こんなに進化している!? 長距離夜行バスのスゴイ世界

実はあまり知られていない!? 高速バスの著しい進化

鉄道、飛行機と並んで国内の移動手段としてメジャーな存在である高速バス。2018年に公益社団法人日本バス協会が発行した資料によると、年々利用客は増加しており、平成28年(2016年)では1日約1万6千便が運行され、輸送人員はのべ約1億2千万人に達しているとのこと。

そのため近年はサービスの向上も次々と図られており、特に長距離バスの夜行便、いわゆる夜行バスの進化の中には、「これまでのバスの概念」を打ち破るものも登場しています。もはや「バスの長距離移動はつらいもの」ではなくなりつつあります。

そこで今回の記事では、進化著しい長距離夜行バスのサービスを、いくつかのジャンルに分けて少しだけご紹介したいと思います。

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その1:ついに完全個室まで! 夜行バスの高級化がスゴイ

少し前ですと高級なバスといえば「3列シート」だったのですが、今や高速バスの高級化はそれ以上に進み、2列シートにしっかりとした仕切りがついたものから、“壁”を備えた完全個室型まで登場しています。

2011年から東京~徳島間で運行を開始した海部観光の「マイ・フローラ」は、大きなバスの車内を2列12席のみという贅沢さで、シート脇には徳島産木材を使った仕切りがあり、カーテンを併用することでプライベート空間をしっかり確保します。車両後部には大きなパウダールームまで置かれているのですから驚きです。

そして2017年には、関東バスと両備バスが東京~大阪、東京~福山・広島間で共同運行する「ドリームスリーパー」が登場。業界初となる、パーテーションと扉を用いた完全個室を実現して注目を集めました。こちらはさらに定員が少なく、なんともリッチな11名。備わるシートは「ゼログラビティ姿勢」という、NASAの理論に着想を得た「深眠」できるポジションにボタン一つで変化します。

その2:快適性を追求! 3列シートの進化がスゴイ

2列シートの“超高級バス”とまでは行かずとも、4列シートでは長距離がつらいな……という声に応える3列シートは、4列シートとの差別化もあって数多くの夜行便で採用されています。その3列シートも、シートピッチが広くてカーテンがついているくらいではサービスが足りない? とばかりに、画期的な仕様や様々な装備を持ったシートに進化しつつあるのです。

日本全国に高速バス網を展開するウィラー(WILLER)エクスプレスは、2019年9月現在、3列シートだけでも5種類を用意するなど、高速バス・夜行バスのサービスアップに力を入れています。

中でも「リボーン(ReBorn)」は3列18名というゆったりした配置を誇ります。「眠り」のために最適な環境を備えたと謳っているだけに、155度まで背もたれを倒せる「電動ゆりかごリクライニングシート」はシェル構造でプライベートも確保。コンセント、フットレスト、首当て、ドリンクホルダー、ブランケット貸し出しなど快適に過ごすためのサービスが充実しています。

続いてご紹介するのは東京~名古屋・大阪・金沢、名古屋~高山などの路線を持つVIPライナー。こちらもシートにはこだわりがあり、3種類の3列シートをラインナップしています。

最上級の「電動バックシェルシート」は、バックシェルが固定式で、前方に向かってシート全体が電動で伸びることでリラックス姿勢を作るため、背もたれを倒す際に後ろの席の人に気を使わなくていいのがポイントです。また、「電動バックシェルシート」を、通常の3列シートのうち2座席を「ランクアップシート」としているバスもあります。

その3:もはや4列シートでもつらくない? 4列シートもサービスがスゴイ

そして最後は馴染みが深い? 4列シートです。近距離の移動や定期観光バス、空港に向かう程度の乗車なら問題ないのですが、さすがに長距離や夜行便になると…と思いますよね。確かに価格の安さは大きな魅力で、国内移動をリーズナブルにこなすための選択肢の一つになります。

ですがひとえに4列シートといっても、快適性アップを目指して改善は行われており、最近では携帯電話の充電ができる電源付きシートも増えてきました。さらにシートピッチを拡大した「ワイドシート」も用意されているほか、「ちょっと嬉しい」サービスも行われています。

例えば先ほど登場したウィラー エクスプレスの4列シート「リラックス」は、頭をすっぽりと覆うフードである「カノピー」を装備しており、リクライニング角度130~140度、窮屈ではない足元スペースなどで、快適な移動を行うことができます。特にこのシートは「寝顔を見られたくない」という女性ユーザーから高い支持を得ているとのこと。

このほか電動で背もたれが倒れるシートや、TVモニターを備えたシートなど4列シート自体が改良されたタイプ(いずれもVIPライナー)などもあります。エクストラ・チャージを支払えば、4列シートでも快適な旅を楽しめるのです。

今後もますます需要が高まりそうな長距離夜行バス。あっと驚くような新しいサービスの登場にも期待したいと思います。

[筆者:遠藤 イヅル]

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

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