こんな売れるハズじゃなかった?! スズキ ハスラー開発者インタビュー
- 筆者: MOTA編集部
- カメラマン:MOTA編集部
2013年に軽自動車市場に“異端児”として誕生したスズキ ハスラーは、発売から6年弱で47万台を売り上げた大ヒット作。そんなハスラーの2代目モデルが2019年12月24日に発表された。今回は開発陣にインタビューを敢行、初代がヒット作なだけに苦労したことも多かったとか…
初代はこんなに売れるハズじゃなかった!?
スズキ 新型ハスラー開発主査の竹中 秀昭氏にお話を聞いた。新型の開発責任者に任命されたときの印象をたずねると、初代が大ヒットしただけに、相当なプレッシャーだったという。竹中さんはまず、初代ハスラーの誕生秘話から話してくれた。
今から10年前のスズキには楽しいクルマ、ワクワクするような車種を持っておらず、真面目で実直なラインアップしかなかった。ディーラーに来るお客さんからはそんな声が聞こえたのだ。
そこで、ワクワクする楽しいクルマを作ろう! と設計されたのが実はハスラーだった。当時はここまでヒットするとは夢にも思っていなく、あくまでワゴンRの派生車種の一つとして考えられていたのだ。そのハスラーがワゴンR、スペーシアに次ぐ、スズキの屋台骨となるクルマに成長したのだから面白い。
SUVブームよりも前にデビューした初代ハスラー
皆さんもご存知の通り世界的なSUVブーム。初代ハスラーがデビューした2013年当時は、まだまだSUVは……という状況。そんな中ハスラーを作り出したのは、スズキの先見の明があったからこそ。徹底して市場調査を実施し、近い将来ブームが来ることを見越したんだそうだ。
新型ハスラーを作る際に、こだわったのは“ハスラーらしさ”だ。パッと見大きく変わったようには見えない新型だが、そこに開発陣の葛藤があったという。社内、とくに販売の現場からは大きく変えてくれるな! という声が大きかったという。一方の開発陣はハスラーのキャラクターをもっと強くしたい、と意見が割れたという。実際、開発途中でもっとポップなデザインのプロトタイプも製作したが……結果現在の"らしさ"を継承したデザインに落ち着いたそうだ。
しかし新型ハスラーは一見変わってないように見えて、大きく変更されている。例えば、特徴的な丸目ヘッドライトを先代よりも大型化、さらにはリヤクォーターウィンドウを新たに設定し後方の視認性を大幅にアップさせるなど、個性を強調しながらさらなる改善を加えるという、本気の改良が施されている。
スズキDNAをしっかり継承した安心の4WD
ご存知の通り、スズキはハスラーだけでなく、ジムニーやエスクードなど昔から4WDの造詣が深いメーカーのひとつ。新型ハスラーも単にデザインモチーフだけでなく、しっかりそのDNAを受け継いでいる。先代ハスラーは全体の約3割が4WDモデルと他の軽自動車に比べて4WD車の割合が大きかった。詳しい内訳は不明ながら、雪国を中心にそのニーズは高かったのだ。新型ハスラーでも先代相当の数を見越しているという。
ジムニー譲りの4WD性能ってマジ?!
4WDシステム自体は大きく変わらないが、アプローチアングル29°、デパーチャーアングル50°を確保し悪路走破性を向上。
さらに、新型ハスラーには万一の時に備えて安心のスノーモードが新たに設定された。これは雪道やアイスバーン路でのスムースな発進をサポートしてくれるもので、とりわけ雪国のユーザーから期待の声が高かったという。
ボディ剛性は大幅アップ! 雨音も気にならない
先代ハスラーはご存知の通りよく売れたが、筆者が思うに欠点が一つだけあった。それは雨天時に車内に響き渡るほど聞こえた“雨音”。
構造上、仕方のないことではあったのだが、軽自動車で初めての採用となる高減衰マスチックシーラーを採用することでそれをクリア。高級車などに採用されているもので、新型ハスラーにはルーフパネルを中心に配置。加えて各部に防音材と遮音材をボディ全体に最適に配することで、60km/h走行時での会話明瞭度が前席で7.7%、後席で2.7%向上しているという。簡単に言えば、こもり音や雨音低減することで、乗員間の会話はもちろんオーディオなども、もっと楽しめるということ。
初代モデル登場から約5年たった今、初期モデルオーナーはちょうど2回目の車検の時期で車検か乗り換えか考える時期。果たして旧型オーナーにも新型ハスラーは響くのか!?
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