スバル XVとインプレッサで雪の東北を縦断!AWD車で過酷な“非日常”と“日常”を体感(1/2)
- 筆者: 山本 シンヤ
- カメラマン:小林 岳夫・株式会社SUBARU
”非日常”と”日常”を体験するスバル雪上試乗会
毎年1月・2月は、自動車メディアにとっては雪上・氷上での試乗イベントが多い。どのメーカーも普段とは異なる路面環境で自慢のAWD/制御システムの安定性・操縦性を体験してもらうと言う趣旨だ。
そんな中、AWDのパイオニアであるスバルのイベントは他とは異なるテーマで、過酷な“非日常”と“日常”の体験であった。
東京駅から東北新幹線で盛岡駅に、そこからバスに揺られてたどり着いた目的地は「安比高原スキー場」。なぜ、スキー場なのか?それはここで過酷な“非日常”を体験するためだ。
安比高原スキー場で開催されたゲレンデタクシーに乗車
スバルは5年前からスキー場で「ゲレンデタクシー(通称:ゲレタク)」と言うイベントを開催し、多くのスキーヤー/スノーボーダーに大好評と聞いている。筆者はその存在を知ってはいたものの、「ゲレンデを駆け上がると言っても、緩い斜度を登っていく程度なんだろうな」とタカを括っていた。
今回安比高原に用意されたゲレタク用のゲレンデの勾配は18度(実はゲレタク史上最大)。数値で言うとそんなに角度がなさそうな気もするが、スキー/スノボード初心者であれば「ちょっと怖いかも!?」と思う角度である。ここをリフト代わりにクルマが走って登ると言うわけだ。
ゲレンデタクシーとして用意されていたクルマはXV/フォレスター/アウトバックのスバルSUV三兄弟。ちなみにタイヤはミシュランのスタッドレス「X-ICE3+」を履くが、それ以外は全てノーマルの状態だ。
ちなみにゲレタクのドライバーは全日本ラリーなどで活躍しているトップクラスのラリードライバーたち。実際に体験させてもらうと、まさに「目から鱗」だった。
なお、ゲレタクに使わるモデルのAWDは、基本の駆動力配分は60:40で、トランスミッション内にあるMP-T(Multi Plate Transfer)が走行状態に合わせて前後輪の駆動力配分比をリアルタイムに可変する「ACT-4」。スバルでも最も採用が多いシステムとなる。
急斜面での再発進もスバルのAWD車は難なくこなす
実際にゲレンデタクシーに乗車してみると、こんな路面であっても呆気なく登ってしまう。そのため「もしかしたら他のメーカーのAWDでも登れてしまうのでは?」と思ったが、撮影のために途中で降りてビックリ!
18度という斜度に加えてツルツルに磨かれてアイスバーンになったコースは、立っているのもままならないという状態。もちろん、ここからの再発進もスバルのAWD車は難なくこなすのだ。
実は驚きなのは上りよりも下りの方である。当然、滑りやすい路面などで、エンジンや4輪の駆動力、ブレーキなどを最適に制御して悪路走破性を高める「X-MODE」を使ってジワジワと下れば何ら問題ないのだが、そこはスバルのAWDとラリードライバーたち! 急な斜面をほぼ全開で下っていくのだ!
スキーのエッジ効果と同じようにクルマを左右に振りながらの走行が、「怖い」のではなく「楽しい!!」のだ。
これはAWDシステムに加えて、スバルの基本性能の高さによるものだろう。特にSGP(スバルグローバルプラットフォーム)を採用したXVは非常にコントロール性も高く、「僕でも同じ事ができるかもしれない!?」と思ってしまうくらいだった。
ちなみに、今回ゲレンデタクシーとして乗車した各車の印象は、XVは非力だが安定感はピカイチ、レガシィアウトバックはゆったりした動きとフラッグシップらしいしなやかな足さばき、そしてフォレスターは2車に比べるとじゃじゃ馬なハンドリングと、こんな状況であっても3車の特徴もシッカリ感じられた。
このゲレタク、当初は上りだけだったが最近は下りもお願いする人が多くなっているとのこと。確かに、1度ゲレンデタクシーを体験したら、何度も乗りたくなってしまうという非日常の面白さを体験できた。
スバルがこだわる常時四輪駆動とは?
なぜ、このような走りが可能なのか? 世の中に様々なAWDシステムがあるが、スバルのそれは「常時四輪駆動」へのこだわりである。
昨今、各メーカーで様々なAWDシステムが用意されるが、その多くは「普段はFF、必要な時にAWD」と言うオンデマンド式である。舗装路面での燃費などのメリットがあるが、スバルは「安心/安全のためには4輪に常にトラクションがかかっているほうがいい」と言う考えを貫いている。その結果が「もしかしたら走れる」ではなく「安心して走れる」と言うわけである。
かつてスバルはレオーネ時代にAWDの優位性を伝えるため、階段の上り下りや川や砂漠での走行などで優位性をアピールしていた事もあるが、ゲレタクはまさにその現代版である。アトラクション感覚で、誰もが “直感的”に体感できると言う意味でも、非常に面白い取り組みだと思う。
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