レヴォーグがフルモデルチェンジ! 新型でチェックしておきたい3つのポイントとは【解説&試乗 その1】

  • 筆者: 嶋田 智之
  • カメラマン:小林 岳夫・SUBARU
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2020年秋、スバルが主力車種「レヴォーグ」をフルモデルチェンジする。それに先立ち、8月20日より早くも先行予約受付が始まった!そんな中MOTAでは、まだ発売前の新型レヴォーグ・プロトタイプに触れる貴重な機会を得た。今回はそのレポート第一弾。

新型レヴォーグ、まずはフォトギャラリーでサクッとチェックしてみる![画像50枚]

そもそも、新型レヴォーグってどんなクルマ? 果たして“買い”なの!? モータージャーナリストの嶋田 智之氏が現場からアツくレポートする!

目次[開く][閉じる]
  1. 「えー、レヴォーグこんなによくなっちゃうの!?」ジャーナリスト嶋田 智之氏がおもわず盛り上がった理由とは
  2. 新型レヴォーグの見どころは以下の3つ!
  3. 見どころその1! 骨格の進化っぷりがハンパない!
  4. 新型レヴォーグの主要スペック

「えー、レヴォーグこんなによくなっちゃうの!?」ジャーナリスト嶋田 智之氏がおもわず盛り上がった理由とは

レヴォーグってもともとレベルの高いクルマだったけど、こんなによくなっちゃうわけ?

と冒頭からいきなり勝手に盛り上がってるのは、この7月20日から先行予約がスタートしたスバル 新型レヴォーグのプロトタイプに試乗することができたからだった。

2014年に発売された初代レヴォーグは、それまでのレガシィ ツーリングワゴンの事実上の後継として、さらにはレガシィ ツーリングワゴンが持つスポーティな乗り味が楽しめるステーションワゴンというキャラクターをさらに磨き上げたモデルとして、一定以上のファンの支持を得てきた。

SUVの大旋風が巻き起こる中で善戦し続けてきたワゴン「初代レヴォーグ」

初代レヴォーグが誕生した頃は、まさにSUVの人気が加速度的に盛り上がってきていたといえる時代。そうなると、特にステーションワゴンは分が悪い。けれどレヴォーグは、苦戦するモデルが多い中、平均で年間20000台を軽々越える販売台数をキープしてきた。しかもモデル末期になったからといって低迷しなかった。

ということは、すでにお披露目されてるコンセプトモデルのスタイリングこそシャープになった印象だけど、中身はわりと保守的な仕立てなんだろうな、なんて想像していたのだ。

ところが! だったのだから、喜ばしい気持ちになっちゃうのも当然ってものでしょ?

新型レヴォーグの見どころは以下の3つ!

今回、新型レヴォーグのプロトタイプに触れてみて感じた印象としては、大きな見どころが3つあるな、ということ。

1:新しい骨格、シャシーとステアリング、エンジンが生み出す走りの味の進化。

2:新世代アイサイトのアドバンテージ。

3:インフォテインメントシステムはじめ日常的な使い勝手の進化。

これから順を追って、3つの見どころについてじっくりお伝えしていくが、まずはその最初の項目「新しい骨格、シャシーとステアリング、エンジンが生み出す走りの味の進化」について、お話をしていきたいと思う。

見どころその1! 骨格の進化っぷりがハンパない!

骨格を格段に強化し新開発プラットフォームSGPは第二世代へ進化した

新型はスタイリングデザインから受けるイメージも大きく変わった。

いきなりマニアックな視点だけど、海外のスーパースポーツカーで採用されているような手法、走行時にクルマの後ろ側にどうしても生じる空気の淀みを別の空気の流れの力で整えて、高速時の車体の安定性を確保するような工夫もなされてたりはする。

が、そうした目で見える部分もさることながら、中身の方はさらに大きく進化してるというべきかも知れない。

特に骨格。車体を構成する部材をガッチリと組み上げてから外板パネルを溶接する新しい工法(フルインナーフレーム構造)に変更して、構造用接着剤を使ってる部分も、例えば同じ新世代プラットフォーム(SGP:スバルグローバルプラットフォーム)をベースとするインプレッサと較べても、さらに4倍近くも拡大してる。そうした基礎の部分の見直しをすることで、車体の捻り剛性が44%も向上しているという。

ものすごく簡単に言っちゃうと、車体を先代に較べて1.5倍近くガッチリしたものにした、ということだ。新型レヴォーグは乗り心地のよさも運動性能も従来以上によくなってるのだけど、この車体がものすごく効いている。ガチッとした車体に取り付けられるからこそ、サスペンションは持ち前の実力をキッチリと発揮できるのだから。

