トヨタ 新型カムリ試乗レポート| ”あのころ”のように・・・セダンでもう一度アツくなれ!(2/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
開放感あふれる新型カムリのキャビン
視界にも注目したい。新型カムリはインパネの内部に収まる部品を見直して、上端の位置を低く抑え、ボンネットの高さも40mm下げた。フロントピラー(柱)は下側を細く見せている。
さらに先代モデルはサイドウインドウの下端を後ろに向けて持ち上げたが、新型カムリは水平基調とした。サイドウインドウの面積が広い少々クラシックなボディ形状としながら、ボディ後端のピラーを太めにして力強さを感じさせる。
この形状により、前方と側方の視界は先代モデルよりも向上した。斜め後方は太めのピラーが少し邪魔だが、リアサイド部分の視界は良く、後席に座っても開放感が得られる。
ただし取りまわし性が良いとはいえない。先代カムリの最小回転半径は5.5mだが、新型カムリではホイールベース(前輪と後輪の間隔)が50mm拡大されたこともあり、XとGは5.7m、18インチタイヤのGレザーパッケージは5.9mに達するからだ。ちなみに、日本市場を中心に考えられたトヨタ クラウンロイヤルの場合、全長4895mm、全幅1800mmとカムリに近いが、最小回転半径は5.2~5.4mにとどまる。
新型カムリのボディサイズはさほど拡大されておらず、全長は4885mm、全幅は1840mmだが、混雑した日本の街中で運転がしにくく感じる場合がある点は注意が必要だ。
新型カムリの広々とした足元空間はセダンでは最大級
新型カムリは、ボディが大柄なこともあって居住性も優れている。前席の座り心地は適度に柔軟で、腰の近辺をしっかりと支え、背もたれの高さもタップリしているから肩まわりのサポート性も良い。
後席は全高が1445mmのセダンとあって腰が少し落ち込む。座面の前方を持ち上げたから大腿部が離れる心配はないが、後席の下側に駆動用リチウムイオン電池を搭載するために座面の柔軟性はいまひとつだ。車両の性格を考えると、体をもう少し優しく支えて欲しい。
足元空間はきわめて広く、身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先には握りコブシ2つ半以上の余裕がある。セダンでは最大級だ。
トヨタ 新型カムリのおすすめグレードは安全装備も快適装備も充実した“G”
装備については、Toyota Safety Sense P(トヨタセーフティセンスP)を全グレードに標準装着した。歩行者と車両を検知して緊急自動ブレーキを作動させ、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールも備わる。
ただしXでは後方を並走する車両を検知してドライバーに知らせるブラインドスポットモニター、後退しながら車庫から出る時の事故を防ぐリアクロストラフィックアラートの安全装備を付けられない。これを装着可能にして快適装備も適度に充実させたGがベストグレードだ。
改善を要するのは、ブラインドスポットモニターやリアクロストラフィックアラートがメーカーオプションのカーナビとセットになり、ディーラーオプションには対応していないことだ。
Gに設定されるメーカーオプションのカーナビは33万4800円だから、他の高級セダンなどと比べて特段高価というわけではないが、(Gレザーパッケージは標準装着)、安全装備は基本的にすべての買い方で装着可能にすべきだ。また、選択肢の幅広いディーラーオプションのナビにも対応させて欲しい。
したがって、現状ではGにメーカーオプションのナビと安全装備を加えるのが最も推奨される買い方になる。
前述のように大柄なボディを考えると、カムリは市街地走行が苦手だから、4名で乗車して長距離を移動する用途に適する。1年間の走行距離が1.5万kmを超えるような使い方であれば、JC08モード燃費が28.4km/Lに達する低燃費のメリットも際立つ。
新型カムリの走行性能やデザインを次期カローラに採用したら・・・
とはいえ日本の道路環境を考えると、新しくなったトヨタ カムリはボディが大きく価格も高い。この走行性能やデザインをミドルサイズ以下の大きさ、つまりトヨタ プリウスやオーリスと同程度でのサイズすれば、購入しやすくなるだろう。
期待が持てるのは、ミドルサイズの3ナンバー車に発展するといわれる次期カローラだろうか。カローラを単純に3ナンバーセダンにすれば売れ行きが下がるが、そこをカムリのような商品力の向上でカバーできたなら、近年では経験したことのない3ナンバーセダンの成功作になる。
日本における「セダンの復権」には、日本を見据えた商品開発が不可欠だ。新型カムリのグローバルでの年間販売台数は約65万台で、国内目標台数は年間約2万9000台。カムリは世界的に見れば優れた商品だが、日本を想う気持ちが4%では、僕たちの心を動かすのは難しい。
[TEXT:渡辺陽一郎/Photo:茂呂幸正]
トヨタ 新型カムリ G ”レザーパッケージ” スペック
トヨタ新型カムリ主要スペック | |
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主要諸元 | Gレザーパッケージ |
価格 | 4,195,800円 |
JC08モード燃費 | 28.4km/L |
全長 | 4,885mm |
全幅(車幅) | 1,840mm |
全高(車高) | 1,445mm |
車両重量 | 1,600kg |
乗車定員 | 5名 |
ホイールベース | 2,825mm |
トレッド(前) | 1,580mm |
トレッド(後ろ) | 1,585mm |
エンジン種類 | 直列4気筒 |
排気量 | 2,487cc |
エンジン最高出力 | 131kW(178ps)/5,700rpm |
エンジン最大トルク | 221N・m(22.5kgf-m)/3,600-5,200rpm |
トランスミッション | 電気式無段変速機 |
モーター最高出力 | 88kW(120PS) |
モーター最大トルク | 202N・m(20.6kgf-m) |
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