新車開発が変わった?フルモデルチェンジではなく、マイナーチェンジが増えた理由(1/2)

新車開発が変わった?フルモデルチェンジではなく、マイナーチェンジが増えた理由
トヨタ TNGA トヨタ TNGA トヨタ 新型カムリ 20017年マイナーチェンジしたトヨタ新型アクア 20017年マイナーチェンジしたトヨタ新型アクア 20017年マイナーチェンジしたトヨタ新型アクア クロスオーバー トヨタ マークII トヨタ マークII 画像ギャラリーはこちら

昔は、フルモデルチェンジがエンジニアの醍醐味だった

トヨタ マークII

「今度、私がFMCを担当する」。その昔、自動車エンジニアにとって最も名誉あることは、新車の開発総責任者になりFMCをすることだった。

開発総責任者は一般的にはチーフエンジニア、トヨタでは主査、ホンダではLPL(ラージ・プロジェクト・リーダー)、そしてスバルではPGM(プロジェクト・ゼネラル・マネージャー)と呼ばれる人たちのこと。

そして、FMCとはフル・モデル・チェンジを意味する。

FMCまでのサイクルが短くなったのは、60年代後半から70年代にかけてだ。その軸足となったのが、トヨタ・マークIIだ。カローラでトヨタを知り、その後にカリーナやマークIIを経て、そしてクラウンへと続く”いつかはクラウン”という夢の階段を作った。

実際、60年代から70年代にかけて、筆者の横浜の実家では歴代マークIIを横浜トヨペットから購入していたが、購入の頻度は4年に一度のFMCではなく、2年に一度のMC(マイナーチェンジ)のタイミングだった。

FMCにしても、MCにしても、販売店からは子ども向けのオモチャなどのおまけを”餌”に、販売フェアへの集客を図った。私もまんまと、その餌に食いつかされた部類なのだが、販売フェアの店内は超満員の状態だったことを、いまでもはっきりと覚えている。また、記憶が正しければ、FMCの時のオモチャの方が、MCの時よりも、かなり高価だった。

その後、マークIIはクレスタ、チェイサーなど他のトヨタ販売系列向けの兄弟車という形での派生が始まる。

こうしたマークIIのFMCのタイミングを日産が徹底的にウォッチ。トヨタ・日産のツートップの動きをホンダ、マツダ、三菱、いすゞらが遠巻きにするという業界図式が長らく続いた。

ちなみに、筆者の実家の隣が、日産ブルバードの開発総責任者のお宅で、当時は横浜市鶴見区にあった開発拠点から、比較車として他社の様々な新車をご自宅に持ち帰り、通勤時に”乗り比べ”をしていたようだ。連日、車庫にあるクルマが変わるお隣さんを見て、当時の筆者は「羨ましい」と思った。

>>マイナーチェンジで大幅変更する近年の新型モデル

FMCまでの期間が長くなった理由

20017年マイナーチェンジしたトヨタ新型アクア クロスオーバー

こうした日本車のFMCの王道が近年、大きく変わってきた。

一般的には、「モデルライフ(=FMC)は6年前後」と言われ、MCはその中間である3年毎に行うことが多い。ティア1と呼ばれる大手自動車部品メーカーにとっては、この3年毎が新規契約のチャンスであり、各社がOEM(自動車メーカー)への売り込みを強化する。

ところが、6年前後でのMCというケースも出てきた。例えば、先に商品の詳細が発表されたトヨタの新型アクアがその一例だ。デビュー以来の5年ぶりなのだから、FMCは当然と噂されていたのだが、結果的にはビックMCとなった。

通常、ビックMCは外装や内装に対して、消費者やディーラーから”こりゃダメだ”というネガティブな反応によって販売が伸び悩んだ際、”苦肉の策”として講じるものだ。そうしたビックMCは早ければ、FMCの2年以内に行われてきた。

しかし、アクアの5年ぶりのビックMCの意味は、まったく別のところにある。 アクアに限定することなく、FMCまでの期間が最近、長くなっている具体的な理由を挙げてみよう。

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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