヨタ自動車株式会社
今回のマイチェンでプロボックスとサクシードが共通化
なお、今回のマイナーチェンジによって、プロボックスとサクシードの共通性が強まった。
従来型はフロントマスクなどのデザインがかなり異なり、全長もサクシードが105mm長かった。マイナーチェンジ後の全長は4,245mmで等しく、全幅も1,690mmで同じ。車両価格も装備が共通のグレードであれば同額だ。従来型が差を付けていた理由は、もともとプロボックスがカローラバンの後継、サクシードがカリーナバンの後継として発売されたから。代替えユーザーを意識してプロボックスを少し高級にしていたが、今ではその必要も薄れたと判断したのだろう。いわゆる姉妹車同士になった。
マイナーチェンジ後の車両価格は、後席を上質に仕上げ、前後席にパワーウィンドウを装着した1.5リッターの「プロボックス F」「サクシード TX」が両車ともに158万3,673円。装備と価格のバランスを考えると、同じ排気量のコンパクトカーに比べて少し高いが、商用車だから耐久性が優れている。車両の基礎的な部分にコストを費やした。
プロボックスの1.3リッターと1.5リッターの価格差は約12万円。コンパクトカーでは装備の違いを補正すると「100cc当たり2万円」が相場になる。エンジンの型式が異なることを考えても10万円以下に抑えたいが(ポルテ&スペイドは約9万円)、前述のように1.5リッターの燃費は1.3リッターよりも優れている。となれば推奨グレードも1.5リッターだ。
お買い得グレードは「最上級モデル」
最も買い得なグレードは、先に触れた最上級の「プロボックスF/サクシードTX」。その下の「GL/UL-X」に比べて3万8,291円の価格上昇だが、座り心地を向上させた後席、前席の上下調節式ヘッドレストなどが備わって装飾類も充実。AM/FMラジオが省かれることを考えても、5,000~1万円ほど割安だ。
配達などの身近な物流を支えるのがプロボックス&サクシード。仕事で運転する機会があったら、クルマ好きの読者諸兄に戻って運転感覚や各部をチェックしていただきたい。乗用車と同様、あるいはそれ以上に、ユーザーの立場に立った開発をしていることが分かると思う。
最近の国産乗用車にはコスト低減を意識させる車種が増えたが、長い距離を走るビジネスカーでは許されない。日本車の良さが端的に表現されているのは、今ではプロボックス&サクシードのようなクルマになっている。
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