トヨタ 新型カムリ試乗レポート| ”あのころ”のように・・・セダンでもう一度アツくなれ!(1/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
売れ行きが伸び悩むセダン、新型カムリの登場でその流れを変えたい
「カムリでセダンを復権させたい」とトヨタ 新型カムリの開発者は語った。
今の日本国内の売れ筋は、新車需要の35%前後を占める軽自動車を筆頭に、コンパクトカー、ミニバン、SUVと続く。セダンは車種数が多い割に売れ行きは伸び悩む。この流れを、2017年7月に日本デビューを果たした新型カムリで変えたいというわけだ。
新型カムリのCMを見ても、セダンという言葉は出てこないが、初代ソアラやMR2など1980年代のトヨタ車を並べて「ハイパワーでスポーティ、あの頃、クルマは熱かった」というナレーションが入る。従来のカムリは北米市場向けの実用的なセダンだったが、開発者は「新型ではカムリを改めて問い直し、カッコイイ外観、意のままの走りを実現させた」という。1980年代にセダンを愛用したクルマ好きの気持ちを動かせるだろうか。
セダンはミニバンやSUVに比べると全高が低く、重心も下がる。後席と荷室を区分したからノイズや振動を低減させやすい。後席と荷室の間には隔壁があるから、ボディ剛性を高める上でも有利だ。もともとカッコイイ外観、意のままの走りを実現させやすいボディ形状で、1990年代の前半まではセダンの人気が高かった。
トヨタ 新型カムリの日本仕様は2.5リッター ハイブリッドのみ
あの時代を蘇らせるべく、走りに気合いを入れたとトヨタが主張する新型カムリに早速試乗して、その実力のほどを確かめてみることにした。
新型カムリのグレードはX(329万4000円)/G(349万9200円)/Gレザーパッケージ(419万5800円)の3種類があり、今回試乗したモデルはGとGレザーパッケージであった。
日本仕様のパワーユニットは、直列4気筒2.5リッターをベースにしたハイブリッドのみで、新型カムリから採用が開始された新しいエンジンを搭載する。プラットフォームはプリウスと同じ考え方(TNGA)に基づいて、同様に新開発された。
トヨタのハイブリッド車らしく、発進時のモーターの駆動力が強い。車両重量はGが1570kgで相応に重いが、駆動用電池が充電された状態であれば、モーターの力だけで滑らかに発進する。
速度が上昇するとエンジンが始動する。この時には4気筒のノイズを感じるが、遮音は入念に行われて騒々しい印象はない。
ハイブリッドのメリットは、巡航中にエンジン回転が下がった状態で、アクセルペダルを緩やかに踏み増した時だ。素早く反応するモーターの駆動力がエンジンを効果的に支援して、アクセル操作に対して忠実に速度を上げる。この時の印象は、従来のノーマルエンジン車でいえば、実用トルクに余裕を持たせた3リッターエンジンに近い。
ユーザーによって好みが分かれるのは、登坂路などでアクセルペダルを深く踏み込んだ時だろう。エンジン回転が先行して高まり、その後で速度が上昇していく。新型カムリは従来モデルに比べてこの違和感を抑えたが、登り坂での追い越しなどでは、ハイブリッドの特性がそれなりに分かる。
速度がきわめて低い時のペダル操作も少し難しい。例えば停車状態から車両を10cm前進させるような時、ATレバーをDレンジに入れてブレーキペダルの踏力をわずかに緩めるが、トルクが一気に立ち上がって駆動力の微調節をしにくい。「意のままの走り」を得るには、こういったハイブリッドの特性も課題になる。
ハンドルを切り始めた時の正確性が高く、上質な走行性能を実現
先代カムリと明らかに異なるのは、操舵に対する車両の反応と走行安定性だ。先代モデルはリラックス感覚を重視した設定で、操舵に対する反応を穏やかに仕上げていた。
それが新型カムリのGグレードでは、ハンドルを切り始めた時の正確性が高い。機敏に向きを変えるわけではないが、小さな舵角からしっかりと反応するから、ドライバーは運転する実感が得られて気分が良い。開発者も「操舵の初期段階の動きにこだわった」という。ステアリングの支持剛性を高めて操舵感を緻密にするのは今の車両開発では定番だから、新型カムリが特別な設定をしているわけではないが、走りは上質になった。
操舵角をさらに大きくした時も、車両の向きが積極的に変わる。危険回避を想定した車線変更でも、先代モデルに比べると素早く正確に車線を変えられる。
ボディの重いセダンにこのような操舵感を与えると後輪の接地不足が心配されるが、新型カムリは若干の横滑りをさせながらも相応に踏ん張り、挙動の変化が穏やかに進むから安定性を阻害しにくい。曲がりやすさと安定性のバランスを上手に取りながら、運転感覚を自然に仕上げた。そのセッティングの傾向は、同じTNGAコンセプトを採用したC-HRに似たところもある。
新型カムリの素直な動きは、ボディや足まわりの素性が良いために得られた。その素性の良さは、優れた乗り心地にも現れている。Gグレードが装着していたタイヤは17インチ(215/55R17)で、銘柄はミシュラン プライマシー3ST。指定空気圧は前後輪ともに240kPaであった。低い速度域では若干コツコツした乗り心地になるが、タイヤが路上で跳ねにくく、段差でも角の丸い乗り心地に仕上げた。先に述べたセダンのメリットである低重心と高剛性を感じさせる。
高速走行はG”レザーパッケージ”に装着される18インチタイヤが快適
新型になったトヨタ カムリ最上級のGレザーパッケージは、タイヤサイズが18インチ(235/45R18)で、銘柄はブリヂストン・トランザT005A。指定空気圧は17インチと同じく240kPaだ。
基本的な運転感覚はGと同じだが、操舵に対する反応が若干機敏になり、後輪の接地性はかなり高まる。ホイールと接地面のサイズを拡大した効果は、車両を曲げることよりも、安定性の向上に多く振り分けた。
乗り心地は少し硬く、特に路面の段差を乗り越えた時に意識するが、不快な粗さはない。足まわりのセッティングは主にGの17インチタイヤで行った模様で(Gが最多販売グレードになる)、バランスが良いのもこのタイプだが、高速道路を中心に使うユーザーには安定重視の18インチも選ぶ価値が高い。乗り心地も高速域では快適性を高める。
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