日本版コンシューマレポート-スズキ ワゴンR ユーザー試乗レビュー-(4/6)

日本版コンシューマレポート-スズキ ワゴンR ユーザー試乗レビュー-
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ワゴンRのユーザー評価・レビュー/ドライビング

以上、項目別で最良評価は、「視界が良く、運転が楽だった」66.7%。また、同項目の年代別では、今回参加のユーザーで多数派である「20代以下」が84.6%と高評価だ。

こうした回答の背景として考えられるのが、「パレット」「タント」などトールハイト系に対する「思い込みの裏返し」ではないか?

全高1,735mmの「パレット」と比べると、全高1,660mmの「ワゴンR」は「背が低く見える」。

また、「ワゴンR」のダッシュパネルは「故意に低い位置に設計」されているワケでもない。でも、実際に運転してみると、視界が良く感じる。

そうした、「外を見て」「中に座って」「走って」という三段階を経ると、視界の良さが際立って感じるのだ。その他の項目では、「ワゴンR」としては「無難」な結果だと思われる。

また、別のデータで、筆者は「思うところ」がある。それは、走行性能(「通勤・通学」「長距離」「スポーティ」)の評価だ。ここで、「ワゴンRを以てしても超えられない、軽自動車に対するユーザーの固定概念」を感じる。

上記データを、多数派の「20代以下」で見れば、「通勤・通学」4.7点の超高得点に対して、「長距離」2.8点、「スポーティ」2.4点と、大差がついている。

確かに、長距離を軽自動車で移動する人は少ないかもしれない。だが、「ワゴンR」を筆頭とする近年発売の軽自動車は、日本国内の最高時速100km/hの高速道路で、普通乗用車と肩を並べる堂々とした走りをする。

軽量+背高による横風の影響も(まだ、それなりに影響は受けるが)ここ数年で急激に改良されている。

また「スポーティ」面では、軽量さによる爽快な走りを見せてくれる。もちろん、軽自動車という枠組み(=660cエンジン)ではあるが、副変速機付きのCVTはエンジンの伸び感を演出してくれ、「十分にスポーティ」という面もある。

まあ、こうしたデータが出るのも致し方ない。本連載はディーラーでの試乗が前提である。そのため、長距離、スポーティといった項目では、ユーザーの「連想」に頼ることになる。

となると、軽自動車は所詮「限定的な使用条件での乗り物で十分」だということなのだろうか?軽自動車に、設計や製造コスト削減で、より次元の高い高速走行性能を求めるなど、結局は無駄なのか?

つまり、コンパクトカーが価格破壊をしかけてきた現状で、軽自動車は「限定的な使用条件」でのコスト管理を重視して、さらなる低価格化を目指すべきなのか?日本国内限定の軽自動車は、その筆頭である「ワゴンR」はこれから先、走行性能の着地点をどこに求めれば良いのか?

こうした深刻な課題に、スズキ開発陣営/営業陣営が日夜悩んでいるはずだ。

「ワゴンR」に、軽自動車に、どこまでの走りを求めるのが妥当か。その回答は、そう簡単には導き出せそうにない。

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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