トヨタ 新型ハリアー ターボ試乗レポート|ターボとハイブリッド、どっちが買い!?(2017年マイナーチェンジモデル)(1/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:島村栄二
トヨタハリアーに第三のパワートレイン”ターボ”登場
最近はSUVが人気を得ているが、この中でも高級車として注目されるのがトヨタ・ハリアーだ。同じトヨタからコンパクトSUVのC-HRが発売され「そういえばハリアーもあったよね」と改めて関心が集まった面もある。
現行ハリアーは2013年に発売され、プラットフォームはトヨタのRAV4やヴァンガード(すでに生産を終えている)と共通だ。同じプラットフォームを使ったものとしては、低床仕様にオーリス、高床仕様にはエスティマも用意され、古いベースを活用して合理的に開発された。それでも内外装では上質感を巧みに演出している。売れ筋グレードの価格が300万円を軽く超えるので、メーカーや販売会社の粗利も多く、いかにもトヨタらしい商売上手なクルマだ。
ただし2013年末の発売時点では、エンジンの構成に不満があった。2代目の先代ハリアーはV型6気筒の3.3リッターをベースにしたハイブリッドと、直列4気筒2.4リッターの自然吸気ノーマルエンジンを搭載したが、現行型では後者が2リッターに縮小されている。背景にはエコカー減税があり、2.4リッターでは対象外になるから2リッターに抑えて減税対象に収めた。とはいえハリアーの車両重量は2WDでも1500kgを超えるから、2リッターノンターボでは物足りない。車両重量と動力性能はトヨタ ヴォクシーと同等で、市街地を走るなら実用的な不満はないが、ハリアーは価格の高い上級SUVだ。もう少しパワーが欲しい。
この不満に応えたのが、2017年6月8日に実施されたハリアーのマイナーチェンジだろう。従来の2リッターノーマルエンジン、2.5リッターのハイブリッドを踏襲しながら、クラウンやレクサスGS/IS/NXなど既に多くの車種が搭載する新開発の2リッターターボを加えた。最高出力は231馬力(5200~5600回転)、最大トルクは35.7kg-m(1650~4000回転)だから、数値上は3.5リッター並みの性能だ。ハリアーの車両重量に適したエンジンになる。
そこで早速、新型ハリアーの2リッター直噴ターボエンジン搭載車を試乗した。
新型ハリアーの2リッターターボエンジンは割と古典的な出力特性
まずは最も気になるハリアー2リッターターボの動力性能だが、ゆっくりと発進してターボの性格を観察すると、1600回転以下では駆動力が落ち込む。もっとも6速ATがトルクコンバーター式だから、少しアクセルペダルを踏み増すとエンジン回転が1700回転付近に高まり、駆動力の低下を意識する場面は少ない。
速度が上昇すると、ATの変速が低い回転域を使わないように制御される。
むしろ気になったのはこの後で、アクセルペダルを60%くらいの踏み込み量に保ちながら加速すると、エンジン回転と車速の上昇が加速度的に活発化する。感覚的には、ドライバーが意図するアクセル開度以上に速度が高まっていく。最近の欧州車が搭載する小排気量ターボは、過給器を備えない自然吸気の大排気量エンジンに近い運転感覚を備えるから、ハリアーのターボは少し古典的だ。
このターボならではの非線形的な出力特性は、パワーがドライバーの予想を超えて高まるために一種の迫力を生み出す。こういったターボを好むユーザーもいるが、クセが少し強いので注意したい。読者諸兄が購入する時は、販売店の試乗車で、可能であれば交通量の少ない2車線道路などを走ると良い。法定速度の範囲内で、エンジン回転が下がった状態で少し粗くアクセルペダルを踏み込んだり、戻したりする。アクセル操作とエンジンの反応に食い違いが生じないか、確認しておくと安心だ。
また最近はCVT(無段変速式AT)搭載車が多い。CVTにもアクセルペダルを踏み込んだ時に、エンジン回転が先に上昇して速度が後から高まる性質があるが(この方が効率が良い)、今は違和感が薄れて無段変速ならではの滑らかさを味わえるようになった。良くできたCVT車、あるいは無段変速によるトヨタのハイブリッド車から乗り替えた時なども、ハリアーの2リッターターボは違和感が生じる可能性がある。
ハリアーターボがハマるシチュエーションは峠道くらい!?
峠道などをスポーティに走った時の動力性能は力強い。速度の上昇が本格的に活発化する2800回転付近から4500回転あたりを多用しながら走ると、運転の楽しさを味わえる。2.5リッターをベースにしたハイブリッドと比べてもパワフルだ。
運転の楽しさでは、操舵感や走行安定性も大切になる。新型ハリアーではこの点も進化した。先代型はカーブでボディの傾き方が大きめに感じたが、改良によって適度に抑えられ、車両の向きを変えやすい。車線変更をしたり、カーブを曲がり終えた時の揺り返しも小さく収まりが良い。
車両重量を4WD同士で比べると、ターボはノーマルエンジンに比べて70kgほど重く、ハイブリッドよりは70kg軽い。従ってボディの重さを意識させることもあるが、車両の動き方には軽快感が伴い、後輪の接地性など走行安定性も向上した。
その代わり乗り心地は少し硬い。粗さはなく相応に重厚感が伴うから快適な部類だが、従来型の方がボディがゆったりと動く印象があった。それでも新型ハリアーには適度な引き締まり感があり、前述のターボを少し意識させる力強い出力特性にも合っている。
ちなみにターボ車は、ボディ下まわりの前後にパフォーマンスダンパーを装着した。パフォーマンスダンパーはショックアブソーバーに似た構造を備え、ボディをスプリングに見立てて捩れを減衰させる。単純なボディ補強では突っ張り感が生じたり、別の箇所に捩れが移ることもあるが、パフォーマンスダンパーなら都合が良い。最適に調節して効果的な部分に装着すると、乗り心地を損なわずにボディ剛性を高められる。
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