最上位グレード“STIスポーツ”にはスバル初の電子制御ダンパーを採用

そのサスペンションは、フロントがストラット、リアがダブルウイッシュボーンの4輪独立懸架という型式は変わらない。けれどジオメトリー、つまり機構を構成するパーツ類の配置や動かせ方を見直し、フロントでは+25%、リアでは+10%ほど大きく伸び縮みするようにセットされている。最もスポーティなグレードで最上位に位置づけられる“STIスポーツ”には、スバル初の電子制御ダンパーが採用されて、4段階+好みの設定という5種類の走行モードを状況や好みに応じて選べるようになった。

もうひとつ見逃せないのは、パワーステアリング。電動式であることに変わりはないのだが、ドライバーのステアリング操作からの入力を受けとめる軸とモーターからのパワーアシストを受けとめる軸を分離している。通常は、そのふたつをひとつの軸で担っていて、ドライバーの感覚に微妙に馴染まないところがあったり操作に対するクルマの反応に微細な遅れが出たりすることがある。それを防ごうというわけだ。

これまでのものだって決して批判されるようなものじゃなかったのに、普通は判りにくいところにずいぶんコストをかけて開発したな、と感じた。

新開発の水平対向1.8リッター直噴ターボは177ps/300Nmを発揮

新しいエンジンは、1795ccの水平対向4気筒直噴ターボ。パワーは177ps/5200-5500rpmで、これは従来の1.6リッターターボと較べると+7psという数値。トルクは300Nm/1600-3600rpmで、こちらは同じく+50Nm。

パワーの方は全体的に1.6ターボより一段上のレベルで同じように直線的な伸び方を見せ、4000rpmの時点で1.6ターボのピークとなる170psに達し、そこからさらに伸びて5200rpm以上でピークパワーを発し続ける。

トルクの方は走りはじめてすぐの1000rpm少々ですでに実力の3分の2ほど発揮、1600rpmでピークに達してその状態を3600rpmまでキープした後、なだらかにドロップしていく。ドロップしはじめる回転域ではすでに主役はパワーの方が担っているから、どの回転域でも力がたりないことにはならない、というわけだ。ちなみに燃費の方も、JC08モード換算で1.6ターボ搭載車と較べて0.6km/Lほど向上してるという。

CVTのリニアトロニックも、構成部品の約8割を変えた新型となった。カバーできるレシオが6.3から8.1へと拡大されているから、より鋭い発進加速、高速走行時の低回転化による燃費の向上の双方を得ることができている。

次回は、全スバリストが気になる走りの印象をお届け!

と、今回はここまで。次回は、完全に生まれ変わった新型レヴォーグ・プロトタイプへ実際に乗ってみた印象についてお届けしよう。

スバリストの皆さんが最も気になっているであろう、新開発エンジン&プラットフォームが生み出す次世代の走りはどうだったのか。詳しく解説する!

(続く)

[筆者:嶋田 智之/撮影:小林 岳夫・SUBARU]

▼新型の見どころ1「新しい骨格、シャシーとステアリング、エンジンが生み出す走りの味の進化」▼

▼新型の見どころ2「新世代アイサイトのアドバンテージ」▼

▼新型の見どころ3「インフォテインメントシステムはじめ日常的な使い勝手の進化」▼

新型レヴォーグの主要スペック

新型レヴォーグ STI Sport EXの主要スペック

スバル 新型レヴォーグ STI Sport EX

グレード名

STI Sport EX

全長×全幅×全高

4755mm×1795mm×1500mm

ホイールベース

2670mm

駆動方式

AWD

車両重量

1580kg

乗車定員

5名

エンジン種類

水平対向 4気筒 1.8L 直噴ターボ(DIT)

総排気量

1795cc

エンジン最高出力

130kW(177PS)/5200~5600rpm

エンジン最大トルク

300Nm(30.6kg・m)/1600~3600rpm

トランスミッション

リニアトロニックCVT

使用燃料

レギュラー

燃料消費率(JC08モード燃費)

16.5km/L

燃料消費率(WLTCモード燃費)

13.6km/L

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嶋田 智之
筆者嶋田 智之

本人いわく「ヤミ鍋系」のエンスー自動車雑誌、『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー専門誌『ROSSO』の総編集長を担当した後、フリーランスとして独立。2011年からクルマとヒトに照準を絞った「モノ書き兼エディター」として活動中。自動車イベントではトークのゲストとして声が掛かることも多い。世界各国のスポーツカーやヒストリックカー、新旧スーパーカー、世界に数台の歴史的な名車や1000PSオーバーのチューニングカーなどを筆頭に、ステアリングを握ったクルマの種類は業界でもトップクラス。過去の経歴から速いクルマばかりを好むと見られがちだが、その実はステアリングと4つのタイヤさえあるならどんなクルマでも楽しめてしまう自動車博愛主義者でもある。1964年生まれ。記事一覧を見る

MOTA編集部
監修者MOTA編集部

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