トヨタは「元気!!ニッポン 1960s!」が展示テーマ│ブースに日産セドリックも登場【オートモビルカウンシル 2018】

昨年に引き続き国内メーカー各社も様々なテーマで出展

2018年8月3日(金)~8月5日(日)、千葉県千葉市の幕張メッセでオートモビルカウンシル2018が開催された。

オートモビルカウンシルはクラシックカー、ヘリテージカーの展示がメインだが、国内主要自動車メーカーも出展することが大きな特徴だ。これは各メーカーともに自社のクルマたちの歴史や伝統、哲学を大事にしているという証左であり、とても喜ばしいことだと思う。

オートモビルカウンシル2018では昨年に引き続き、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバルの5社がそれぞれ異なったテーマを掲げて展示を行った。

トヨタは「元気!! ニッポン 1960s!」と題して、1960年代に登場したクルマ5台を展示。まずは1968年から1970年まで活躍したトヨタのプロトタイプレーシングカー「トヨタ7」。来場していたのはエンジンがV8の5リッターとなった1969年型(ニュー7/474S)で、第2回ワールドチャレンジカップ・富士200マイルレース(日本カンナム)では優勝を飾った。ゼッケン8、青いカラーリングはそのレース仕様そのものだ。

トヨタ スポーツ800を思わせるフォルムながら、一風変わったキャビンを持つのがパブリカスポーツだ。1962年の全日本自動車ショーに展示されたパブリカスポーツは、キャビンごとスライドするキャノピーが特徴。実際、航空機技術が応用されたモデルでもあった。このクルマ自体は2013年に復元されたレプリカだ。

その横に並んでいたのは3代目コロナ(RT40型)で、1960年代から輸出が始まった時代背景の説明に用いられていた。そして黄色と緑色に塗られたトヨタ 2000GTは、1966年に行われたスピードトライアルで3つの世界記録と13の国際記録を樹立した車両のレプリカである。

トヨタのブースに日産車!?東京オリンピックで聖火を運んだセドリックが!

残り一台は、トヨタのクルマではない。メーカーのブースで違う会社のクルマが展示されるのは異例のことだ。そのクルマは、なんと日産のヘリテージコレクションが所蔵するセドリック。

1960年にデビューした代(30型)に当たるモデルで、グレードは直6の2.8リッターを積む「スペシャル」だ。しかもこの個体は東京オリンピックで聖火を運んだクルマそのもの!

注目はリアシート後部から生える「おか持ち」。そう、蕎麦屋さんの出前のスーパーカブの荷台に据え付けられているアレだ。その下に聖火のトーチを積むことで水平を保ち、車両走行時の振動から聖火を守っていたのだ。フロントドアに貼られた「TOKYO 1964」のシンプルなロゴも美しい。

また、1964年の東京オリンピックと2020年開催の東京オリンピックのイメージをかけ合わせ、現代のクルマとして水素で走るミライが隣に置かれていた。現行型が置かれるのが「CLASSIC MEETS MODERN」がテーマのオートモビルカウンシルらしいところである。

それぞれの時代背景がクルマの設計に大きな影響を及ぼす。つまりクルマは文化史の一部でもあるのだ。それを示すためのメーカーの垣根を超えた展示に、世界中のメーカーのクルマを収蔵したトヨタ博物館を有する、トヨタというメーカーの深い考え方や底力を感じずにはいられなかった。

[TEXT:遠藤 イヅル/PHOTO:和田清志]

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

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