スバル インプレッサ 試乗レポート

スバル インプレッサ 試乗レポート
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ある意味「ドライバーズカーからの脱却」した進化型

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ターボチャージャーを装着した強心臓を積む『WRX』シリーズのみならず、ラリー界での活躍をベースにブランド全体が日本車としては稀有なほどのスポーティ・イメージをアピールしていたのが歴代のインプレッサ。しかし、そうした先鋭的なキャラクター・イメージが、女性ユーザーなどに対しては”敷居の高さ”として作用していた面もあるとして、ある意味「ドライバーズカーからの脱却」を宣言するのが新型インプレッサだ。

そんな新型で最大の特徴は、これまでのセダン/ワゴンというボディバリエーションに対し、今度は5ドア・ハッチバックへと改められた事。そもそも”スポーツワゴン”の先駆者を狙ったインプレッサとしては、「その進化型としての提案を行いたい」という考え方があったというのが、こうした大胆な決断を行った理由という。

という事で、欧州のCセグメントに属する各車とライバル関係を持つべく与えられたボディの3サイズは4415×1740×1475mmという値。従来型ワゴン比ではそれぞれ-50/+45/+10mmという関係を持つのが新型のサイズという事になる。

「名前以外はオールニュー」のデザイン

インパネ
フロントシートリアシート

それにしても同じ『インプレッサ』を称するモデルであっても、新型のルックスにもはやこれまで歴代のモデルの面影など殆ど漂わない事には驚くばかり。セダン/ワゴンからハッチバックへ・・・というパッケージングの変化が、そうした印象を加速させているのも確かだろう。が、それを別としても細部のデザインに新旧モデルで共通のアイコンなどなかなか見当たらないというところにも、新型の開発陣の「全く新しいインプレッサを生み出したい」という意気込みを感じる事になる。

そうした中にあっても「鷹の眼」をイメージしたというヘッドライト周りの造形と、航空機の翼をモチーフとしたフロントグリル上部の加飾は、唯一(ニ?)レガシィなどとの共通イメージが強調され、”スバルらしさ”が意識を出来る部分。が、総じて良くも悪くも「なかなかスバル車には見えない」という新型のエクステリア・デザインには、この先も賛否両論が渦巻きそうだ。

羽根を大きく開いたかのような左右対称形モチーフのダッシュボード周りをはじめ、インテリアのデザインもまたこれまでのモデルとは大きく雰囲気の異なるもの。かくして、どこをとってももはや「名前以外はオールニュー」という印象がとても強いのが、新型インプレッサのエクステリア/インテリアのデザインと言える。

しなやかなフットワーク・テイスト

走行
エンジンシフト

そんな新しいインプレッサのドライバーズ・シートへと乗り込むと、まずはその運転視界が広々としている事に感心をする。ウインドシールドを通しての前方視界は左右の下端隅々までが気持ち良いほどスッキリと見通せるし、Aピラーの生み出す死角が殆ど気にならないのも特筆もの。ワイパーを作動させるとそんな右側のAピラー直近までしっかり拭きとってくれるし、実はそんなワイパーが150km/hを超える高速域まで浮く事がないのもテストコースで確認済み。後席での足元空間が従来型よりもグンと広くなったのも新型の特長だ。一方で、ユーティリティ性の高さが売り物であるハッチバック・モデルとしてはラゲッジスペースがやや浅いのは、4WDが売り物のスバル車ゆえ、後輪駆動系を収めるスペースを予め見込んでいる影響があるのかも知れない。

シリーズ唯一となるFWDモデルをAT仕様でテストドライブした『15S』の動力性能は、「ファミリーカーとしてはまず不満のない程度」という印象。一方、AT仕様のみの設定となる4WDモデル『20S』のそれは、さすがに『15S』よりは余裕度が1ランク以上アップする。いずれのモデルでも感心出来るのは、そのフットワークのしなやかなテイストが、従来型よりも遥かに色濃いという事柄。新設計・新開発のリア・サスペンションを採用する効果が、そこではまざまざと現れている印象だ。

ホッテストモデル「S-GT」・・・それでも刺激が足りない人には・・・

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走行フロントスタイル

一方、シリーズ最強のターボ付き250psエンジンを搭載する現在のホッテスト・モデルが、『S-GT』グレード。こちらもAT仕様でのテストドライブとなったが、その加速力のほどはさすがに強力だ。ただし、シフト時のショックが大きめであるのは、最新のモデルとしては不満が残る。隣合うギア比が離れ気味となる4速ATのウイークポイントが、そのまま現れてしまっている印象だ。

前述のように加速は十分強力ではあるのだが、それでも従来のWRXユーザーにとってみれば「これでも刺激が物足りない」という事になるかも知れない。確かに、生粋のスポーツモデルとしてみれば、高回転域にかけてのパンチ感がもう少し欲しい印象でもあるのだ。もっとも、そんなより高いスポーツ性を求める人に対しては「現在開発中のSTiグレードがその任を担う」というのが公式のコメント。現状では5速仕様のMTも、当然そちらでは6速タイプとなるはず。でなければ、”よりホットなインプレッサ”を待ち望む人はきっと納得しないだろう。

新サスペンションが生み出す後輪接地感は抜群に高いと同時に、こちらのモデルでもしなやかな乗り味が実現されたのは新型での大きな美点。「ドライバーだけではなく乗る人全てにとって快適なモデルにしたかった」というコメントは、こうした点にこそ表現されているという事なのだ。

ホットで熱い走り味の持ち主こそが『インプレッサ』というブランドの特徴だと受け取っていた人に対しては、少々の戸惑いを与えてしまう事になる可能性も否定は出来ない新型。そんな間口の広さを狙ったコンセプトへの転換が果たして販売成績上で成功をもたらすのか否かが明確になるまでには、もう少しの時間を必要とする事になりそうだ。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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